農作物技術情報 第5号 畜産(令和元年7月25日発行)

ページ番号2001376  更新日 令和1年7月25日

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飼料作物
【牧草】
高温時には過放牧、過度の低刈り、短い間隔での刈取りを避けてください。
草地更新 秋播種にむけて、播種床を準備する時期です。耕起、砕土、整地作業は丁寧に行い、膨軟な播種床を作成します。最後の鎮圧作業は念入りに行います。
家畜
乳牛:暑熱ストレスによるアシドーシスを防止します。乾乳牛も暑熱対策を実施します。
アブ・サシバエ対策をして、ストレスの無い飼養環境にしましょう。

1 草地管理

(1)2番草の刈取り時期

2番草の刈取り時期は、1番草の刈取りからオーチャード主体草地で約40-45日後、チモシー主体草地で50-55日後を目安にします。

(2)暑熱時の牧草刈取りは高めに刈取る

高温時に過度の低刈りは、牧草の貯蔵養分を消耗させ秋以降の草勢に影響しますので、低刈り及び短い間隔での刈り取りは避けてください。
また、放牧地での過放牧も同様です。
刈取りを行う場合は、地際より10~15cmを残すように(握りこぶし1個分が目安)行います。

図

(3)草地更新(除草剤の播種日同日処理における播種床の作成)

ア 永年草牧草は、8月中旬から9月中旬を目安に播種しますが、播種の約30日前(7月中旬から8月上旬)に播種床を予め形成し、雑草を十分に生育させます。
雑草の生育状況をみて展葉が十分であれば、経過日数にこだわらず非選択性除草剤を散布します。
雑草が大きくなりすぎると播種や施肥作業の妨げになることがあります。
イ 前植生処理が未実施の場合は、速やかに非選択性除草剤を散布するか刈払を行います。
ウ 耕起作業では、ル-トマットが確実に土壌と混和するよう十分な深さを確保します。耕起作業の良否が次の砕土・整地作業の精度に影響します。
エ 堆肥は、10ア-ルあたり5tを目安に散布します。炭カルなど土壌改良資材を必要量施用します。
オ 砕土・整地作業は、ル-トマットが確実に土壌と混和するよう、また、施用した堆肥や土壌改良資材が十分に土壌と混和するよう丁寧に行います。十分に砕土された膨軟な播種床は、牧草の出芽と定着を高めます。
カ 鎮圧は2~3回丁寧に行います。表土は硬くなりますが、牧草はきちんと出芽し、その後の定着や初期生育が改善されます。また、更新後の降雨による土壌流失を最小限にとどめることができます。

写真1

図

2 乳牛への暑熱ストレスの影響を緩和

暑熱ストレスをうけた牛は反芻時間が少なくなるため、アシドーシスになりやすくなります。

(1)アシドーシス対策(搾乳牛)

最重要:暑熱期には給与飼料全体の粗飼料割合を下げてはいけません!!
穀物類を消化のよい粗飼料かビートパルプやマメ皮などに置き換えてやります。
その他、主な対策は下記のとおりです。
ア 嗜好性のよい、消化率の高い粗飼料を給与する
これによって乾物摂取量を高く維持し、粗飼料からより多くのエネルギーを得ることができます。
発生熱は繊維>穀物、脂肪ですが、粗飼料の消化率が高くなればルーメン滞留時間が短くなり、発生熱は少なくなります。
イ カサのない飼料をやりすぎない
粗飼料をビートパルプに置き換えるとカサがなくなり、一気喰いしやすくアシドーシスになりやすくなります。
ウ ルーメンpH低下を緩和するため重曹を増給または自由採食させる
重曹はルーメンでの発酵熱を増やさずに牛にルーメンpH緩衝材を供給できる便利なものです。飼料に混ぜたり、自由になめられるようにします(100~200g/頭/日を目安です)。

(2)乾乳期の暑熱ストレス対策

乾乳期は次泌乳期への大事な準備期間です。分娩後の産乳に備えて乳腺組織やルーメンの絨毛組織を再生させます。乾乳期間に暑熱ストレスを受けてしまうと、いくら良質な飼料を与えても食い込むことはできません。また、乾乳中にヒートストレスを受けた牛は受けなかった牛と比べて、乳腺細胞の増殖速度が低くなり、乳生産量が低下するという報告もあります。
また、最近の研究により母牛の乾乳中暑熱ストレスは生まれてくる子牛の飼料摂取量や発育の低下、そして初産日乳量の低下まで長期的な影響を及ぼす可能性があることが指摘されています。
よって、暑熱ストレス対策は搾乳牛のみに気を配りがちですが、乾乳牛も同様の対策をとる必要があります。

3 アブ・サシバエ対策

気温が高くなるとアブ・サシバエが活動を始め8月をピークに発生します。アブやサシバエは、その吸血行動によって牛に多大なストレスを与え、育成牛の増体率の低下や搾乳牛の乳量低下等を引き起こします。また、吸血行動を介して白血病ウイルスをはじめとした感染症を伝播させます。

(1)アブ対策について

ア 忌避剤の使用
忌避剤を染みこませたイヤータッグ等により接触を軽減できます。
イ プアオン剤の使用
牛の背部に塗布した薬剤により、忌避効果や接触時に殺虫するもので、塗布後一定期間(約1ケ月)効果があります。
薬剤によっては搾乳牛に使用出来るものと出来ないものがあるので、事前に獣医師等に相談して使用しましょう。
ウ トラップの使用
放牧地やパドックに設置して使用します。シルエットや色、温度、動く部位等で誘因し捕獲します。
エ 送風機による換気
送風機により強い気流が出来ると牛舎への侵入を嫌がります。

(2)サシバエ対策

サシバエ対策では、(1)発生場所を確認し、そのエリアの掃除を行います。加えて状況に応じて(2)幼虫(ウジ)対策や(3)成虫対策を行います。
ア 発生場所の確認・清掃
サシバエは、放置された糞便や掃除されにくい場所(例 牛舎・牛房の隅、給水器の下、子牛のハッチ・ペンの周り等)などに産卵します。掃除されにくい場所は越冬にも適しています。
イ 幼虫対策
発生場所へ脱皮阻害剤(IGR剤)を散布します。2週間~4週間間隔で、しっかりと浸透させるように散布すると効果的です。
ウ 成虫対策
物理的な対策として、目の細かい防虫ネット(2mm以下)の設置や、1.5m以下の低い位置でのハエ取り紙や電撃殺虫器の使用があげられます。また、サシバエの休息場所となる牛舎周りの草刈りも大切です。

フッタ

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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