農作物技術情報 第8号 水稲(令和4年10月27日発行)

ページ番号2005749  更新日 令和4年10月27日

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たいとる

  • 今年の栽培管理から、生育に応じて必要な対策を実施できたか、コスト面の無駄はなかったか等、来年に向けて振り返りを行いましょう。

1 本年の生育経過

(1)育苗期
県内の播種盛期(50%)は4月16日で平年並みとなりました。育苗前半の4月第2半旬から第3半旬及び第5半旬の気温が高く経過したため、移植時の苗は、地域や品種によって第1葉鞘長が長く、やや腰高気味の苗となる傾向もみられましたが、おおむね充実良好な苗質となりました。
(2)活着~分げつ期~幼穂形成期
県内の移植盛期(50%)は5月17日、終期(90%)は同23日でいずれも平年並みとなり、各地域とも概ね適期内に田植え作業が終了し、活着も良好となりました。
活着後の6月前半は気温が低く、日照時間も平年を下回ったことから、初期生育の遅れがみられ、6月中・下旬の茎数は平年比75~87%となり、茎数確保のため中干しを遅らせる地域や農家もみられました。
7月上旬は気温・日照時間とも平年を上回ったことから生育はやや回復基調となり、幼穂形成期・減数分裂期は概ね平年並みとなりました。
(3)出穂・登熟期
出穂盛期は県全体で概ね平年並の8月5日となりましたが、地域や移植時期によって出穂日の差が大きく、特に6月前半の低温による生育停滞が顕著であった圃場では出穂の遅れが顕著となりました。
登熟は、沿岸部では8月の気温が平年より高く推移したことから登熟がやや早まったものの、内陸では気温・日照時間とも平年を下回り、登熟の遅れが目立つ傾向となりました。
成熟期の生育については、平方メートル穂数は平年に比べやや少ない一方、長雨・日照不足の影響で稈長が長く、中干し不足の影響も相まって倒伏する圃場も散見されました。
(4)本年の作柄
9月25日現在における岩手県の予想収量(農林水産省東北農政局、令和4年10月14日公表)は、10a当たり510kg(篩い目幅1.90mm)、作況指数99と見込まれています。

気象図

2 来年の作付けに向けて

(1)育苗
大規模育苗では、気象予報に応じて浸種水温の制御や温度管理・かん水等を細かく行うことが難しい場合があります。来年に向け、育苗設備や人員体制、作業スケジュールをチェックするとともに、基本に立ち返って必要な技術対策(浸種水槽の保温対策、プール育苗等の技術導入)を講じます。                                                 → 参考 農作物技術情報 第1号〔2022.3.17〕
(2)本田管理
ア 初期生育の確保
本年は6月前半の低温の影響で初期分げつの確保が出遅れたこともあり、穂数不足で低収となる事例が散見されました。初期生育の確保のため、育苗管理や移植後の水管理、栽植密度・植付本数をチェックします。
→ 参考 農作物技術情報 第2号〔2022.4.21〕、第3号〔2022.5.26〕
イ 中干しの適切な実施
本年は6月下旬の茎数が平年より少なく、中干しを遅らせる圃場が散見されましたが、その後の長雨・日照不足によって圃場が十分乾かず、稈長が長くなったことも重なり、倒伏したり、地耐力不足により適期刈取りが困難となった圃場が見られました。
特に7月上旬は平年でも降雨が多く、田面が乾きにくい傾向があるため、遅くとも6月25日頃には目標茎数を確保して中干しを開始できるよう、移植時期や生育前半の管理を確認します。
→ 参考 農作物技術情報 第2号〔2022.4.21〕、第3号〔2022.5.26〕
ウ その他
近年は大規模法人での取り組みなど栽培規模が大きくなってきていることから、以前のような基本管理の徹底が困難になり、結果的に収量や品質の低下につながる実態もあります。
必要な栽培管理がもれなく実施できるよう、現在の営農体制(作業暦や人員、機械装備)と作付規模を照らして、必要に応じて見直しをするとともに、複数品種の作付や苗質の変更、直播栽培などの技術導入による作業分散も検討します。
→ 参考 農作物技術情報 第4号〔2022.6.23〕

3 稲作の低コスト栽培技術の導入に向けて

肥料・燃油価格の高騰が進む昨今ですが、必要な資材までも安易に使用を控えると収量確保や良質米生産に悪影響を与えてしまいますので、以下観点も踏まえながら総合的なコスト低減に努めます。
(1) 作付面積の拡大(規模拡大)⇒ 10aあたり生産費の低減
(2) 生産量の増加 (収量増加)⇒ 60kgあたり生産費、生産物10,000円あたり生産費の低減
(3) 販売単価の向上(有利販売)⇒ 生産物10,000円あたり生産費の低減
岩手県では下記のマニュアルを発行し、岩手県ホームページに掲載しています。是非一度、お手持ちのパソコンやスマートフォンから確認してください。

低コスト稲作栽培技術マニュアル(平成29年3月)
https://www.pref.iwate.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/007/686/manual.pdf
岩手県肥料コスト低減対策マニュアル(令和4年1月)
https://www.pref.iwate.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/049/686/hiryoukoutoumanyuaru0406.pdf

さいご

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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