農作物技術情報 第6号 花き(令和5年8月29日発行)

ページ番号2007236  更新日 令和6年3月13日

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タイトル

  • りんどう 花腐菌核病、黒斑病、オオタバコガ等病害虫の適期防除を行いましょう。
    定植圃場や収穫後圃場も病害虫防除を継続しましょう。
  • 小ぎく 白さび病、オオタバコガ等病害虫防除を徹底しましょう。
    収穫後管理を徹底し、健全な伏せ込み苗・株を確保しましょう。
  • 共通 圃場が乾燥する前にかん水しましょう。                                                                                                       台風等による強風に備え、ネットと支柱を点検、補強しましょう。

りんどう

1 生育概況

盆需要期向けの早生種は、平年より開花が早まりましたが、概ね需要期出荷となりました。また、晩生種の生育も平年より早まっています。8月中旬以降、高温障害花の発生がみられています。
病害虫では、また、黒斑病やハダニ類、オオタバコガの発生が増加しているほか、アザミウマ類、アブラムシ類の発生がみられています。

2 栽培管理

(1) かん水
高温が続いていますので、圃場が過度に乾燥しないよう通路かん水を行います。ただし、高温時に長時間滞水すると根が弱り、株に障害が発生する場合があるので、かん水の時間帯に注意します。
(2) ネット管理
茎が曲がらないよう随時ネットの位置を調整します。併せて、今後の台風等による強風に備え、ネットと支柱を点検し補強します。
(3) 収穫・調製
収穫前に各地域の目揃会等で出荷規格を確認し、それに応じた選別、調製を行い出荷します。特にも、適切な開花状態(切り前)で出荷できるよう収穫遅れに注意し適期に収穫します。
収穫時は、出荷規格に合わせ、折りとる切り花の長さを調節します。株養成を充実させるため、下葉をできるだけ多く残るように収穫します。下葉を50 センチメートル以上残して収穫する場合は、株養成用の茎を残さずに全茎を収穫します。
(4) 残花処理
病害虫防除等を目的として、収穫後圃場の花茎除去(花が着いている茎の部分の折り取り)を行います。この作業は、花腐菌核病の防除に特に有効です。

3 病害虫防除

(1) 花腐菌核病
夏の暑さを経過して気温が低下すると、圃場に病原菌の子実体(きのこ)が発生し(写真1)、胞子が花蕾に付着して感染します。また、冷涼地ほど早く発生する特徴があります。青花や紫花品種では感染すると花弁が鮮やかなピンク色に変色しますが(写真2)、桃花や白花品種では淡褐色となり、花色によって病斑の色が異なります。
今年は気温が高く、まだ子実体の発生は確認されていないため、平年より防除開始時期が遅くなる見込みです(平年の防除開始時期は、県北部及び山間地域で8月第5~6半旬、県中部以南の平坦地で9月第1~2半旬)。今後、各地域の普及センターの情報等を参考に防除を開始します。併せて、感染・伝染源となる残花の除去を徹底します。

写真1

写真2

(2) 葉枯病
発生が続いています。秋季にも発生が拡大する場合があるので、降雨前の予防散布を継続します。
収穫前圃場と合わせ、収穫が終了した圃場や新植圃場の防除も行います。
(3) 黒斑病
県全域で発生がみられています。葉の傷口等から容易に感染するため、台風の接近後に感染が拡大した事例があります。治療は困難ですので、有効薬剤による予防散布を継続します。
(4) オオタバコガ
県全域で発生が増えています。花蕾内部を好んで食害するため、虫糞を目安に見つけ次第捕殺します。薬剤防除については、一般に老齢幼虫には防除効果が劣るため、発生初期に有効薬剤を散布します。
(5) ハダニ類
県全域で発生が多い状況が続いています。今後も高温傾向で推移した場合、例年よりも遅い時期まで発生する可能性があります。発生状況によっては追加散布を検討しますが、同一系統薬剤は年1回の使用を基本とします。

小ぎく

1 生育概況

8月咲き品種は、高温による開花遅延がみられましたが、概ね盆需要期に出荷となりました。9月咲き品種は着蕾が始まっています。
病虫害では、オオタバコガの被害が増えています。また、ハダニ類、アザミウマ類、アブラムシ類、カメムシ類の発生が継続してみられています。

2 栽培管理

(1) かん水・排水対策
気温が高い状況が続いています。乾燥が続く場合は茎葉が萎れる前にかん水します。
湿害に弱いため、大雨後は排水対策が重要です。圃場内が冠水した場合は、溝切り等によって速やかに排水を促します。
(2) ネット管理
りんどうと同様、茎の曲がりが生じないよう、随時フラワーネットの位置を調整します。また、今後の台風に備え、ネットと支柱を点検・補強します。
(3) 収穫後管理
伏せ込みに利用する株は、収穫後に地上部が伸びすぎないよう地際5~10cm のところで台刈りをします。その後、速効性の化成肥料を窒素成分量で3kg/10a程度施用します。マルチ栽培では、台刈り後にマルチを除去して土寄せし、生育を促すのが基本ですが、除草労力を考慮して決めます。
なお、かき芽で伏せ込む場合は、台刈り後に発生した側枝に土寄せをして側枝の発根を促します。

3 病害虫防除

(1) 白さび病
気温が高く、発生は少なくなっていますが、今後気温の低下とともに再び発生が増えてきます。
収穫前圃場はもちろんですが、収穫後も継続して薬剤散布を行います。
(2) オオタバコガ
全域で発生が増加しており注意が必要です。防除のポイントはりんどうと同様ですが、着蕾期以降に発生した場合、中齢以降の幼虫は花蕾に潜り込んで食害していることが多いので、食毒作用のある有効薬剤を選択します(写真3、4)。

写真3

写真4

4 伏せ込み床の施肥について

同じハウスで何年も伏せ込みをしている場合、長年の肥料成分の蓄積(塩類集積)によって根が肥料焼けを起こし生育不良となる事例がみられます(写真5)。積極的に土壌診断を行い、処方箋に基づいた適正施肥を行います。また、塩類集積が過度に進行している場合は、土壌中の肥料成分を減らす(除塩)ことが必要となりますので、最寄りの普及センターまでご相談ください。

写真5

最後

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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