農作物技術情報 第2号 畑作物(令和5年4月20日発行)

ページ番号2006874  更新日 令和5年4月20日

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タイトル

  • 小麦 3月の気温がかなり高く経過したことから、幼穂形成期は平年より10 日程度早まりました。また、出穂期は平年より7日程度早まると予測されます。                                         生育が早まっていますので、減数分裂期以降の後期追肥や赤かび病防除について、適期に作業できるよう、早めに準備を進めましょう。
  • 大豆 排水対策を早い時期から実施して、圃場条件を整え、適期播種に努めましょう。

小麦

1 生育状況

県内の根雪期間は概ね平年並みとなり、3月上旬までに融雪しました。3月の気温が平年よりかなり高く経過したことから、幼穂形成期は平年より10 日程度早まりました(表1、写真1、2)。なお、出穂期は、平年より7日程度早まることが予測されます(表1)。
今後は作業が水稲などと重なることから、除草剤散布や減数分裂期以降の追肥、赤かび病の防除等は、生育状況を確認しながら計画的に行います。

写真 1 2

表1

2 病害の発生状況

雪腐病は、融雪がやや遅かった県北部地域を中心に発生がみられました。また、コムギ縞萎縮病・ムギ類萎縮病の発生は、「ナンブコムギ」でみられましたが、発生圃場率は平年より低くなりました。

3 今後の管理

(1)排水対策
圃場の排水口や明渠の点検補修を行い、スムーズに排水できるようにします(写真3)。

写真3

(2)雑草防除
今年は全般に雑草の生育が早く進んでいますので、雑草発生状況を確認のうえ、茎葉処理除草剤の散布を実施してください。ただし、使用時期が小麦の生育状況によって限定されている除草剤もありますので、「穂ばらみ期」または「収穫45 日前」まで使用できるものを選択して防除してください。
(3)後期追肥の実施
減数分裂期以降の窒素追肥で、子実の充実とタンパク質含量の向上を図ります。
生育量や品種によって追肥の有無、時期、量が異なりますので表2を参考にしてください。
追肥の対応は、減数分裂期に生育栄養診断を行い、その結果に基づいて追肥量を判断しますが、地力を考慮し、圃場にあわせた判断が必要となります。

表2

(4)赤かび病の防除
今年は全般に生育が早まっていますので、生育をよく確認し、適期防除できるよう早めに準備を進めてください。
開花始期~盛期に必ず薬剤防除を行います。2回目の防除は1回目の防除から7~10 日後に行い
ます。曇雨天が続く場合には、さらに追加防除を行います。小麦は出穂してから1週間~10 日程度
で開花しますが、気象条件によってその期間は変動します。このため、開花の観察をこまめに行い、
適期防除に努めます。
また、罹病穂の抜き取りは穂が緑色で判別しやすいうちに行います。

表3

大豆

1 圃場の選定

3作以上の連作圃場、雑草の多発圃場、排水不良圃場への作付けは避けます。

2 過度な連作防止

過度な連作による病害虫の蔓延、地力の低下、雑草の多発などが問題となっています。マメシンクイガ、ダイズシストセンチュウ、黒根腐病などは、大豆の連作により発生リスクが高まりやすい病害虫です。
また、大豆2作程度に対し、水稲2~3作程度が地力維持、病害虫対策の観点からバランスがよいという報告があります。堆肥の利用や輪作、水稲とのブロックローテーション等、長期的な展望を持って、計画的な土地利用に努めてください。

3 排水対策

大豆は初期の湿害が収量、品質に大きく影響する作物です。初期生育が順調であれば、その後の生育も良好に経過します。額縁明渠や弾丸暗渠等は、播種直前ではなく圃場が乾いている時期に余裕を持って行うと、排水効果はもちろん、播種前の整地作業等の準備もスムーズに進みます。

4 播種適期

播種期は、出芽時に晩霜の心配のない頃を播種早限とし、霜による強制登熟で未熟粒が多発する心配のない頃に収穫できる播種時期を播種晩限と設定します。概ね、県北部では5月中下旬、県中部では5月中旬から6月上旬、県南部では6月上中旬が播種適期となります。

5 適正な栽植密度の確保

畦間は70cm 程度を標準としますが、中耕培土等の中間管理や、収穫に用いる機械の幅に応じて作業が効率的に行えるように設定します。品種ごとに好適な栽植密度とするためには、株間の調整が必要です(表4)。

表4

共通

1 肥料コスト低減に向けて

肥料・燃油価格の高騰が進む昨今ですが、必要な資材までも安易に使用を控えると収量や品質に悪影響を与えてしまいます。このため、肥料については、土壌診断に基づく適正施肥、たい肥等有機物の活用、施肥量低減技術の導入、肥料銘柄の見直しや調達方式の改善等によりコスト低減に努めます。
岩手県では、肥料コスト低減に向けて下記のマニュアルを発行し、岩手県ホームページに掲載しています。是非一度、お手持ちのパソコンやスマートフォンから確認してください。
岩手県肥料コスト低減対策マニュアル(令和4年1月)
https://www.pref.iwate.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/049/686/hiryoukoutoumanyuaru0406.pdf

最後

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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