【凍霜害に備えましょう!】果樹類の凍霜害対策について(4/5)

ページ番号2006844  更新日 令和5年4月18日

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1 生育概況

生育診断圃調査地点の調査結果によると、3月27 日時点でりんごの発芽は、県内すべての地点で確認されており、平年より14 日早まっています(表1)。
温度変換日数法(H28 研究成果)による開花予測(3月24 日時点)では県平均で5月1日であり平年より4日早く、また、発芽日から推定した開花日は4月21 日で平年より15 日早い状況です(表2)。
おうとう、西洋なしも発芽が確認されており、平年より10~20 日程度早まっています。
令和3年は3月の気温が高く推移し、りんごの発芽及び展葉は平年より10 日以上早まりました。
そのため、りんごを含め果樹類で4月の低温降霜により大きな被害が発生しました。
令和5年の生育は、発芽の時点で令和3年より早まっており、また、気象庁の1か月予報(4/1~4/30)によると気温は高くなると予測しており、開花はさらに早まる可能性があります。

表1

表2

表3

2 凍霜害対策

りんごの花器は、開花期に近づくにつれ、低温耐性が下がります(図1)。おうとう、西洋なしも同様です(ステージ別安全年限界温度は省略)。
降霜は無風、晴天の日で、降雨の1~2日後は特に危険性が高く、さらに前日夕方18 時の気温が6℃以下の場合は要注意です。

図1

(1)凍霜害の防止対策

ア 霜溜まりの解消

傾斜地の場合、園地下方の障害物は、霜溜まりを作りやすいので除去します。例えば、園地周囲の防風ネットが冷気の流れをせき止めるような場合は、巻き上げておくか除去します。
低温層の発生位置をできるだけ低くするため、マルチを除去し草刈り等で清耕状態とします。


イ 燃焼法による防止

降霜は、数日間連続することが多いので、燃焼法で対応可能な園地では、燃料を十分準備しておきます。令和3年度の使用時期は、最も早くて4月6日、回数は低温降霜が少なかった地域でも2~3回は実施する必要がありました。燃焼法は一定コスト(30,000 円/10a 程度)がかかるため、一昨年被害が多かった圃場では、低温になりやすい場所など地形も考慮して設置するなどの配慮が必要です。
【例】市販の防霜資材、灯油、霜カット等
火点数は概ね40 カ所/10a以上を確保し、風上側に多く配置します。着火は気温が0℃になる直前に行います。
なお、灯油にせん定枝チップを混用した燃焼法も効果的であり(表4)、灯油をそのまま燃焼させたときと比較し、黒煙の発煙量が少なく、燃焼時間も長くなります。また、点火性も良く、資材費等の面からも有効で、1.5mの高さで2~4℃の気温上昇が期待できます。


ウ 防霜ファンの準備

防霜ファンを設置している園地では、動作の確認、始動温度(2℃)の確認をしておきます。


エ 散水氷結法

畑地かんがい施設が整備されている地域では、スプリンクラーかん水による散水氷結法が可能なので、防霜ファン同様に始動温度の設定等を確認します。

表4

3 被害発生後の対策

(1)被害状況の確認

凍霜害発生後、被害状況を把握するためにはナイフなどでつぼみや花を割り、内部の状況を肉眼で確認します(図2)。確認する内容は、めしべから胚珠の色が健全か否かで、褐変している場合は結実が期待できません。
以下の点を確認し、被害の少ない品種、少ない部位を確実に結実できるように結実対策を実施します。
ア 中心花と側花の被害程度(中心花及び側花は結実可能であるか)
イ 樹上部と目通り高さの被害程度(樹上部の花は結実可能であるか)
降霜被害では樹上部より樹の下部の方に被害が見られます(図3)
ウ 傾斜した園地では、園地下部と上部の被害程度
エ 品種毎の被害程度(被害の少ない品種は何か)

(2)結実確保

被害を免れた花を確実に結実させるため、人工授粉を徹底します。


(3)摘花・摘果

摘花作業は慎み、摘果剤の散布も控え、被害様相が明らかになり結実を確認してから実施します。また、結実しても、サビ果、不正形果が出るので、予備摘果は多めに残し、仕上げ摘果で良い果形のものを残します。

図2

図3

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