農作物技術情報 第2号 畜産(平成31年4月25日発行)

ページ番号2001292  更新日 平成31年4月25日

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  • 飼料用とうもろこしの栽培では、品種選定と基本技術を再確認します。適切な栽植密度で収量確保を狙いましょう。
  • 飼料用とうもろこしは初期生育が重要です。雑草・害虫の防除を適切に行いましょう。

1 飼料用とうもろこし栽培のポイント

飼料用とうもろこしは、エネルギーの高い子実と、消化性の比較的高い繊維を含む茎葉から構成され、飼料価値が優れ、家畜の嗜好性も良く、単位面積あたりの栄養収量が高い粗飼料です。下記の栽培基本技術に基づき単位収量の向上に努めましょう。

(1)品種の選定

収穫時期に確実に黄熟期に達する品種を選択し、収穫時期の作業分散と、気象変動の危険分散を考慮し、早晩性の異なる数品種を栽培します。また、昨年の作柄を考慮して、耐病性や耐倒伏性の高い品種に変更することも考えます。

(2)適切な施肥

堆厩肥は10a当たり3t、炭カルは200kgを標準とし、投入量に応じて化成肥料を加減します。
生の堆肥はタネバエを呼び、発芽不良の原因となるので、播種1ヶ月前に施用し土中で分解を図ります。糞尿の多量還元は、植物体中の硝酸態窒素含量を高め、硝酸塩中毒を引き起こす他、ミネラルバランスが崩れ、家畜の栄養上も問題となるので、窒素とカリが過剰にならないよう注意します。
土壌分析や飼料分析を実施している場合はその分析値に応じて施肥量を増減させます。

(3)適切な播種作業

飼料用とうもろこしは湿害に弱いので、排水の良い畑を準備します。栽植本数は、表1の株間と栽植本数を参考にして下さい。極早生品種で8,000本、早生品種で7,000本、中生品種で6,500本、晩生品種で6,000本を標準とします。密植しすぎると雌穂が小さくなりTDN含量が低下するだけでなく、茎が細くなり倒伏にも弱くなります。播種は霜が降りない時期で、平均気温が10℃になる頃(5月中~下旬)に行います。鳥害防止のため播種時にキヒゲン(チウラム剤)を粉衣します。

表1

(4)適正栽植密度に近づけるための一方策

とうもろこし栽培では、平常時でも播種精度や鳥害、虫害により欠株が生じます(表2)。
栽植本数の確保は収量確保の基本ですので、播種量は欠株を考慮して、やや(10%程度)多めにすることがお勧めです(表3)。最適栽植本数を確保するために、播種量について、再確認を行ってください。

表2

表3

(5) 雑草の防除

ここ数年圃場に発生する雑草の種類と発生程度によって、適切な除草剤を選択し、散布時期、散布量、使用回数を守り防除に努めます。同じ除草剤を使用し続けているとその除草剤に抵抗性のある雑草が増えてきますので、JAや普及センターに相談のうえ、一部の圃場で別の除草剤を試してみることもおすすめします。
砕土(播種床形成)~土壌処理(除草剤)まで期間を空けすぎると雑草が芽吹いてきます。
また、除草剤をしっかりと効かせるために砕土、鎮圧を念入りに実施します。

(6) 害虫の防除

早期発見が最も重要であり、発生の予想される時期に圃場をよく観察します(前年発生した圃場は特に注意します)。
アカザ・タデ類などの幼植物はタマナヤガ(ネキリムシ)の産卵を誘発し、発生源となるので、播種後から生育初期にかけて雑草防除を徹底します。
前年に被害があった圃場にはクルーザーFS30を種子に塗沫処理すると被害を最小限に留めることができます。もし、飼料用とうもろこし生育中に害虫が発生した場合は表4を参考に対策をとってください。

表4

写真1

2 飼料用とうもろこしの苗立枯病について

ここ数年、飼料用とうもろこしの苗立枯病が圃場で散見されています。播種後に低温が続いた場合に発生しやすく、特に排水対策がなされていない圃場ではいっそう発生が助長されると言われています。
発芽後、4-6葉期頃に急に地上部がしおれて枯死し、地下部を掘り出すと中茎、根、種子が腐敗しています。原因はピシウム、フザリウム等の土壌病原菌です。
発生が続いている圃場では、種子粉衣剤(チウラム系薬剤等)の利用や、圃場の明渠、畝立て等による圃場の排水・乾燥対策、施肥、土改剤等でpH改良をするなど対策をとる必要があります。

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