農作物技術情報 第7号 果樹(令和4年9月29日発行)

ページ番号2005684  更新日 令和4年9月29日

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タイトル

  • りんご 天候の不順により熟度は揃わないものと予想されますので、すぐりもぎを徹底しましょう。

1 生育概況

(1)果実生育(表1)
9月1日時点の生育診断圃の果実生育(横径)調査結果を県平均でみると、「ジョナゴールド」、「ふじ」ともに概ね平年並みとなっています。
(2)果実品質(図1~3)
9月21 日時点の生育診断圃の「ジョナゴールド」の果実品質(県平均)は、糖度、硬度は平年より低く、デンプン指数は平年よりやや高く、熟期は平年より遅いと推測されます。しかしながら、本年の開花は平年より早かったため急速に硬度が低下する恐れもあります。中生以降の品種については食味を重視し、すぐりもぎを徹底してください。
また、仙台管区気象台発表の1か月予報(9/22 発表)によると、向こう1か月の気温は高く、降水量は多く、日照時間は少ないと予報されています。引き続き最新の気象情報と各地の普及センターやJA等が提示する情報を確認し、適期収穫に努めてください。

表1

図1

図2

図3

2 栽培管理のポイント

(1)「ジョナゴールド」等中生種の管理
ア 「ジョナゴールド」などの中生種の着色管理は、1回目の軽い葉摘み終了後、陽光面の着色が進んでから、葉や枝カゲをつくらないように玉回しを収穫まで2~3回行い、さらに、玉回しと同時に適当な強さで葉を摘みます。
イ りんごの着色適温は10~20℃であり、気温の高い日が続くと、必要以上に葉摘みを強くしても着色は進まないので、過度の葉摘みとならないよう注意します。
ウ 「ジョナゴールド」は着色が不揃いとなりやすいので、すぐりもぎが必要です。そのため、着色の進みに応じて葉摘みを行い、玉まわしはすぐりもぎの時にも行う等、回数をできるだけ多くすることが重要です。
エ 「ジョナゴールド」は収穫が遅れると果肉の軟化、果皮の油上がりが発生して、販売上不利になりますので、適期収穫を心がけてください(表2)。

表2

(2)「ふじ」の着色管理
ア 「ふじ」は、着色期間が30~40 日間と長いため、陽光面が着色してきた頃(9月下~10月上旬)と、10 月中~下旬の2回に分けて葉摘みを行います。1回目の葉摘みは、果実に密着する葉を摘む程度とし、2回目は適当な強さまで葉を摘み、陽光面の着色が進んできたら葉や枝カゲを残さないよう玉回しを行います。
イ 過度の葉摘みは、葉が少なくなって果実の着色やみつ入りが劣り、翌年の花芽の充実が悪くなるなどマイナスの影響が出ますので注意してください(表3)。

表3

(3)「シナノゴールド」の収穫
ア 年内販売の場合は、表2の収穫時期を目安に、果面にワックスが感じられるようになり、デンプン指数が1以下になったことを確認して収穫してください。
イ 越年販売の場合は、デンプンが若干残っている状態で収穫することで、収穫後約4ヶ月の貯蔵が可能となります。ただし、早く収穫するとやけ病が多くなり、遅く収穫すると貯蔵して4~5ヶ月ころから内部褐変が見られる場合がありますので、注意してください。
(4)お礼肥の施用
樹の衰弱がみられる場合には、早生・中生種では9月下旬以降、晩生種では10 月中下旬以降からそれぞれ落葉までに施肥を実施します。施肥量は、成木で多くても10a当たり窒素成分5kg を目安としてください。
(5)病害虫防除
黒星病の発病葉(写真1)は翌年の伝染源となるため、葉摘み作業等の際に発病が確認された葉は見つけ次第摘み取り、黒星病の罹病果も含め土中に埋没させるか焼却するなどして処分してください。また、炭疽病や輪紋病など果実腐敗病も散見されますので、黒星病と同様に適正に処分します。

写真1 2

3 気象災害対策

(1)台風対策
10 月に入っても、まだまだ台風は多く発生します。強風で倒木が発生しないよう、防風ネットの設置、支柱との結束を確認してください。また、気象情報に注意し、場合によっては台風の接近前に収穫可能な品種は収穫を進めるなど、被害を最小限にできるよう対策をとってください。
なお、技術の詳細については9月16 日発行の「号外 台風対策」を参照してください。
(2)湿害対策
台風に伴う大雨や秋の長雨など、園地内が過湿となった場合、裂果や根部の障害による樹勢衰弱の要因となります。園地内に水が停滞しないよう、溝を掘るなど排水対策を実施します。

最後

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