農作物技術情報 第9号 果樹(令和元年11月28日発行)

ページ番号2001439  更新日 令和1年11月28日

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  • りんごの貯蔵販売時には、果実の軟化・果肉障害に注意しましょう!!
  • 獣害、凍寒害、雪害対策に努めましょう!!

1 貯蔵りんごの管理

今年の「ふじ」は、蜜入りは平年よりやや少なめで、硬度はほぼ平年並みですが、収穫時や貯蔵中の条件によって、軟化玉や果肉褐変等の障害が発生する可能性もあります。貯蔵中は、随時、果肉の状態を確認し、障害の発生していない果実の販売にあたってください。
「シナノゴールド」も酸抜けを待って遅めに収穫し、4~5ヶ月貯蔵すると果肉が褐変することがあります。こちらも越年販売の際には、果肉の状況等を確認してから、販売してください。

2 獣害対策

(1)野ネズミ対策

苗木、若樹(特にJM7台木利用樹)は野ネズミの食害を受けやすいため、根雪前に対策を実施しましょう。
園地内に放置された果実は、野ネズミの餌となるため取り除き、各種忌避剤、殺そ剤による対策も合わせて実施しましょう。

(2)電気柵の点検

近年、ニホンジカによる花芽、樹皮などの食害(図1)を軽減するために、各地でフェンシングワイヤーを利用した電気柵の導入が進んでいます(図2)。
導入した園地では、根雪前に草や園地周辺の樹木が電線に接触していないか、支柱やガイシに破損はないか、十分な電圧は確保されているか等を点検し、冬季の被害に備えましょう。

図1

図2

(3)廃棄果実の処分

山選果等で発生した廃棄果実を園地内外にそのまま放置すると、ハクビシンや野ネズミの増殖、クマによる春先の人的被害などを助長することがあります。
廃棄果実は、地中深く埋めるか破砕するなどの処理を実施し、獣害の発生しづらい園地環境をつくるようにこころがけましょう。

3 樹体の凍寒害防止

りんごなどの落葉果樹は、落葉後、一定の期間低温に遭遇し、休眠する必要がありますが、気温が高い状態で推移すると、休眠が浅くなり耐凍性が低くなることがあります。
特に定植年~結実初期(3~4年生)の若木が、影響を受けやすい傾向にあります。また、結実量が多く衰弱した樹や水はけの悪い圃場、肥料が遅くまで効いて新梢の止まりの悪い樹では、樹齢が進んでも被害が出ることがあります。
近年、冬季の気温が非常に低く経過することが多くなっています。凍寒害の心配のある園地では、若木を中心に地際部から高さ50cm程度まで、ホワイトンパウダー(図3)や水性ペンキ(白色)を塗布するか、わらを巻くなどして被害の軽減を図りましょう。

図3

4 雪害対策

(1)りんご

わい性樹では雪の重みによる枝の折損を防ぐため、枝の先端を上向きに誘引するなどの対策を実施しましょう。老齢樹では、不要な太い枝、下枝は早めに除去し、ふらん病対策に塗布剤を処理しましょう。
苗木は、支柱にしっかり結束されているか点検を行いましょう。
雪の重みにより枝が裂開した場合には、大枝はボルト、カスガイなどで早めに接合し、支柱で補強するようにしましょう。裂開部分は、上記同様、ふらん病対策のために塗布剤の処理を行いましょう。

(2)ぶどう

ぶどうの雪害は、ドカ雪によるぶどう棚の倒壊、枝の折損が多いため、降雪が予想される前に、ぶどう棚を点検し、粗めのせん定により枝を短くするなどの対策を行いましょう。
降雪により棚が倒壊した場合には、安全が確保されてから早めに棚の針金の締め直し等を行い、せん定、枝の結束を速やかに行うようにしましょう。ひどく裂開した枝は、そのまま放置せず、被害枝を取り除き、切り口に塗布剤を処理するようにしましょう。

5 土壌診断のすすめ

近年、高温乾燥や集中豪雨などの気象変動により、土壌水分の乾燥・湿潤の変動が大きいため、樹の衰弱した事例が多く観察されます。
特に、樹が土壌乾燥に見舞われた場合、土壌に十分な養分があっても吸収できず、樹勢が弱ることがあります。この場合、必要以上に施肥を行うと樹勢が強くなったり、土壌養分バランスが崩れて養分欠乏症が発生することがあります。
ここ数年、土壌診断を実施していない園地では、土壌診断を実施の上、適正な施肥を行うよう心がけましょう。

フッタ

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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