農作物技術情報 第8号 水稲(令和5年10月26日発行)

ページ番号2010170  更新日 令和5年10月26日

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タイトル

  • 今年の栽培管理から、生育に応じての必要な対策を実施できたか、コスト面での無駄はなかったか等、来年に向けて振り返りを行いましょう。

1 本年の生育経過

(1)育苗期
県内の播種盛期(50%)は4月16日で平年並となりました。育苗期の気温は寒暖差が大きかったものの、平年並からやや高く推移しました。地域や品種によってばらつきはありましたが、概ね充実度の高い苗質となりました。

(2)活着~分げつ期~幼穂形成期
県内の移植盛期(50%)は5月17日、終期(90%)は5月24日でいずれも平年並となり、各地域とも概ね適期内に田植え作業が終了しました。
活着後の6月は気温が高く推移したことから、初期生育は良好であり、6月中・下旬の茎数は平年比105%となりました。
7月は気温・日照時間とも平年を上回り、幼穂形成期は7月9日頃、減数分裂期は7月21日頃と、いずれも平年に比べ2日早まりました。

(3)出穂・登熟期
出穂盛期(50%)は県全体で8月1日頃となり、平年に比べ3日早まりました。
登熟期間中、気温と日照時間は平年に比べかなり高く推移したことから、成熟期は平年より9日早く、刈取り盛期(50%)は7日早まりました。
外観品質は、高温の影響や刈り遅れによるとみられる白未熟粒や胴割粒が確認されています。

図1

(4)本年の作柄
9月25日現在における岩手県の予想収量(農林水産省東北農政局、令和5年10月13日公表)は、10a当たり534kg(篩い目幅1.90mm)、作況指数104と見込まれています。

図3

2 来年の作付けに向けて

(1)育苗
大規模育苗では、浸種水温の制御や温度管理・かん水等を細かく行うことが難しい場合があるため、来年に向け、育苗設備や人員体制、作業スケジュールをチェックするとともに、基本に立ち返って必要な技術対策(浸種水槽の保温対策、プール育苗等の技術導入)を講じます。
(2)本田管理
ア 初期生育の確保
初期生育の確保のため、育苗管理や移植後の水管理、栽植密度・植付本数をチェックします。
イ 中干しの適切な実施
7月上旬は平年でも降雨が多く、田面が乾きにくい傾向があるため、遅くとも6月25日頃には目標茎数を確保して中干しを開始できるよう、移植時期や生育前半の管理を確認します。
ウ 登熟を低下させない水管理
本年は登熟期間中の気温がかなり高く推移しました。登熟前半に高温(日中30℃以上、夜間23℃以上)が続く場合、登熟不良や玄米品質の低下(胴割粒や白未熟粒の発生)を招く恐れがありますので、夜間かんがいを実施するなど、水の入替頻度を高めて、水温・地温を下げるとともに、根に酸素を与えて活力維持をはかります。
エ 適期刈取り
刈遅れは着色粒・胴割粒、白未熟粒の混入率を高めます。県内の出穂は年々早まる傾向が続いており、また、本年のように高温により成熟期が大幅に早まる場合もあるため、早い段階から刈取り時期の見通しを立てるとともに、乾燥調製施設の運用が円滑に行われるよう、稼働計画の策定や設備点検などの準備を進めておきます。
オ その他
必要な栽培管理がもれなく実施できるよう、現在の営農体制(作業暦や人員、機械装備)と作付規模を照らして、必要に応じて見直しをするとともに、複数品種の作付や苗質の変更、直播栽培などの技術導入による作業分散も検討します。

3 稲作の低コスト・省力栽培技術の導入に向けて

肥料・燃油価格は依然として高い状況にあります、以下の観点も踏まえながら総合的なコスト低減・省力化に努めます。                                                              (1) 作付面積の拡大(規模拡大)⇒ 10aあたり生産費の低減
(2) 生産量の増加 (収量増加)⇒ 60kgあたり生産費、生産物10,000円あたり生産費の低減
(3) 販売単価の向上(有利販売)⇒ 生産物10,000円あたり生産費の低減
岩手県では下記のマニュアルを岩手県ホームページに掲載しています。是非一度ご確認ください。

低コスト稲作栽培技術マニュアル(令和5年4月)
https://www.pref.iwate.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/007/686/manual_r0504_4.pdf
岩手県肥料コスト低減対策マニュアル(令和4年1月)
https://www.pref.iwate.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/049/686/hiryoukoutoumanyuaru0406.pdf
岩手県スマート農業事例集(令和5年3月)
https://www.pref.iwate.jp/agri/_res/projects/project_agri/_page_/002/003/505/iwatesmatjireiv30.pdf

最後

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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