農作物技術情報 第6号 果樹(令和5年8月29日発行)

ページ番号2007237  更新日 令和5年8月29日

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タイトル

  • りんご これまでの高温経過により着色は緩慢で、果皮色と内部品質が一致しないまま収穫期を迎えつつあります。過度な着色は期待せず、食味・硬度等を確認して適期収穫に努めましょう。早生種の熟期は、平年並~やや早めです。
  • ぶどう 全般的に熟期が早まっています。食味を重視した適期収穫を徹底しましょう。

りんご

1 生育概況

各生育診断圃における8月1日時点の果実生育(横径)の調査結果は、県平均で平年比107~108%、前年比105~106%となりました(表1)。
本年は、4月下旬の降霜による奇形果やサビ果、7~8月の高温による日焼け果などの発生が確認されています。収穫に向けて、被害を受けた果実を中心に必要に応じて摘果を実施します。

表1

2 栽培管理のポイント

(1)早生種
ア 仙台管区気象台の1ヶ月予報(8/24 発表)では、向こう1か月の天候は、平均気温は高く、日照時間は少なく、降水量は多い見通しです。このため、高温及び日照不足により着色が緩慢となり、果皮色と内部品質が一致しないまま収穫期を迎える可能性もあります。過度な着色は期待せず、食味・硬度等を確認の上、適期収穫に努めてください。
直射日光が果皮へ急に当たると日焼けが発生しますので、葉摘みは徐々に進めます。高温が予想される日には、極力、果面の温度が上がる午後から実施します。
ウ 今年の満開日から見た収穫期の目安は表2のとおりですが、この目安は北上市成田の満開日より算出しています。前述のとおり、食味・硬度等を確認の上、適期収穫に努めます。                                エ すぐりもぎを基本とし、特に熟期が不揃いな「つがる」や「きおう」では徹底します。

表2

(2)中生種
ア 「紅いわて」の収穫
(ア)「紅いわて」は、本来、着色しやすい品種です。ただし、向こう1か月の天候の見通しでは、高温及び日照不足の可能性があるため、「紅いわて」であっても着色が緩慢となることを想定しつつ、食味・硬度等を確認の上、適期収穫に努めてください。
(イ)食味が劣ることで評価を落とさないよう、表3の目安を参考に収穫します。なお、系統販売など輸送して販売する場合は、デンプン指数2~2.5、直接販売する場合はデンプン指数2程度を目安に収穫してください。
(ウ)本年は、8月下旬に早期みつ症(写真1、2)の発生が確認されています。みつ入りが多くなるほど収穫時のみつ褐変が生じる可能性が高くなりますので、着色が進んだ果実で果皮上からみつ入りが判断できる場合は、出荷物に混入させないよう注意します。

表3

写真12

イ 中生品種(「紅いわて」以外)の着色管理
(ア)「ジョナゴールド」などの着色管理は、1回目の軽い葉摘み終了後、陽光面の着色が進んでから、葉カゲや枝カゲをつくらないように玉回しを収穫まで2~3回行います。玉回しと同時に適当な強さに葉を摘みます。
(イ)着色適温は10~20℃です。気温の高い日が続くと、必要以上に葉摘みを強くしても着色は進まないので、過度の葉摘みとならないよう注意します。

(3)晩生種
ア 「ふじ」は、着色期間が30~40 日間と長いため、陽光面が着色してきた頃(9月下~10 月上旬)と10 月中~下旬の2回に分けて葉摘みを行います。1回目の葉摘みは、果実に密着する葉を摘む程度とし、2回目は適当な強さまで葉を摘み、陽光面の着色が進んできたら葉カゲや枝カゲを残さないよう玉回しを行います。
イ 過度の葉摘みは、葉が少なくなり果実の着色やみつ入りが劣り、翌年の花芽の充実が悪くなるなどマイナスの影響が出ますので注意してください。

3 病害虫防除および気象災害対策

(1)病害虫防除
ア 褐斑病は、数年前から県内で広く見られ、本年は一般圃場でも6月から発生が確認されるなど、極めて注意が必要です。7月28 日に病害虫防除所が発表した防除速報(ナンバー10)を参考に、発生が確認されたら速やかに特別散布を行います。
イ ハダニ類の発生に注意します。7月28 日に病害虫防除所が発表した注意報(第7 号)を参考に、園地をよく観察のうえ、要防除水準に達している場合は速やかに防除します。
ウ 昨年スモモヒメシンクイの被害が合った園地や、9月が高温で経過する場合は、シンクイムシ類に効果のある薬剤を9月上旬~中旬に散布します。
エ 果樹カメムシ類が大量に飛来した場合は、効果の高い薬剤により速やかに防除を実施します。
オ 早生品種の収穫期となりましたので、農薬の使用にあたっては、ドリフトや使用基準(倍率、収穫前日数等)に特にも注意してください。
(2)台風対策
これから台風が多く発生する時期になります。強風で倒木が発生しないよう、防風ネットの設置、支柱との結束を確認してください。また、気象情報に注意し、台風の接近前に収穫を進めるなど、被害を最小限にできるよう対策を講じてください。
(3)湿害対策
台風に伴う大雨や秋の長雨などで園地内が過湿になった場合、根部の障害による樹勢衰弱や、裂果等が発生しやすくなります。園地内に水が停滞しないよう、溝を掘るなど排水対策を講じてください。

ぶどう

1 生育概況

8月15 日時点の定点調査における「キャンベルアーリー」の果実品質(表4)は、房長は平年並ですが、果径は大きく、糖度は高くなっています。このような状況から、熟度は平年より進んでいるものと推察されます。
なお、向こう1か月の天候は、平均気温は高く、日照時間は少なく、降水量は多い見通しです。
このため、高温により着色が緩慢となる可能性もありますので、過度な着色は期待せずに、食味を重視した適期収穫を行います

表4

2 収穫

収穫は着色、糖度などの食味に留意しながら、品種ごとの基準糖度に達してから行います。過熟になると商品価値が低下し、裂果や脱粒の発生も助長しますので、過度に着色は期待せず適期収穫に努めてください。
 詳細は、7月27 日発行の「農作物技術情報第5号 果樹」を参照ください。

最後

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