農作物技術情報 第6号 野菜(令和5年8月29日発行)

ページ番号2007234  更新日 令和6年3月13日

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タイトル

  • 共通 台風等の気象災害に対する事前対策を徹底しましょう。
  • 果菜類【施設】 気象条件に応じた温湿度管理やかん水管理を徹底しましょう。
  • 果菜類【露地】 草勢維持と病害虫防除を徹底しましょう。
  • 葉茎菜類 雨よけほうれんそうは適期の品種切り替えと病害虫防除を徹底しましょう。露地葉茎菜類は収穫率向上のための適切な管理と病害虫防除を徹底しましょう。

1 生育概況

(1)果菜類【施設】

  • きゅうりは、早熟作型の出荷は概ね順調ですが、一部圃場では病害虫による枯れ上がりが見られます。抑制作型では、概ね順調に出荷が始まっていますが、一部で高温による徒長や萎れが見られます。
  • トマトは、高温による草勢低下や小玉傾向、裂果の発生が見られています。病害虫では、葉かび病やコナジラミ類、オオタバコガの発生が見られます。
  • ピーマンは、生育は概ね順調ですが、高温の影響により尻腐果、日焼け果の発生が多いです。病害虫では斑点病、アザミウマ類、タバコガ類、一部で青枯病、ハダニ類の発生が見られます。

(2)果菜類【露地】

  • きゅうりは、成り疲れによる草勢低下や乾燥による尻細果の発生が見られます。病害虫では、べと病や炭疽病、褐斑病が見られています。
  • ピーマンは、生育は概ね順調ですが、高温や乾燥の影響により尻腐果、日焼け果の発生が多いです。病害虫では、斑点病、斑点細菌病、タバコガ類の発生が見られます。

(3)葉茎菜類

  • 雨よけほうれんそうは、高温の影響による生育停滞や枯死が広く見られます。病害虫では、萎凋病、アザミウマ類、ヨトウムシ、シロオビノメイガの発生が見られます。
  • 高冷地キャベツ・レタスは、概ね生育は順調ですが、キャベツでは高温による葉焼け症状、レタスでは抽苔の発生が見られます。病害虫では腐敗病、軟腐病、ヨトウムシ、タマナギンウワバの発生が見られます
  • ねぎは、高温により生育が停滞する時期もありましたが、概ね生育は順調で収穫が始まっています。病害虫では、黒斑病、アザミウマ類の発生が見られます。

2 技術対策

(1)台風等による大雨や強風対策

これからは、台風等による大雨や強風が多い時期になります。ハウス等の圃場周囲の明渠や排水溝の補修を行うなど、排水対策を再度確認してください。ハウスビニールの破れ、ハウスバンドの緩みの確認などを行い、必要な補修・補強を行ってください。

(2)果菜類【施設】の管理

ア 全般
東北地方の1ヶ月予報(仙台管区気象台8月24 日発表)では、平均気温は高い確率80%と予想されており、期間の前半(8月26 日~9月8日)は気温がかなり高くなる見込みですが、通常年であればこれからの時期は秋雨前線が活発になり、施設内が高湿度になる恐れがあります。そのため、各気象条件に応じた温湿度・かん水管理を徹底します。特に高温の際は、遮光や換気を実施して、各種障害果の発生軽減を図ります。また、施設内が高湿度となる恐れがある場合は、適切な換気や摘葉等の実施により、適正な湿度環境(湿度70%~85%、飽差3~9)を維持します。

写真1

イ きゅうり
・早熟作型では、茎葉の過繁茂による側枝の発生不足や通気不足による病害虫の発生を防ぐため、適宜、摘葉や整枝を行い、あわせて防除を行います。
・抑制作型では、生育が旺盛で側枝の節間が長くなるため、整枝、摘葉作業が遅れないように管理します。また、ウイルス病(ZYMV)が発生しやすい時期のため、発病株は伝染源となるので見つけ次第抜取ります。

ウ トマト

  • 主枝の摘心は、収穫打ち切りの日から逆算して決めます(10 月末まで収穫する場合、9月上旬頃が目安)。開花花房の上の葉を2枚残して摘心すると、放任よりも果実肥大が良くなります。
  • 裂果の発生を防ぐために、かん水は土壌水分の急激な変化を起こさないよう少量多回数とし、ハウス外からの雨水の横浸透にも留意します。また、9 月以降は早朝の急激な気温上昇で果実が結露しやすくなるので、換気を行い果実表面を早く乾かすようにします。
  • 温度管理では、今後最低気温が14℃を下回るようになったら保温を行います。
  • 病害では、葉かび病とすすかび病は見た目では区別ができないので、防除に苦慮する場合は顕微鏡での分生子(胞子)の確認等について、最寄りの普及センターに相談してください。

写真2

エ ピーマン
今後気温の低下とともに障害果等の発生が増えてきますので、気象条件に応じたこまめな温度管理に努めてください。

  • 気温は、最低気温16℃をめどに保温を開始し、最高気温は25~27℃を目標とし、32℃以上の高温としないように管理します。
  • ハウスを閉め切ることが多くなり、湿度が上昇し病気が発生しやすくなるので、日中は少しでも換気を行いハウス内の空気を動かすようにします。
  • 整枝は、混み合っている部分の枝を間引く(写真2の赤丸部分を中心に)、主枝摘心後に発生する枝を2~3節で止める程度とし、強い摘心は避けます。
  • 気温低下とともに収穫量も減ってくるため、追肥量も減らし、翌年に残肥が残らないようにします。
  • 防除は、斑点病、灰色かび病を中心に行います。

(3)果菜類【露地】の管理

図

ア きゅうり

  • 秋口は、これまでの成り疲れや急激な気温の変化で草勢が低下するため、摘果や摘心、摘葉、追肥で草勢回復を図ります。
  • 摘心はアーチの外側に飛び出しているところを指先で止める程度にとどめます。
  • 摘葉は、日光がアーチ内部に十分入り、新葉が常に発生するように行います(図)。
  • 追肥は速効性の資材を利用します。液肥を薄い濃度で葉面散布することも有効です。
  • 防除は、古葉や病葉を摘葉し、アーチの上部にも薬剤がかかるように散布してください。

イ ピーマン
着果量が多い時期になりますが、収穫遅れによる赤果の発生が多くなります。また品種によっては、気温低下による黒変果の発生が多くなります。

  • 草勢維持を優先し枝は放任とします。
  • 追肥は9月中旬までを目安に終了します。
  • 変形果、障害果等で出荷に向かない果実は、早めに摘果し草勢維持を図ります。
  • 防除は、斑点病、斑点細菌病、タバコガ類を中心に行います。

(4)葉茎菜類の管理

ア 雨よけほうれんそう

  • 現在秋まき品種への切り替え時期ですが、前述の1ヶ月予報(仙台管区気象台8月24日発表)では、平均気温は高いと予想され特に期間の前半(8月26日~9月8日)はかなり高くなる見込みです。品種によっては高温により徒長することがあるので、最新の天気予報等も参考にしながら各地域で示されている品種体系に基づき、適期に品種の切り替えを行います。
  • ハウスを閉める時間が長くなると、べと病が発生しやすくなるので、抵抗性品種を利用している場合でも日中は積極的に換気を行い、適用のある殺菌剤を予防散布します。
  • 害虫では、ホウレンソウケナガコナダニやシロオビノメイガ等が発生しやすいので、適用のある殺虫剤で適期に防除します。

イ キャベツ・レタス
高冷地では今年の定植は概ね終了しています。今後は栽培管理をしっかり行い、適期収穫により収穫率の向上を目指します。

  • 腐敗病、軟腐病は最低気温が20℃を上回り、かつ降雨がある場合に発生が多くなります。今後も平年より高い気温が予想されるため殺菌剤を予防散布します。
  • 害虫では、ヨトウムシ、オオタバコガ等が発生しやすいので、適期防除を実施します。
  • 収穫終了後の廃棄株や残渣は放置せず、病害虫の発生源とならないように注意してください。

写真3

ウ ねぎ
台風等の強風による倒伏等の被害を減らすため、適期での土寄せと黄色斑紋病斑(葉枯病)による品質低下対策を徹底してください。

  • 出荷計画を明確にし、それに合わせて最終培土を実施する時期を決めてください。最終培土は、収穫の20 日前~30 日前を目安に行います。
  • 防除は、現在発生している黒斑病(写真3)、アザミウマ類に加え、葉枯病も考慮して行ってください。

エ アスパラガス

  • これからの追肥は、貯蔵根への養分転流の妨げになるので行わないようにします。
  • 茎葉を最後まで健全に保つことが重要なので、病害虫防除を徹底します。
  • 倒伏防止対策をしている場合は、台風等に備えて再度ネットや誘引線の確認を行います(写真4)。

写真4

最後

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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