農作物技術情報 第8号 果樹(令和5年10月26日発行)

ページ番号2010174  更新日 令和5年10月26日

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タイトル

  • りんごの果実生育(横径)は平年並です。
  • 夏秋期は気温が高く着色は遅れ、「ジョナゴールド」は果肉の成熟が先行しました。「ふじ」についても、着色や蜜入りを待ち過ぎての収穫は、貯蔵性の低下や裂果の発生、樹上凍結が懸念されるので、食味を重視した適期収穫に努めましょう。

1 生育概況

(1)果実肥大(表1)
生育診断圃における10 月1日時点の果実生育(横径)を県平均でみると、「ジョナゴールド」、「ふじ」ともに概ね平年並(平年比102%)となっています。

表1

(2)果実品質(図1~3)
9月下旬から10 月上旬における「ジョナゴールド」の果実品質は、県平均で、平年より糖度が高く、硬度とデンプン指数は低く、気温が高く着色が遅れる中、果肉先行となりました。
なお、園地によっては収穫前落果が発生したため、落果防止剤が使用されました。

図1,2,3

2 栽培管理の要点

(1)晩生種の収穫
本年は、開花が平年より2週間早まり、満開日起算日数による収穫予想日はかなり早くなると見込まれますが(表2)、夏秋期の記録的な高温の影響から、品種ごとに成熟の進み方が異なっています。このため、事前によく食味を確認し収穫を開始します。
「ふじ」など晩生種は、食味を重視して収穫しますが、本年は「ジョナゴールド」などの中生種同様、着色の遅れが想定されます。着色や蜜入りを意識し過ぎて遅くまでならせておくと、果肉の軟化や果実の樹上凍結の危険、降雪による収穫の遅れが出てきますので、例年以上に食味を重視した適期収穫を心がけます。また、養分の消耗は樹体の凍寒害につながる恐れもあるので、注意してください。
なお、本年の早生種や中生種は、平年より硬度が低い傾向がみられ、品種によっては収穫前落果が発生し、緊急的に落果防止剤を使用するなど異例の対応が必要でした。このため、晩生種についても、収穫前の樹体の様子や果実品質を十分確認してください。

表2

(2)果実の樹上凍結の回避
樹上で果芯部まで凍結した果実は、内部褐変、硬度の低下、食味の低下など果実品質が低下します。特にも収穫後常温においた凍結果実は内部褐変が著しく増加し、冷蔵貯蔵でも貯蔵20日以降に増加することが認められています(図4、5)。
したがって、このような果実の樹上凍結を回避するためには、販売時期からみた収穫適期を守り、過度に遅い収穫は避けるようにしてください。
被害を受けてしまった際は、凍結果は押し傷がつきやすく品質の低下を招くので、樹上で解凍してから収穫します。また、速やかにJA等関係機関と協議の上、販売する場合は冷蔵貯蔵し、光センサー選果機等で褐変果を排除してください。

図4 5

(3)風害防止対策
11 月は発達した低気圧の影響で、思わぬ風害が発生する場合もあります。強風で倒木が発生しないよう、防風ネットの設置、支柱との結束を改めて確認してください。また、気象情報に注意し、場合によっては低気圧の接近前に収穫可能な晩生種は収穫を進めるなど、被害を最小限にできるよう対策を講じてください。
(4)病害虫防除対策
黒星病や褐斑病の発病葉・発病果は翌年の伝染源となるので、葉摘みや収穫作業の際に発病が確認された場合は見つけ次第摘み取り、土中に埋没させるか焼却処分をしてください。

3 除草剤の秋期処理

「ふじ」の収穫後から落葉する前まで(落葉後は散布ムラが出るため)に除草剤を処理することで、翌年の6月上旬頃まで雑草を抑えることができます(表3)。
しかし、秋は気温が低く除草剤の効果が出るまで時間がかかりますので、草が枯れないからといって再度処理する必要はありません。
なお、収穫後に秋期処理した除草剤は、翌年の農薬使用回数に含まれますので注意してください。グリホサート系除草剤(ラウンドアップマックスロードなど)は、風などで舞い上がり樹体に付着すると、除草剤が直接付着しなかった枝でも春以降に葉が柳葉状になる薬害が生じることがあります。グルホシネート系除草剤(バスタ液剤、ザクサ液剤など)は幹に薬剤が付着すると樹皮が粗皮状になり、幼木では枯死することもあります。除草剤を使用する際には、専用の散布器具を用いて飛散しないよう注意してください。

表3

【資料利用上の注意】

  • この資料に掲載している農薬の情報は、令和5年10 月20 日現在の農薬登録情報に基づいています。
  • 農薬は使用前に必ずラベルを確認し、使用者が責任をもって使用してください。

(資料作成年月日:令和5年10 月20 日)

最後

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