農作物技術情報 第7号 畜産(令和4年9月29日発行)

ページ番号2005685  更新日 令和6年3月13日

印刷大きな文字で印刷

タイトル

  • 飼料用とうもろこし 各地域で収穫が始まっています。刈り遅れないよう、収穫を速やかに進めましょう。
  • 牧草 刈り取り危険帯の時期が近づいています。この時期は収穫や施肥を避けましょう。
  • 家畜飼養 秋に増える牛の疾病に注意しましょう。

1 飼料用とうもろこし

(1)黄熟期に到達している圃場では、速やかに収穫作業に入ります。(収穫適期の詳細については、8月25 日発行の農作物技術情報第6号を参照してください)。熟期が完熟期に近い場合は、子実が硬く、また詰込水分がやや低くなりますので、消化率とサイロ詰め込み密度を高めるため、破砕処理がない場合は収穫時の切断長を10mm 未満とします。破砕処理がある場合は、切断長19mm、ローラ間隙3mmが目安です。
(2)過度の刈り遅れやすす紋病等の病害発生、霜にあたったとうもろこしは、水分含量が低く、サイレージの開封後に二次発酵が起こりやすくなります。このようなとうもろこしを詰め込む際は、ギ酸やプロピオン酸など添加剤の使用を検討してください。また、刈り遅れた圃場では、カビが増殖している可能性があります。サイレージを開封するときにカビの有無をよく確認し、給与時にはカビをしっかりと取り除きます。
(3)強風等により倒伏した場合は、作業機の走行速度を控えめにしたり、倒れた方向に対して斜め後ろから走らせたりして、作業機の負荷を軽減させて収穫します。また、高刈りして土壌の混入を避け、十分な踏圧と早期密封に努め、発酵品質の低下を防ぎます。

2 牧草

オーチャードグラス等の寒地型イネ科牧草は、短日で気温が低下してくると、越冬のために地下部へ養分の蓄積を始めます。この時期に刈り取りを行うと、牧草が再生して地下部の養分蓄積が不十分となるため、冬季に凍害や雪腐病の影響を受けやすく、越冬株数が減少するなど翌年以降の減収につながります。
このオーチャードグラスの刈り取り危険帯は、日平均気温が5℃以下になる日から遡った約30 日間で年次や地域によって変動する場合がありますが、表1の期間前に刈り取りを行ってください。

表1

また、刈り取り危険帯に施肥すると、地下部の養分蓄積が止まり、分げつや茎葉の生長が始まりますので、施肥も控えます。窒素成分を多く含んだ堆肥の施用も避けてください。

3 乳牛の疾病等の予防

秋になり、夏バテの症状が深刻になる場合があります。牛群をよく観察し、疾病の予兆を早めに見つけ適切に処置します。
(1)周産期疾病の増加と繁殖(受胎)
7~8月に分娩を終えた牛は、9月以降にケトーシスや第四胃変位が発症しやすくなります。また、栄養不足から卵子の質が低下したり、子宮の回復が遅れるなどにより受胎が遅れたりする場合があります。これらの牛には、良質粗飼料の優先給与、疾病の回復と粗濃比に留意したエネルギ-の充足、ビタミンの補強などの栄養管理を徹底するとともに、卵巣・子宮回復の確認や治療を行い、初回授精が遅れないようにします。特に今年は、降雨により一番草と二番草の収穫期間が例年より長く、収穫始めと終わりの飼料成分及び調製品質が大きく異なることが予想されます。7月~8月に分娩を迎えた牛、これから分娩を迎える牛については、収穫初めの時期で雨に当たらなかったものを優先的に給与します。
9月以降に上記の疾病や受胎の遅れが少ない農場は、暑熱対策をしっかり行い、牛の乾物摂取量を確保できた農場です。もし、周産期疾病の発生が多くみられる場合は、来年の暑熱対策を見直します。
(2)体細胞数の増加
7~8月の暑さで免疫が低下した牛は、秋に乳房炎に罹患しやすくなります。このため、搾乳作業での前搾り乳にブツ等の異常がないことを確認する、乳頭口をしっかり清拭する、除糞と敷料で牛床を乾燥・清潔に保つ等の対策を行います。また、粗飼料を十分に与えるなど、栄養の充足により免疫力の回復を図ります。
(3)蹄病の増加
夏場の飼料の選び食いや固め食いによるアシドーシス、起立時間の増加により、蹄真皮の角質形成不全が秋になっ
て外部に表れ、蹄病(特に蹄底潰瘍)が増加する傾向にあります。起立した姿勢、歩行時の状態をよく観察し、問題がある場合は、早めに獣医師や削蹄師に処置を依頼します。
宮崎県の研究で、蹄病は春期から発生し、季節が進むにつれ次第に罹患の程度が重くなり、冬季に沈静化する
傾向にあると報告されています(図1)。

図1

4 台風対策

例年10 月は台風の発生が多い時期となりますので、今後とも気象情報を確認し状況に応じて施設の保守点検など、事前事後対策を徹底してください。技術対策の詳細については、9月16 日発行の「号外 台風対策」を参照してください。

最後

PDFファイルをご覧いただくには、「Adobe(R) Reader(R)」が必要です。お持ちでない方はアドビシステムズ社のサイト(新しいウィンドウ)からダウンロード(無料)してください。

このページに関するお問い合わせ

農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
〒024-0003 北上市成田20-1
電話番号:0197-68-4435 ファクス番号:0197-71-1088
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。