農作物技術情報 第5号 畑作物(令和5年7月27日発行)

ページ番号2007135  更新日 令和5年7月27日

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タイトル

  • 大豆 気温が平年より高めに経過したことなどから、生育は順調で、生育量は平年を上回っています。                                                 7月下旬から開花期を迎えます。開花期以降は水分要求量が大きくなり、過度な乾燥が続くと減収しますので、晴天が続く場合はかん水を行いましょう。                                                また、圃場の様子を確認し、適切な病害虫・雑草防除を行いましょう。                            集中豪雨や台風に備え、明渠や排水溝等の点検整備を行いましょう。
  • 小麦 秋の播種作業に向け、排水対策等、早めに圃場準備を進めましょう。

大豆

1 生育概況

気温が平年より高めに経過したことなどから、生育は順調で、生育量は平年を上回っています。
ただし、播種が遅れた圃場では生育量が劣るほか、7月中旬の大雨などで滞水した圃場では、生育の停滞がみられます。

2 今後の圃場管理

(1) 排水対策
集中豪雨による冠水・浸水被害や湿害を避けるため、畦溝と排水溝を連結するとともに、明渠や水尻にゴミなどの詰まりや崩れがないか確認します。また、排水口(フリードレン下部)の高さを確認し、高い場合はしっかり掘り下げて、圃場内排水を促すよう努めてください。

写真1

(2) 高温対策(開花期以降の水管理)
大豆は開花期を過ぎると多量の水分を必要とし、乾燥が続くと減収することもあります。干ばつ時には、明渠やうね間を利用したかん水の実施について検討してください。
ア かん水実施の目安
(1)晴天が1週間以上続き、土が白く乾燥している。
(2)日中に葉が立ち、半分以上の葉で裏面が見られる。
イ 実施出来る条件
(1)水回りが良好であること(培土などでうね間があること、圃場の隅に水が溜らないこと等)
(2)漏水が小さいこと
(3)排水溝が設置されていること
ウ 具体的な方法
(1)朝夕の涼しい時間帯に、水を圃場へ入れる。
(水回りの状況を確認、暗渠は閉じること!)
(2)うね間に水が行き渡ったら速やかに排水する。
(滞水すると湿害が発生します。)
(3)区画が大きい場合は数日に分けて徐々にかん水を行う。

3 病害虫防除

写真2

(1) ウコンノメイガ
ウコンノメイガの成虫は葉の裏に産卵し、ふ化した幼虫が葉を巻いて食害します。
圃場をよく観察し、多発の徴候がみられたら、すぐに防除を行います。また、ウコンノメイガは、葉色の濃い品種や生育が旺盛な圃場で多発する傾向がありますので、重点的に観察してください。
〇防除の目安
7月第6半旬に一茎あたりの葉巻が3個以上見られる場合は防除が必要ですので、8月5日頃までに薬剤防除を実施してください。

写真3

(2) マメシンクイガ
マメシンクイガは日長に反応して羽化するため、毎年同じ時期に発生するという特徴があり、8~9月に羽化した成虫が、粒の肥大が始まった大豆の莢に1粒ずつ産卵し、ふ化した幼虫が子実を食害して、収量・品質を低下させます。
ア 防除適期
県央、県南地域の場合、産卵盛期が9月第1半旬となるため、有機リン剤では9月第1半旬合成ピレスロイド剤では8月第6半旬、ジアミド剤では8月第4半旬から第6半旬が防除適期となります(表1)。なお、県北地域では、8月第6半旬が産卵盛期となるので、防除適期もそれぞれ1半旬早まります。

表1

イ 耕種的防除
マメシンクイガは、連作を繰り返すと発生密度が徐々に高まり被害が多くなります。水田転換畑でも3年以上の連作とならないよう、水稲などとの輪作を実施して、発生密度の低減に努めてください。

(3) 紫斑病
8月下旬以降で気温が20℃付近にあり、降雨が続いた場合に感染します。若莢期~子実肥大期に薬剤が莢によく付着するよう散布することが防除のポイントです。
ア 防除適期

  • 1回防除の場合:開花期から25~35 日後の間
  • 2回防除の場合:若莢期(開花期20 日後頃)~子実肥大期(開花期40 日後頃)の間に2回散布(散布間隔は10 日程度)

イ マメシンクイガとの同時防除の注意点
マメシンクイガの防除時期は年次変動が比較的小さいのに対し、紫斑病の防除適期である若莢期~子実肥大期は、大豆の生育状況や天候などの影響で変動することがあります。このため、マメシンクイガの防除適期と紫斑病の防除適期が重なるかを確認し、薬剤の特徴などを総合的に勘案した上で防除時期や薬剤などを決定してください。
ウ 耐性菌発生防止
他県では、耐性菌発生リスクが高いQoI 殺菌剤(アミスター20 フロアブル)の感受性低下菌の発生が広く確認されていますので、以下の点に注意して薬剤を使用してください。

  • 2回防除の場合は、耐性菌の発生を防ぐため、1回目に用いる薬剤2回目に用いる薬剤は同一薬剤や同系薬剤を避ける
  • QoI 殺菌剤、DMI 殺菌剤は、耐性菌発生の発生リスクが高いので、それぞれ2~3年に1回の使用にとどめる

写真45

4 雑草対策

近年、帰化アサガオ類やアレチウリ等の難防除雑草が県内でも増加傾向にあります。つる性の難防除雑草は、つるが巻き付き始めると特に防除が難しくなりますので、お盆前など早めに非選択性除草剤のスポット散布を行い、あるいは手取り除草などを行ってください。
これら難防除雑草の種子寿命は長く、水田に戻しても直ちに死滅しないものがほとんどですので、種子をつける前の防除が重要です。
また、難防除雑草の多くは、コンバイン・トラクター等の農機具に付着して拡散しますので、圃場の状態や作業の順番を検討し、雑草の種子を持ち込まないように気をつけてください。

写真6

小麦

1 小麦作付予定圃場における水稲の管理

水稲収穫後、スムーズに麦の播種が行えるよう、速やかに溝掘り(額縁明渠)等の排水対策を実施します。なお、連作圃場あるいは固定転作圃場でも排水対策は必須です。
(1) 排水路の点検・補修
確実に排水できるよう、明渠の再施工を行うほか、明渠と排水口を接続するといった補修を行います。また、明渠や排水口周辺の草刈りを徹底します。
(2) 雑草対策
畦畔や明渠の雑草対策(非選択性除草剤の散布)を行い、圃場内部への雑草の侵入を防ぎます。

2 土壌改良

収量アップ、品質向上のために土づくりは必須です。
一般に連作圃場では連作年数に比例して地力が低下します。特に固定転作圃場では石灰・苦土が減少し、酸性化が進んでいる圃場が目立ちます。石灰資材などの投入に加え、堆肥の投入や緑肥を利用するなど、積極的に土づくりを行いましょう。
水稲後の小麦作では、連作圃場とは異なり、作業期間の制約などから土壌改良資材や堆肥等の施用が難しくなります。長期的な改良計画を策定し、ローテーションの中で土壌改良・地力向上に取り組んでください。

利用上注意

最後

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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