号外 台風対策(令和5年9月7日発行)

ページ番号2007262  更新日 令和5年9月7日

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タイトル

台風13 号に関する情報(気象庁・9月7日6時発表)では、台風13 号は9日~10 日にかけて本県に近づく見込みです。今後の気象情報に注意し、農作物被害の発生を防止するための対策を適切に行いましょう。

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人命第一の観点から、圃場の見回り等については、気象情報を十分に確認し、大雨や強風が収まるまでは行わないでください。また、大雨等が収まった後の見回りにおいても、増水した水路やその他の危険な場所には近づかず、足下等、圃場周辺の安全に十分に注意し、転落、滑落事故に遭わないよう慎重に行動してください。

水稲

適期刈取りにつながる対策を!

県内の水稲は登熟期の高温経過により収穫適期が大幅に早まっており、多くの地域で刈取り適期を迎えています。台風が通過する前にできる限り刈取りを進め、通過後には速やかに作業を開始・再開できるよう、事前準備も含めた対策を徹底しましょう。

事前対策

(1)可能な限り刈取りを進める
刈取り適期(黄化籾80~90%)を迎えているところは、台風通過前にできる限り刈取りを行います。                                                        (2) 浸水・冠水に備え、排水設備の事前点検
ア 水田の排水口・暗渠を確実に開放します。
イ 排水路等にゴミや雑草などが詰まると、本田への浸水・冠水が起きやすくなります。このため、水路のゴミ等はあらかじめ取り除いておきます。

事後対策

(1)浸水・冠水した場合は、速やかに排水
長時間の冠水は玄米品質の低下につながります。特に倒伏した圃場では穂発芽を避けるため、速やかな排水が必要です。
(2)倒伏した場合は、収穫時に刈分け
刈分けにより、土砂が付着した籾や穂発芽粒、青未熟粒の混入を防止します。
(3)退水後は圃場を点検し、ゴミ等を除去
河川水が流入した圃場では、流木やゴミ類が残っている場合があり、コンバイン等の機械が噛み込むと故障や事故につながるため、退水後の圃場点検を確実に行います。
(4)冠水した圃場で収穫する場合は、作業機をこまめに清掃
穂に土砂などが付着すると、収穫・調製機械に負荷がかかるだけでなく、玄米の汚損につながる恐れがあるので、清掃は念入りに行います。

畑作物

排水対策を十分に!

事前対策

圃場表面の排水を促すため周囲溝や排水口などを点検・補修し、土壌表面水の速やかな排水に努めます。

事後対策

大豆 圃場にたまった水は直ちに排水し、長時間滞水しないように努めます。倒伏した株は莢が地面に接しないよう株どうしを重ねて持ち上げておきます。

小麦 適期播種ができるよう、作付け予定の圃場に溜まった水を速やかに排水します。

野菜

排水対策と施設の保守点検を行い、通過後は草勢の早期回復を!

事前対策

(1)大雨に備え、圃場(ハウス周り)の排水溝の整備・点検を行います。特に、圃場(ハウス)外からの浸水を防止するため、周囲にあらかじめ排水溝を設けておきます。
(2)圃場(ハウス)周囲に防風ネットを設置している場合は、強風に備え、緩んでいるワイヤーや針金を張り直し、ネットが破れている部分は補修します。
(3)強風で、支柱が抜けたり倒伏する恐れがありますので、畝の両端や所々で支柱を補強します。また、支柱・ネット等への茎葉の誘引状況を点検し、しっかり固定します。
(4)パイプハウスの点検・補強
ア 被覆資材(ビニール)の破損箇所を補修します。
イ パッカーやスプリング等固定部品を点検します。
ウ ハウスバンド(マイカー線)の増し締めや増設により、被覆資材の締め付けを補強します。
エ 骨組みの強度の弱いところは、筋かいを入れて補強します。
オ 飛来物による被覆資材の損傷を防ぐため、ハウス周辺の片付けや清掃を行います。
カ 風が強まってきたら、入口、サイド、天窓、妻窓を完全に閉め、入口は取っ手同士をひもで結び、風で開かないよう杭で補助するなどしっかりと固定します。
キ 施設を閉め切ることで、湿度が上昇して病害が発生しやすくなるので、循環扇等で空気を撹拌して予防に努めます。
ク 換気扇が設置されている場合は、強風時にハウス内の気圧を下げるために稼動します。風が弱まったら直ちに停止します。
(5)収穫可能なものはできるだけ事前に収穫を終えます。

事後対策

(1)排水対策等
圃場(ハウス内)にたまった(侵入した)水はただちに排水し、長時間滞水しないように努めます。排水後、圃場作業が可能になったら、(1)マルチ穴を広げ畝の土壌を乾かす、(2)露地栽培では畝間の中耕を行う等の対策を実施し、土壌中に空気を送って根の伸長を促進します。                                                             (2)殺菌剤散布、液肥の葉面散布
ア 冠水や多湿、茎葉の損傷等により病害が発生しやすくなっていますので、品目ごとの農薬使用基準に従って殺菌剤を散布し、病害の発生を未然に防ぎます。なお、強風でハウスビニールが破損し風雨にあたった場合も同様に対処します。
イ 茎葉に泥土が付着している場合は、動力噴霧機で水をかけ洗い流した後、殺菌剤を散布します。
ウ 草勢が低下した場合は、必要に応じて液肥を薄い濃度で施用または葉面散布し、草勢回復を図ります。
(3)整枝、摘葉、摘果
果菜類では、傷んだ茎葉や果実は摘除して草勢回復を図ります。

花き

排水対策と風による倒伏対策を十分に!

事前対策

(1)収穫期を迎えている圃場では、開花状況にあわせて早めに収穫を終えます。
(2)圃場外からの侵水を防ぐため用水路の点検を行い、ゴミの除去や壊れた箇所の補修を行います。また、増水によっていつも水が溢れる場所は、土のう等(肥料袋に土を入れたもので代用可能)で補強します。
(3)水のたまりやすい場所は、速やかに排水できるよう事前に排水溝を設けておきます。併せて、排水路を点検し、上述した用水路と同様に対策を講じます。
(4)支柱やネットの強度を点検、補強します。ぐらつく支柱は打ち直すか打ち込みし、風の影響を受けやすい圃場では支柱を増設します。ネットは適正な位置に調整し、たるみがある場合はネットの両サイドにロープを入れて補強します。また、横木の設置、増設は、支柱・ネットの補強に有効です。
(5)パイプハウスでは、ハウスバンド(マイカー線)が切れていないか、緩んでいないかを点検します。被覆資材の破損が拡大しないように、ビニールの小さな破れや傷の補修を行います。
また、風が強い場合は施設を閉め切ることになりますが、湿度が上昇して灰色かび病などの病害が発生しやすくなるので、循環扇等で空気を撹拌して予防に努めます。

事後対策

(1)株の立て起こし、支柱・ネットの修復
強風によって株が倒伏・傾倒した場合は、時間が経過するほど茎の曲がりが戻りにくくなるので、風が弱まったら直ちに株を立て起こします。併せて、支柱・ネットを修復します。
(2)圃場の排水
圃場にたまった水は、速やかに排水します。特にキク類では萎ちょう症状(水焼け)が発生しやすくなるので、長時間滞水しないよう努めます。
(3)病害対策
圃場の冠水や多湿、茎葉の損傷、泥の茎葉への跳ね上がりにより、病害が発生しやすくなりますので、品目ごとに農薬の使用基準や各地域の防除暦などに従って殺菌剤を散布します。ただし、株に泥土が付着している場合は、動力噴霧機で水をかけ洗い流した後、殺菌剤を散布します。併せて、ハウス等施設栽培では換気を徹底し、湿度の低下を図ります。
りんどうでは、黒斑病、葉枯病に、キク類では白さび病の発生に注意します。また、今年新植した圃場や収穫が終わった圃場の防除も継続して実施します。                                        (4)被害株及び茎葉の除去
出荷不能となった株や折損した茎葉は、圃場外に持ち出して処分します。
(5)草勢が弱った場合は、液肥を葉面散布し回復を図ります。

果樹

暴風対策と被害軽減対策をしっかりと!

事前対策

りんご
(1)収穫期を迎えている品種は、果実品質(硬さ、地色など)と散布した農薬の使用基準(収穫前日数)を確認し、収穫が可能なものは速やかに収穫を進めます。特に、本年は、高温により早生種の着色が緩慢ですが、現時点で糖度は高く食味は収穫基準に達していますので、適期収穫に努めてください。
(2)防風ネットを設置している園地では、ネットの張りを点検し、緩んでいるワイヤーは張り直し、破れたネットは張り替えるなど十分に効果が現れるよう準備します。
(3)わい性樹は強風で倒伏することがあるので、主幹を支柱に2~3ヵ所結束します。長大な側枝を持つ樹形であれば、一層バランスを崩しやすいので、丈夫な支柱で支えはずれないようしっかり縛り固定します。幼木も忘れずに支柱に結束します。
(4)高接ぎ樹では大切な更新枝を保護するよう添え木をします。
(5)降雨による表面水を速やかに排水できるよう、予め排水溝を設けておきます。
ぶどう
(1) 防風施設の設置、見直しを行います。(事前対策りんご(2)に同じ)
(2)棚が倒壊しないよう、棚内部の力線に補助支柱を配し、周囲柱、隅柱を補強します。
また、雨よけハウスは、ハウスやフィルムが飛ばされないよう、ハウスバンドやフィルム留め具等の点検を行い、ビニールの破損があれば補修します。
(3)降雨による裂果の発生や、土壌の軟弱化によるアンカー等の浮き上がりを軽減するため、排水溝を切り、速やかに排水できるよう対処します。

事後対策

りんご、ぶどう
(1) 落下した果実は、出荷団体や農業共済組合等と協議のうえ、それぞれの用途に応じて適正に処理します。
(2) 強風や雨により地盤が緩み、樹が斜めに傾いたり、横になった場合の立て直しは、できるだけ早く行います。ただし、そのまま不用意に引き起こすと、残っていた根も切ることがあるので、倒れた側からスコップで少し掘り下げるなど、注意深く戻します。また、すぐに起せない
場合は、露出した根に土をかけるなどして乾かないようにします。
(3) 冠水により枝に付着したごみや果実の泥を排除します。また、果実に腐敗等が確認された場合は速やかに取り除きます。
(4) 園地が冠水した場合や、枝葉や幹に無数の傷が生じている場合には、疫病などの果実腐敗性病害やふらん病など樹体病害が感染する恐れがあります。このような場合は、定期防除を早めるか、特別散布で殺菌剤を全面散布し、感染を予防します。また、側枝や大きい結果母枝が折れた場合には、傷口をなめらかに切り塗布剤を塗布します。
(5) 今春に、低温、降霜により被害を受けた園地においても、次年度以降の営農を考慮して病害虫防除を行います。

畜産

停電時対応の確認、転作田の排水対策の徹底を!

事前対策

(1)畜舎
ア 強風により畜舎や施設の破損が懸念されるので、畜舎周辺を点検し、必要であれば修繕や補強を行います。風雨でカーテン等が飛ばされないように固定・補強します。また、畜舎内に雨水が入らないよう施設の点検を行います。
イ 停電により搾乳が出来ない場合を想定して、発電機の準備や使用方法を確認しておきます。また、可能であれば貯水タンクに水を確保しておきます。
ウ 紙袋の濃厚飼料等は、雨がかからない場所に移動するか、シートで被います。
(2)圃場
ア 黄熟期に達した飼料用とうもろこしは、可能な限り収穫します。
イ 飼料作物を作付している転作田では、排水溝の点検を行い、特に、とうもろこしは湿害に弱いので排水対策を徹底します。
ウ 草地や敷地内で、雨水が滞留しやすい場所にラップサイレージがある場合は、影響を受けない安定した高めの場所に移動します。
エ 河川や用水路等水辺近くの圃場で、放牧や獣害用の電気柵を設置している場合は、念のため電牧器本体を撤収し、浸水等による紛失、故障等を防ぎます。

事後対策

(1)畜舎
ア 畜舎内に浸水や雨漏りがあった場合は、畜舎が高温多湿かつ不衛生となるので、台風通過後は畜舎やその周辺の排水を徹底し、排泄物や汚れた敷料の除去、牛床等への消石灰散布と新しい敷料の投入、空気の入れ替え等による乾燥を図ります。
イ 停電になった場合は、通電後に搾乳機器の確認を行います。また、給水・給餌機等の動作も確認します。
ウ 停電で搾乳が大幅に遅れた場合は、前搾り乳の凝固物(ブツ)の有無を確認します。乳房炎が疑われる場合はクオーターミルカで搾り分けするとともに、体調の変化も併せて確認し、異常時は獣医師の診察を受けます。
(2)圃場
ア 圃場が滞水した場合は、速やかに排水するよう努めます。飼料作物の収穫時には、飛来物が混入しないように注意します。
イ とうもろこしの折損や倒伏が発生した場合、軽度の倒伏では雌穂の登熟を待ち、黄熟期に収穫します。また、倒伏・折損程度が著しく収穫適期前に利用する場合は、給与の際、他の飼料との併給等により、多量給与することを避けます。
ウ 倒伏したとうもろこしの収穫は、トラクタで茎葉をできるだけ踏まないように走行方向を決め、ハーベスタの走行速度は控えめにし、高刈して土の混入を避けます。また、倒伏し枯れあがりが進んだものは切断長が粗くなりやすいので、詰込み密度を確保するため十分に踏圧するとともに、乳酸菌等の添加により品質確保に努めます。
エ 倒伏・折損被害が更に著しい場合および土砂が圃場に流入して収穫不能となった場合は、速やかなまき直しに向けて圃場準備を行い、ライ麦やイタリアンライグラスを播種して来年度の自給飼料の確保を図ります。                          オ 電気柵を設置している場合は、流入物の撤去や破損箇所の確認・修繕等、漏電補修を行った後に通電します。

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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