農作物技術情報 第5号 花き(令和5年7月27日発行)

ページ番号2007137  更新日 令和5年7月27日

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タイトル

  • 適期収穫と出荷選別を徹底しましょう。
  • 大雨に備えた排水対策を行い、高温乾燥が続く場合はかん水を励行しましょう。
  • 病害虫防除を徹底しましょう。
  • 来年に向けた収穫後管理を適期に行いましょう。

りんどう

1 生育概況

露地栽培の生育は平年よりやや早く、早生種は平年より開花が早まっています。晩生種の側芽発生期も平年よりやや早くなっています。
病害虫では、ハダニ類やアザミウマ類、葉枯病の発生が増加しています。また、褐斑病、黒斑病、アブラムシ類、リンドウホソハマキの発生がみられています。

2 栽培管理

(1) かん水・排水対策
晴天が続く場合、圃場の乾燥に注意します。かん水は通路かん水を基本としますが、日中高温時に長時間滞水すると、熱水によって株に障害が発生する可能性がありますので、かん水後の土壌浸透時間を考慮して開始時間を決めます。
また、大雨に備え、水路などからの流入水を防ぐため、畦畔の補強、水路の泥やごみの除去を行います。圃場が滞水した場合は、排水路に水が流れやすくなるよう溝切りをして速やかに排水します。
(2) ネット管理
茎の曲がりが生じないよう、随時フラワーネットの位置を調整します。また、今後の台風に備え、ネットと支柱を点検・補強します。
(3) 追肥(礼肥)
中生品種までは、収穫後に速効性肥料で窒素、カリ各成分量で3~5kg/10aを施用します。
(4) 残花処理
収穫後の残花は、アブラムシ類、アザミウマ類等の害虫や花腐菌核病の増殖・感染源となります。
アブラムシ類はウイルスを伝搬するため、発生すると翌年のウイルス病が増加しやすくなります。
花蕾の着いている部分の茎を折り取り(花茎除去)、除去した花茎は放置せず圃場外で処分します。
この際、ウイルスの伝染を防ぐため、花茎は手で折り取り、刃物は使わないようにします。

写真1

3 収穫・調製

(1) 収穫・調製
収穫前に各地域の出荷目揃会等で出荷規格を確認し、それに応じた選別、調製を行い出荷します。特にも、適切な開花状態(切り前)で出荷できるよう、適期に収穫します。
(2) 鮮度保持
収穫後は日陰で速やかに水揚げを行います。水揚げ容器は、内側にぬめりがないようこまめに洗浄します。また、水揚げに用いる水は飲用可能なものとし毎回交換します。

4 病害虫防除

(1) ハダニ類
県全域で発生が増加しています。圃場をよく観察し、発生初期の防除を心がけます。下葉の黄化や、葉裏に多数の白色微小斑点・褐色のカスリ状模様がある場合は、ハダニ類の食害による可能性があります。自分で判断が難しい場合は、普及センター等指導機関に相談してください。
また、ハダニ類に薬液が付着しなければ薬剤の効果が得られませんので、葉裏にしっかり薬液がかかるよう、動力噴霧器の圧力を高めにして丁寧に散布します。

写真2

(2) アザミウマ類
発生が増えています。高温、乾燥で経過すると多発しますので、今後の発生状況に注意が必要です。本害虫は、花蕾の着色に伴い成虫が飛来し増殖しますので、着色しはじめた頃から薬剤防除を開始します。また、収穫しない花蕾を圃場に残すとそこが発生源となり、次に開花する品種に飛来して加害しますので、花蕾の着いている部分を折り取り圃場外で処分します。
(3) 葉枯病
県全域で発生が多くなっています。中位葉に発生がみられる圃場もでてきていますので、降雨前の予防散布を継続します。また、新植苗で多発すると翌年の生育不良や株の枯死の原因となりますので、採花圃場と同様に定期的に薬剤防除します。
(4) 黒斑病
現在の発生は少なく抑えられています。例年、8月以降に発生が多くなりますので、今後の発生状況に注意します。葉の傷口等から容易に感染するため、台風の接近後に感染が拡大した事例があります。治療は困難ですので、有効薬剤による予防散布を継続します。
(5) 花腐菌核病
例年、夏の暑さを経過して気温が低下し始める8月中旬頃より発生が始まります。このため、猛暑の年は発生が遅くなる傾向です。県の防除情報を参考にし、適期に有効薬剤を散布します。また、この病気は一次感染が着色期以降の花蕾であるため、上述した収穫後の花茎除去が有効な対策となります。

小ぎく

1 生育概況

8月咲品種は平年並の開花となっており、圃場や品種によりやや草丈が短い傾向にあります。9月咲品種の生育は平年並で、順調に生育しています。
病害虫では、白さび病、ハダニ類の発生が多くなっています。また、べと病、アザミウマ類、アブラムシ類、オオタバコガの発生がみられています。

2 栽培管理

(1) かん水・排水対策
晴天が続く場合は、萎れる前にかん水を行うなど対策を実施します。ただし、小ぎくは高温時の滞水に著しく弱く、根腐れを起こして枯れ上がりしやすいので、高温時のかん水は避けます。大雨後の排水対策も重要で、圃場内が冠水した場合は、溝切り等によって速やかに排水を促します。
(2) ネット管理
りんどうと同様、茎の曲がりが生じないよう、随時フラワーネットの位置を調整します。また、今後の台風に備え、ネットと支柱を点検・補強します。
(3) 伏せ込み用親株選抜
株の状態の判断は収穫後では難しくなるため、必ず収穫前に選抜します。開花期が目的とする時期に合っていること、草丈がよく伸び本来の品種特性を備えて揃っていること、葉の枯れ上がりがないこと、病害虫(特にウイルス、ウイロイド、土壌伝染性病害)のないことを確認して優良な株を選抜し、目印を付けておきます。
(4) 収穫後管理
伏せ込みに利用する株は、収穫後に地上部が伸びすぎないよう地際5~10cm のところで台刈りをします。その後、速効性の化成肥料を窒素成分量で3kg/10a程度施用します。マルチ栽培では、生育を促すために台刈り後にマルチを除去して土寄せするのが基本ですが、除草労力を考慮して決めます。なお、かき芽で伏せ込む場合は、台刈り後に発生した側枝に土寄せをして側枝の発根を促します。

3 収穫・調製

(1) 収穫・調製
収穫前に各地域の出荷目揃会等で出荷規格を確認し、それに応じた選別、調製を行い出荷します。
特にも、適切な開花状態(切り前)で出荷できるよう、適期に収穫します。気温が高い時期は収穫後の開花が進みやすいので、切り前に注意します。
(2) 鮮度保持
りんどうと同様に、収穫後は日陰で速やかに水揚げを行います。水揚げ容器は、内側にぬめりがないようこまめに洗浄します。また、水揚げに用いる水は飲用可能なものとし毎回交換します。

4 病害虫防除

(1) 白さび病
県全域で発生が多くなっています。病気の有無や収穫の前後にかかわらず、定期的な防除を継続することが重要です。発病後は病気にかかった葉を除去して圃場外に持ち出して処分し、治療効果の高い薬剤を散布します。一般に暑い時期は症状が治まる傾向にありますが、9月の秋雨時期に再び増加するおそれがありますので注意します。
(2) ハダニ類
ハダニ類の発生が増えています。圃場をよく観察し、発生初期の防除を心がけます。ハダニ類に薬液が付着しなければ薬剤の効果が得られませんので、葉裏にしっかり薬液がかかるよう、動力噴霧器の圧力を高めにして丁寧に散布します。
(3) オオタバコガ
オオタバコガの発生が始まっています。着蕾期を迎えている品種では注意が必要です。例年、8月に入るとオオタバコガの発生が増加する傾向にあります。今後、県の防除情報に注意し、発生初期に有効薬剤を散布します。

最後

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