農作物技術情報 第7号 野菜(令和5年9月28日発行)

ページ番号2007309  更新日 令和5年9月28日

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タイトル

  • 台風対策 排水対策と施設の保守点検を万全に 。
  • 果菜類 【施設】 トマトでは 保温等による裂果防止、早朝換気によるゴーストスポット発生防止に努めましょう。
  • 果菜類 【露地】 キュウリホモプシス根腐病等の 重要病害の発生状況の確認(残渣診断)や振返りを行い、次年度へ向けた対策を検討しましょう 。
  • 葉茎菜類 雨よけ ほうれんそうは適切な温度管理と病害虫防除を徹底しましょう。
  • 冬春野菜 寒じめほうれんそうは 大雪への備えを万全にし、 適期播種と適切な温度管理を徹底しましょう。 促成アスパラガスは 低温遭遇時間 を目安にして根株の掘り取り時期を決めましょう。

1 生育概況

(1)果菜類【施設】

  • きゅうりは、高温による影響がまだみられますが、生育は概ね順調です 。アブラムシやハダニ類などの害虫が発生しています。
  • トマトは、高温による落花から収穫量は少ないですが、徐々に回復傾向です。 裂果の発生がみられ ます。病害虫では、葉かび病やコナジラミ類、オオタバコガの発生がみられます。
  • ピーマンは、生育は概ね順調ですが、高温の影響により奇形果(曲がり果、石果)、肥大遅れによる赤果の発生が多いです。病害虫では、斑点病、アザミウマ類、一部でタバコガ類の発生が継続しています。

(2)果菜類【露地】

  • きゅうりは、 草勢低下や病害により枯れ上がる 圃場 がみられています。 病害虫では、べと病や炭疽病、褐斑病 、ウリノメイガ、ハダニ類がみられています。
  • ピーマンは、概ね順調ですが、 肥大遅れによる 赤果、 ひび果 の発生が多いです。病害虫では、斑点病、斑点細菌病、一部でタバコガ類の発生が継続しています。

(3) 葉茎菜類

  • 雨よけほうれんそうの生育 は 、 一部で高温による停滞がみ られますが、回復傾向となっています 。病害 は一部で白斑病の発生がみられます。 害虫はシロオビノメイガの発生が多くなっています 。
  • 高冷地キャベツは概ね順調な生育で 、高冷地レタスは一部で高温の影響により不結球や抽苔が発生しています。 病害虫は、キャベツでは黒斑病、ヨトウムシ、レタスでは褐斑病、タバコガ類の発生が多くみられます。
  • ねぎは、収穫作業は順次進んでいますが、高温や乾燥の影響により生育は停滞気味で葉鞘径が細めです。病 害虫では、軟腐病、黒斑病、アザミウマ類、ハモグリバエ類の発生がみられます。

2 技術対策

(1)台風対策
例年10 月は台風の発生が多い時期になります。気象情報を確認し状況に応じて排水対策、施設の保守点検など、事前事後対策を徹底してください。 具体的な技術対策は以下のとおりですが、詳細については、9月7日発行の「号外 台風対策」を参照してください。

  • 圃場周囲の明渠の点検と排水口への接続状況を確認し 、スムーズな排水に努めます。
  • ハウスバンドの締め直しやハウスビニールの破れ部分の補修を行います。
  • 収穫可能な果実は、台風前に収穫するようにします。
  • 被害後は、被害茎葉や被害果を除去し、 予防的に防除を行います。

写真1

(2)果菜類 【施設】 の管理
ア きゅうり

  • 早熟作型では、生育が終盤となるため、生育状況や収穫終了時期に応じた管理を行います。
  • 抑制作型では、日照時間が短くなり、気温も低下し、濡れによる病害の発生が懸念される ため 、 ハウスを閉めきる時間が長くな らないよう注意しま す 。 側枝は2~3節で摘芯し、枝数や葉数を確保し ます (写真1)。

イトマト
これからの時期は、既に着果している果実の裂果や病害 の 発生を防ぎ確実に出荷に結び付けることが 重要です。

  • 温度管理は、 夜間の保温により、急 激な気温の低下及び14 ℃以下の低温を防ぎます。
  • かん水は、早朝のかん水時間を遅らせたり、 定期的なかん水や気温や生育量に応じたかん水量の調整を行って根域の水分過剰を防ぎ、急激な吸水による裂果を防ぎます。
  • 湿度管理は、 外気と施設内の気温差がなくなるように 早朝にハウスサイドを開放し、果実表面への結露を防止します。果実表面の結露はゴーストスポットや裂果の発生を助長します。
  • 病害では、葉かび病や灰色かび病が発生しやすくなるので、防除を徹底してください。

ウ ピーマン
気温の低下とともに果実の肥大が緩慢となりますので、夜間の保温により生育温度の確保に努めてください。

  • 最低気温 16 ℃以上をめどに夜間の保温を行います。
  • 出荷規格に適さない果実は、早めに摘除し、収穫果の肥大を促します。
  • 湿度上昇による病害発生を低減するために、日中は少しでも換気を行いハウス内の空気を動かすようにします。
  • 防除は、斑点病、灰色かび病を中心に行います。

写真2

(3)果菜類 【露地】 の管理
ア きゅうり

草勢の維持と病害虫対策の徹底により収穫期間の延長を図ってください。

  • 強い摘芯は控え、アーチから飛び出した弱い芯を指先で摘む程度に止めます。
  • 摘葉は病葉・古葉・黄化葉等を中心に 、 追肥は、栽培終了時期を見越して行います。
  • 防除は、農薬の使用回数(成分の総使用回数を含む)に注意し、薬剤を選択してください。
  • 収穫残さに付着している 病原菌は、翌年の発生源 となるので、栽培終了後は速やかに圃場外へ持ち出し、できる限り圃場に残さないように片づけてください 。 
  • 栽培終了後、根をそのままにして枯れさせると、 キュウリホモプシス根腐病 が増える可能性があるため 、 きゅうりの根は速やかに抜き取り、キュウリホモプシス根腐病(写真 2) の発生の有無を確認してください。
  • 疑わしい症状が見られた場合や、次年度の作付けに不安がある 場合は、最寄りの農業改良普及センター等に連絡し、残さ診断を受けてください。

写真3

イ ピーマン
この時期は、病害や腐敗果、赤果の発生が増加する恐れがあるので、防除や果実の選別を徹底してください。

  • 斑点病、斑点細菌病の防除を中心として、降雨前後に薬剤を散布し発生低減を図ります。
  • 腐敗の原因になるため、被害果(タバコガ類等)や傷果の選別を徹底します。
  • 赤果の混入防止のため、果実の色をしっかり確認します(写真3) 。
  • 果実表面に水分がないよう、出荷時の果実は乾いた状態とします。

写真4

(4)葉茎菜類の管理
ア 雨よけほうれんそう

  • 年内収穫に向け 、もう1作播種することを検討します 。低温伸長性の良い品種を選択し、ハウスのこまめな開閉等による温度管理を適切に行います 。
  • ハウスを閉める時間が長くなると、べと病の発生が多くなります。べと病抵抗性品種を利用する場合でも、日中は換気に努めるとともに、予防防除を行ってください 。
  • ホウレンソウケナガコナダニの被害が多くなる時期です。今年被害があった圃場では、土壌処理剤と茎葉散布剤を併用します。茎葉散布剤は薬液が芯葉まで届くように丁寧に散布してください。
  • シロオビノメイガによる食害が多くみられます。 幼虫は、初め芯葉の隙間に入り込んで見つけにくいので、注意して観察し、防除が遅れないようにしてください(写真 4) 。

イ キャベツ・レタス
・県北高冷地の収穫は終盤です。病害により収穫できなかった株、使い終わったマルチを適切に処理します 。
ウ ねぎ
台風等の降雨により圃場作業が出来ない日も多くなるため、ゆとりのある作業計画により適期収穫に努めてください。

  • 10 月収穫の最終培土は、収穫の 30 日前を目安に、軟白部の伸長肥大を確認しながら行います。
  • 薬剤防除は、例年の防除体系加え、今年発生の多いアザミウマ類も考慮して行います。また、農薬散布は収穫前日数に注意して適正に行います。
  • 次年度に向け、収穫終了圃場から土壌診断や堆肥の施用を行います。

(5)冬春野菜の管理
ア 寒じめほうれんそう

  • 冬期間の大雪によるパイプハウスの倒壊を防止するため、寒じめほうれんそうを作付けするハウスは補強用支柱や番線、筋交いを設置する等の補強対策を講じます。また、作付けするハウスは1棟おきにして、作付けしないハウスはビニールを外し、除雪しやすい環境を整えます。
  • ハウス栽培では9 月下旬 ~10 月中旬が播種時期です。 地域により気象条件が異なるので、品種特性に合わせ て適期に播種します 。
  • 播種後の温度管理は、過剰に保温すると生育が進みすぎ、温度が低すぎると生育が大幅に遅れます。本県の寒じ めほうれんそうの出荷期間は 12 月~翌 年2月となるので、生育ステージに応じた適切な温度管理を行ってください 。

イ 促成アスパラガス

  • 気温の低下とともに、地下部への養分転流が進む時期です。台風による倒伏等で、茎葉が傷まないよう管理 します 。
  • 根株の極端な早掘りは伏せ込み後の収量低下につながるので、低温遭遇時間5 ℃以下の積算遭遇時間 90 時間 以上)を目安に、掘り取り時期を決定します 。

最後

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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