号外 大雨事後対策(令和5年8月21日発行)

ページ番号2007215  更新日 令和5年8月21日

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タイトル

県内では、8月12~13 日とそれ以降の大雨により、圃場への浸冠水や湿害の発生、土砂流入など農作物への被害が発生しています。
被害がさらに拡大しないよう、排水対策や病害対策を中心に作目や圃場の状況に応じて適切な対策を講じてください。
また、今後も秋台風や大雨の発生が懸念されますので、排水口の点検や設備の補修など、事前の備えを実施してください。

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気象庁の1か月予報(8月17 日発表)によると、9月1日までは気温が平年よりも高い確率が80%を超える見込みです。
暑さをしのぐ服装やこまめな休息と水分補給を心掛けるとともに、気温が高い時間帯には作業を行わないなど、十分な対策を実施して熱中症を予防しましょう。

農作業安全

事後対策等は安全を確認してから!

(1)被害確認のための圃場の見回りや事後対策を実施する際は、河川の増水中や圃場が浸水している時は危険なので近づかないでください。また、土砂崩れなどの恐れがある場所へは、安全が確保されるまでは立ち入らないでください。
(2)圃場に入る際には、作業道等がぬかるみ、路肩が崩れやすくなっていることが考えられます。
農業機械が横転する危険がありますので、作業時には十分に注意してください。
(3)圃場に土砂等が流入した場合は、速やかに排除することが望ましいですが、重機等による工事が必要な場合がありますので、無理に作業は行わず関係機関に相談してください。

水稲

速やかな排水と圃場管理を万全に!

(1)冠水した場合は、葉が少しでも早く水面に出るよう、すみやかな排水に努めるとともに、濁水が流入した圃場では水の入れ替えを行います。
(2)冠水した稲は水分を消耗しやすいため、湛水管理を行います。
登熟期間の高温が予想されるため、積極的に水の入れ替え(夜間かんがい)を行い、水温・地温の引き下げと根の健全化を図ります。早期落水は品質低下につながるので、落水時期は、排水良好な水田で出穂後35~40 日、排水不良田で30~35 日とします。
(3)圃場の排水口・排水路にゴミなどが詰まった場合は、安全な立入りが可能となったことを確認した後、(必要に応じて土地改良区など関係機関と連携しつつ)早めに排水設備を点検し、機能復旧に努めます。                                          (4)圃場内にある流木や瓦礫・土砂などの漂着物は、機械収穫などの作業に支障をきたすため、退水後、できるだけ速やかに取り除きます。なお、大量の土砂流入や畦畔崩落など、状況によっては工事等が必要な場合があるため、無理に作業は行わず、関係機関に相談したうえで対応します。

大豆

排水対策と病害防除を十分に!

(1)圃場が浸水、あるいは冠水した場合は、一刻も早く排水する必要があります。圃場内のゴミ等を除去して、土壌表面水の速やかな排水に努めます。
(2)倒伏した株は、地面に接しないよう株どうしを重ねて持ち上げておきます。また、根の健全化を図るため、圃場表面が乾いてから畝間を浅く中耕したり、乗用管理機で畝間を走行するなどして、根圏に酸素を供給します。圃場に入れるか確認して慎重に作業してください。
(3)圃場の滞水などにより、一般的に病害が発生しやすくなりますので、大豆の生育状況をよく観察し、必要に応じて防除を行います。

野菜

排水対策と病害虫防除、および草勢の早期回復を!

(1)排水対策等
圃場にたまった水はただちに排水し、長時間滞水しないように努めます。排水後、圃場作業が可能になったら、(1)マルチ穴を広げ畝の中の水分を乾かす、(2)土壌表面が乾いたら畝間の中耕を行う等の対策を実施し、土壌中に空気を送って根の伸長を促進します。
(2)殺菌剤散布、葉面散布

  • 冠水や多湿等により通常発生する病害に加え土壌病害も発生しやすくなっていますので、品目ごとの防除暦に従って殺菌剤を散布し、病害の拡大を防ぎます。
  • 茎葉に泥土が付着している場合は、動力噴霧機で水をかけ洗い流した後、殺菌剤を散布します。
  • 草勢が低下した場合は、必要に応じて液肥を薄い倍率で葉面散布し、草勢回復を図ります。

(3)整枝、摘葉、摘果
果菜類では、大雨で主枝が損傷した場合には側枝を利用し主枝更新を行います。また、傷んだ茎葉や果実は摘除して草勢回復を図ります。
(4)代替野菜の作付
浸水冠水により、生育の回復する見込みがない場合は、代替野菜の作付を検討してくださ
い。秋野菜の播種限界の目安は次のとおりですので参考にしてください。

  • だいこん:8月下旬
  • かぶ、ほうれんそう、つけな類、小松菜:9月下旬

花き

排水対策と事後の栽培管理を万全に!

(1)圃場の排水
圃場にたまった水は、速やかに排水します。特にキク類では、萎ちょう症状(水焼け)が発生しやすくなるので、長時間滞水しないよう努めます。
(2)株の立て起こし、支柱・ネットの修復
強風によって株が倒伏・傾倒した場合は、時間が経過するほど茎の曲がりが戻りにくくなるので、風が弱まったら直ちに株を立て起こします。併せて、支柱・ネットを修復します。
(3)病害対策
圃場の冠水や多湿、茎葉の損傷、泥の茎葉への跳ね上がりにより、病害が発生しやすくなります。品目ごとに農薬の使用基準や各地域の防除暦などに従って殺菌剤を散布します。
りんどうでは、茎葉の損傷により灰色かび病や黒斑病、キク類では、降雨により白さび病の発生が助長されるので注意します。
薬剤散布する際は、株に付着した泥を洗い落とすため、動力噴霧機の圧力を高めにして十分量を散布します。併せて、施設栽培では換気を徹底し、施設内の湿度の低下を図ります。
(4)被害株及び茎葉の除去
出荷不能となった株や折損した茎葉は、圃場外に持ち出して処分します。

果樹

排水対策により被害の軽減を!

りんご、ぶどう

(1)大雨で地盤が緩み、樹が斜めに傾いたり横になった場合の立て直しは、できるだけ早く行います。ただし、そのまま不用意に引き起こすと、残っていた根も切ることがあるので、倒れた側からスコップで少し掘り下げるなど、注意深く戻します。また、すぐに起せない場合は、露出した根に土をかけるなどして乾かないようにします。
(2)滞水により枝に付着したごみ、果実の泥を排除します。また、果実に腐敗等が確認された場合は速やかに取り除きます。
(3)園地が冠水した場合や、枝葉や幹に無数の傷が生じている場合には、疫病などの果実腐敗性病害やふらん病など樹体病害の感染の恐れがあります。このような場合は、定期防除を早めるか、特別散布で殺菌剤を全面散布し、感染を予防します。また、側枝や太い結果母枝が折れた場合には、傷口をなめらかに切り、塗布剤を塗布します。
(4)今春に、低温、降霜により被害を受けた園地においても、次年度以降の営農を考慮して病害虫防除対策をしっかり行います。

畜産

転作田の排水対策の徹底、停電時対応の確認を!

(1)圃場が滞水した場合は、速やかに排水するよう努めます。飼料作物の収穫時には、圃場流入物が混入しないように注意します。また、排水後も根腐病や腰折病が発生していないか圃場を観察し、激発する場合は収穫を早めます。
(2)大雨後に、とうもろこしの折損や倒伏が発生した場合、軽度の倒伏では立ち上がりが期待できるので、そのままの状態にしておき(手で直すと茎が折れることが多い)、雌穂の登熟を待ち、黄熟期に収穫します。また、倒伏・折損程度が著しく、収穫適期前に利用する場合は、給与する際、他の飼料との併給等により、多量給与することを避けます。
(3)倒伏・折損被害が更に著しい場合および土砂が圃場に流入して収穫不能となった場合は、速やかにまき直しのための圃場準備を行い、ライ麦やイタリアンライグラスを播種して来年度の自給飼料の確保を図ります。
(4)倒伏したとうもろこしの収穫は、トラクタで茎葉をできるだけ踏まないように走行方向を決め、ハーベスタの走行速度も控えめにし、土の混入を避けるため高刈して収量を確保します。
また、倒伏し枯れ上がりが進んだものは切断長が粗くなりやすいので、詰込み密度を確保するため十分に踏圧するとともに、乳酸菌等の添加材利用による品質確保に努めます。
(5)草地に土砂が流入し、牧草の再生や収穫が不能となった場合は、流入障害物を除去するなど圃場を復旧した後、播種適期(8 月中旬~9 月上旬まで)を考慮して追播・草地更新を行います。年内の施工が難しい場合は、翌年早春にイタリアンライグラス等初期生育の速い草種の追播を検討します。
(6)畜舎内に浸水や雨漏りがあった場合は、畜舎が高温多湿かつ不衛生となるので、畜舎やその周辺の排水を徹底し、排泄物や汚れた敷料の除去、牛床等への消石灰散布や新しい敷料の投入、空気の入れ替えによる等乾燥を図ります。
(7)停電になった場合は、通電後に搾乳機器の確認を行います。また、給水・給餌等の動作も確認します。
(8)停電で搾乳が大幅に遅れた場合は、前搾り乳の凝固物(ブツ)の有無を確認します。乳房炎が疑われる場合はクオーターミルカで搾り分けするとともに、体調の変化も併せて確認し、異常時は獣医師の診察を受けます。
(9)電気柵を設置している場合は、流入物の撤去や破損箇所の確認・修繕等、漏電補修を行った後に通電します。

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このページに関するお問い合わせ

農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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