農作物技術情報号外 高温対策(水稲、野菜、畜産)(令和元年8月5日発行)

ページ番号2001393  更新日 令和1年8月5日

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水稲

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1 出穂・開花期

出穂・開花期は、湛水状態(浅水でよい)で管理しましょう。
出穂期は、短期間で茎が10~20cmも伸びるため、稲の代謝が活発で多量の水を必要とします。
過度の乾燥は稲体内の水分生理の乱れにつながり、その後の開花受精にも影響しますので、水分補給を最重視した管理に努めてください。

2 登熟期

(1)開花終了後は、間断かんがいが基本です。
出穂後20日間は3~4日湛水・1~2日落水とし、その後は徐々に湛水期間を短く、落水期間は長くしていく管理とします。
(2)登熟前半に高温(概ね出穂後20日頃まで、日最高30℃以上・日最低23℃以上)が、5日以上続くと予想される場合は、夜間のかんがい等により、水の入れ替えを積極的に行い、地温の低下と根の健全化を図りましょう。
(3)完全落水の目安は、出穂後30~35日です。
早すぎる落水・過乾燥は、根の活性低下や茎葉の枯上りなどを招き、玄米品質の低下(白未熟粒の増加等)につながります。
機械作業に必要な地耐力を確保しつつ、土壌水分が確保されるよう、きめ細かな水管理に努めましょう。

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1 いもち病(穂いもち)の発生時期・発生量はともに「並」の予報です。

(1)上位3葉(止葉含)に葉いもちが多発している場合は、穂いもちへの進展を抑えるため茎葉散布を直ちに行うとともに、穂ぞろい1週間後まで7~10日間隔で追加防除を実施しましょう。

2 斑点米カメムシ類の発生(加害)時期は「並」、発生量は「やや多」の予報です。

(1)水稲の出穂状況に合わせて、穂揃期1週間後の基本防除を徹底しましょう。
(2)本田内にノビエ・ホタルイ類・シズイ・コウキヤガラが多発している圃場では、穂揃期1週間後および穂揃期2週間後の2回防除を実施しましょう。
ただし、防除1回目(穂揃期1週間後)にスタークル剤・アルバリン剤を選択した場合、2回目の防除は穂揃期3週間後に実施してください。

野菜

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1 全般

施設野菜では高温対策を徹底するとともに、施設・露地ともこまめなかん水管理や通路散水等により草勢維持を図りましょう。

2 ハウス果菜類の管理

トマト、ピーマンなどのハウス果菜類では最盛期を迎え、生育が旺盛となり、風通しが不良になってきますので、整枝や摘葉、誘引作業を遅れないように実施するとともに、病害虫防除では、くん煙剤の利用など効率的な防除を行います。
高温対策として換気等を積極的に行い、生育適温を超えない範囲でハウス内気温を維持しましょう。夕方には地表面が乾く程度の通路散水を行うことも、ハウス内気温や地温を下げるのに有効です。ハウス内気温が十分に下がらないと、夜間の呼吸消耗により草勢低下がさらに助長されるので、暑さが続く場合は高温対策をしっかり行って下さい。

3 葉茎菜類の管理

(1)雨よけほうれんそう
強い日差しにより葉がしおれたり、葉焼けを生じる場合があります。特に生育初期の地際部は高温障害を受けやすいので、遮光資材等を活用しましょう。
また、土壌が乾燥すると、ほうれんそうの生育が停滞するため、播種前のかん水はムラなく行い、圃場の乾燥状態に応じて生育中のかん水を行いましょう。
(2)キャベツ・レタス
気温の高い日が続くと、株腐病や軟腐病等の腐敗性病害の発生に注意が必要となります。株元まで十分薬液が届くように防除しましょう。
(3)ねぎ
土寄せは生育状況や天候を見ながら行い、葉鞘を肥大させるため、無理な土寄せは行わないようにしましょう。

畜産

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牛は、発汗による体熱放散が十分にできませんので、環境温度と体感温度を低下させる対策が必要です。また、ル-メン内での発酵熱の大きい粗飼料を中心として採食量が減少するので、良質粗飼料を準備するとともに、搾乳牛では、ル-メンアシド-シスを予防しつつエネルギ-やミネラルを充足する対策が重要になります。

1 環境温度と体感温度の低下対策

(1)遮光ネットの設置による日光の遮断、屋根裏への断熱材の取り付け、屋根表面への散水や石灰塗布などにより、畜舎外から畜舎内に伝わる熱さを緩和します。
(2)強制送風(換気扇、ダクトなど)は昼間のみならず夜間も最大限に稼働させます。風は、熱放散の高い頸部や肩部を確実に流れるように、送風機の設置位置の調整や台数を増加します。
(3)牛体の毛刈りは体熱放散に有効です。分娩直前から泌乳最盛期の牛を優先して実施します。

2 飼料給与の対策

(1)新鮮な水を十分に飲水できるようにします。水槽の掃除はこまめに行います。
(2)嗜好性と消化の良い粗飼料(適期収穫)を給与します。外気温が低下する夜間から早朝にも採食できるようにします。
(3)配合飼料の給与量が多い搾乳牛は、ル-メンアシド-シスを予防するため、配合飼料の給与回数を増やすか一部を可溶性繊維の多いビ-トパルプ(3~3.5kg上限/日・頭)で代替します。また、重曹(100~200g/日・頭)を給与し、ル-メン内pHを緩衝します。
(4)エネルギ-補給のため、綿実などの油脂の給与も有効です。ル-メン微生物の活性と乳脂肪分率の維持を考慮し、綿実の給与量は1頭あたり1日2kg程度が上限です。また大豆油やパ-ム油を原料とするバイパス油脂の給与も有効ですが、リノ-ル酸含量が多いものは、繁殖に有益であっても乳脂肪合成を阻害する場合があるので、給与量については推奨量を参考にします。
(5)発汗やよだれの増加により、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、リンなどのミネラル要求量も通常の10-20%増加します。乾乳後期牛を除き、鉱塩を切らさないようにするとともに、重曹を補給し、リン酸カルシウムを増給します。

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1 維持草地の管理

(1)高温時の牧草刈取は、「低刈り」を行うとイネ科牧草の夏枯れを助長し草地荒廃を招きやすいため、刈り取り高さは15cm以上とします。
(2)高温時の草地への牛尿散布も夏枯れを助長しやすいため、なるべく避け、やむを得ず散布する場合は、水で2倍程度に希釈したうえで曇天時や朝晩の涼しい時間帯に行います。

2 草地更新

(1)8月中旬以降から県内では草地更新作業が開始されます。降水量が極端に少ない場合は、牧草種子の未出芽や出芽後の枯死が懸念されることから、それまでの天候経過や週間天気予報等に留意しながら播種タイミングを十分に見計らいます。
(2)砕土は丁寧に行い、播種後の鎮圧も土壌が乾燥しているほど十分に行い、土壌から種子への水分供給を促します。

熱中症対策

夏の農作業は熱中症を生じるおそれがありますので、次の事項に注意しましょう。
熱中症の予防は、水分をとることと体温の上昇を抑えることが基本です。真夏日が続くような条件では、日々の体調管理は極めて重要です。
高血圧症・糖尿病等の持病や睡眠不足・前日の飲酒・朝食の未摂取等は、熱中症の発症に大きく影響しますので注意しましょう。
農作業中の熱中症による死亡事故は、7~8月に70~80歳代の方が1人で屋外作業を行う時に集中して発生していますので、特に注意しましょう。
熱中症対策を含む農作業安全対策全般については、こちらをご覧下さい。
農水省ホームページ

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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