農作物技術情報 第5号 野菜(令和5年7月27日発行)

ページ番号2007136  更新日 令和5年7月27日

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タイトル

  • 全般 遮光などの高温対策とこまめなかん水管理を行うとともに、作業者も水分補給と休憩をとり熱中症にならないよう気をつけましょう。
  • 果菜類【施設】 高温対策、草勢維持、病害虫防除を徹底しましょう。
  • 果菜類【露地】 適切な整枝・摘葉と重要病害に対する初期防除を徹底しましょう。
  • 葉茎菜類 雨よけほうれんそうは、天候の変化に対応した遮光管理と適切なかん水管理・病害虫防除を徹底しましょう。露地葉茎菜類は、適期作業・病害虫防除を徹底しましょう。

1 生育概況

(1)果菜類【施設】

(1)きゅうりは、半促成作型を抑制作型に切替中で、早熟作型の生育は概ね平年並です。病害虫では、べと病、アブラムシ類、アザミウマ類、ハダニ類の発生が見られています。
(2)トマトは、一部で着果負担や曇天による草勢低下も見られますが概ね順調です。病害虫では、灰色かび病や葉かび病、オオタバコガ、アザミウマ類の発生が散見されています。
(3)ピーマンは、天候の変化が激しいため尻腐果の発生が多いものの、生育は概ね順調です。病害虫では、斑点病、アザミウマ類、アブラムシ類、タバコガ類の発生が見られています。

(2)果菜類【露地】

(1)きゅうりは、生育が平年よりもやや早く、病害虫ではべと病や炭疽病が散見されています。
(2)ピーマンは、一部地域で草勢が低下傾向ですが、概ね生育は順調です。病害虫では斑点病、灰色かび病、ヨウトウムシ類、アザミウマ類の発生が見られています。

(3)葉茎菜類

(1)雨よけほうれんそうの生育は概ね順調ですが、一部で高温による伸長抑制や枯死が見られています。病害虫では、萎凋病等の土壌病害、アブラムシ類、アザミウマ類等が発生しています。
(2)高冷地キャベツの生育は平年並~やや遅く、一部で黒斑細菌病が発生しています。レタスの生育は概ね順調ですが高温や収穫遅れによる内部褐変やべと病が発生し、軟腐病や腐敗病も増えています。
(3)ねぎは地域により湿害による生育停滞、雑草対策の遅れが見られます。その他地域では例年並みの生育で7月下旬から収穫開始見込みです。病害虫ではべと病、さび病が発生し、加えて県央部ではアザミウマ類も発生しています。

 

2 技術対策

(1)果菜類【施設】

施設では、換気や遮光・遮熱等の高温対策を徹底するとともに、少量多回数のかん水と通路散水を行い、葉の蒸散による気化潜熱でハウス内気温の上昇を抑制します。
(1)きゅうり

  • 早熟作型では、古い葉を摘葉し側枝から発生する健全葉へ切り替え、過繁茂による病害虫の発生を防ぎます。
  • 抑制作型では、育苗や定植が高温期のため、徒長や日焼け、乾燥などに注意します。

(2)トマト

  • この時期は、草勢が低下しやいため、こまめな追肥とかん水で草勢の維持を図ります。ただし、窒素過多により、すじ腐れ果や空洞果などの発生が多くなる場合があるので、注意します。
  • 高温期は、午前のかん水だけでは水分不足になりやすいため、午後にもかん水するようにします。
  • 摘葉は、収穫後の花房下の葉を摘み、風通しを良好にします。
  • 葉かび病抵抗性品種でも、葉かび病が発生する場合があります。また、すすかび病が発生するので、定期的に防除を行ってください。なお、萎凋性病害も増加する時期なので、萎れが発生した場合は最寄りの指導機関に診断を依頼し、原因を特定して対策を講じてください。
  • 害虫では、オオタバコガの被害が出る時期です。発生初期に防除を行ってください。

(3)ピーマン

  • 収穫の終わった枝や、内側に伸びた枝により内部が混み合うため、不要な枝は摘除し、内側にも光が当たるようにします。
  • 生育量に応じてかん水量を増やすとともに、こまめな追肥を行い草勢維持を図ります。
  • 日射の急激な変化や高温により、日焼け果と尻腐果の発生が多くなります。ハウスの換気効率を良くしたり通路やマルチ上にワラを敷くなどした上で、かん水を積極的に行い、地温を低下させ根からの水分吸収を促進します。
  • 尻腐果はカルシウム不足が原因ですが、窒素やカリウム等の養分過多が発生を助長します。高温期の追肥は通常よりもやや薄い濃度で行います。また、カルシウム剤の葉面散布を行い被害軽減に努めます。

(2)果菜類【露地】

写真1

8月は収穫最盛期を迎えるため、収穫調整作業に追われ整枝や摘葉、誘引など栽培管理作業が遅れ気味になりがちです。各作業に優先順位をつけて、適期に確実に作業を行います。
(1)きゅうり

  • 草勢維持と病害虫の蔓延防止が重要です。このため、老化葉や新しい側枝を覆っている葉・枝の摘葉や整枝、曲がり果や尻太り果などの摘果、定期的な追肥を行い、草勢の維持・回復を図ります。側枝の発生が鈍い場合や草勢が低下している時は、半放任または放任とします。
  • 敷きわら等で土壌水分の保持と地温低下を図ります。
  • 点滴かん水を行う場合は、少量多回数を基本としてください。
  • お盆前は褐斑病や炭そ病、お盆以降はそれらに加えてべと病が増加しやすくなるほか害虫の被害もあるので、病気の葉を積極的に摘葉し、薬剤が十分にかかるようにします。

(2)ピーマン

  • 収穫の終わった枝や、内側に伸びた枝により内部が混み合うため、不要な枝は摘除し内側にも光が当たるようにします。
  • 土壌水分の乾湿の差が大きと尻腐果の発生を助長するため、定期的なかん水を実施します。また通路に敷わらをしくなどして、土壌水分の保持・安定化を図ります。また、定期的にカルシウム資材の葉面散布を行い、被害軽減に努めます。
  • 追肥は、かん水と同時に行い草勢を維持してください。
  • タバコガの発生が始まっています。圃場の成虫の飛来を確認するなど防除が遅れないよう注意します。
  • 斑点病の発生が見られるため、被害葉を早期に摘除し薬剤散布を実施してください。

(3)葉茎菜類の管理

写真2

(1)雨よけほうれんそう

  • 盛夏期の曇雨天後に強い日差しがあると、葉の萎れや葉焼けが発生します。特に、生育初期は、地温が上昇しやすく、地際部がくびれ倒れる高温障害が発生しやすいので、天候の変化に応じて遮光資材を活用してください。
  • 土壌が乾燥するとほうれんそうの生育が停滞するため、かん水は播種時にムラなく十分に行います。
  • 生育中のかん水は、本葉3~4枚以降に開始し、土壌の乾燥状態に応じて、涼しい時間帯に複数回に分けてかん水(1回あたり5~10mm)します(写真2)。ただし、トロケの発生を防ぐため、まとまった量のかん水は収穫3~4日前までとします。
  • 例年、萎凋病等の土壌病害により減収する圃場では、土壌消毒を実施し、耐病性品種の使用、転炉スラグ施用による土壌pH 矯正技術の導入、適正施肥、残さの適正処理等の総合的な対策を実施してください。
  • アブラムシ類、アザミウマ類等が発生している場合は、効果の高い薬剤で防除してください。

写真3

(2)キャベツ・レタス

  • この時期は、気温の上昇に伴って発生する株腐病や軟腐病等の腐敗性病害に注意が必要です。防除は、株元まで十分に薬液が届くように行います。
  • 害虫の発生にも注意し、定植時から防除を行います。
  • キャベツは、コナガやタマナギンウワバが継続して発生するので、圃場をよく観察し、効果の高い薬剤で防除してください。
  • レタスは、オオタバコガの発生初期と結球始期からの防除を徹底し、また、8月のヨトウガが発生する時期に同時防除ができるよう、計画的な薬剤の選択をして下さい。
  • 圃場が滞水した場合は、乾燥後に畝間の中耕を行って土壌中に空気を送り、必要に応じて液肥を葉面散布して草勢回復を促します。
  • これから収穫する作型では、天候により裂球や生理障害の発生が多くなるので、適期収穫に努め、収穫終了後は病害虫の発生源とならないよう速やかに処分してください。

(3)ねぎ

  • 土寄せは、地上部の生育や葉鞘径の肥大を確認しながら行います。過度に早い土寄せは葉鞘径不足となり軟白部が細いねぎとなります。
  • 作型や品種によっては、今が最終土寄せを行う時期となります。土入れを丁寧に行い軟白部と葉の色の境が不鮮明な「ボケ」とならないように、計画的な作業と適期収穫を行います。
  • 軟腐病、黒斑病等の重点防除時期になります。また、葉枯病(黄色斑紋病斑)を同時防除できるよう薬剤を選択し、収穫前日数に注意しながら定期的に防除を実施してください。

(4)アスパラガス

  • 立茎栽培では、株の消耗や茎葉の過繁茂を防ぐため、萌芽してくる若茎を間引き収穫し、弱小茎や曲がった茎は刈り取ります。また、茎枯病、斑点病、アザミウマ類等の発生が懸念されるため、定期防除を行ってください。
  • 促成アスパラガスの伏せ込み用根株養成では、生育後半まで肥料成分が残ると茎葉部から根株への円滑な養分転流の妨げになりますので、追肥は8月上旬までに終了させます。また、病害虫の発生には十分注意し、発生状況に応じて薬剤防除を行ってください。

最後

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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