号外 台風対策(令和4年9月16日発行)

ページ番号2005597  更新日 令和4年9月16日

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タイトル

台風14 号は、現在日本の南にあり、北よりに進んだのち進路を東に変え、岩手県へは20 日(火曜)に接近する見込みで、大雨・強風等による農作物への影響が懸念されます。
安全に十分に留意しながら、農作物被害を避けるための防止対策を適切に行ってください。

人命第一の観点から、圃場の見回り等については、気象情報を十分に確認し、大雨や強風が収まるまでは行わないでください。また、大雨等が収まった後の見回りにおいても、増水した水路やその他の危険な場所には近づかず、足下等、圃場周辺の安全に十分に注意し、転落、滑落事故に遭わないよう慎重に行動してください。

水稲

適期刈取りにつながる対策を!

県内の水稲は刈取り適期を迎え始めています。台風が通過する前に可能な限り刈取りを進めるとともに、通過後は速やかに作業を開始・再開できるよう、事前準備も含めた対策を徹底しましょう。

事前対策

(1)可能な限り刈取りを進める
刈取り適期(黄化籾80~90%)を迎えているところは、台風通過前にできる限り刈取りを済ませておきます。
(2) 浸水・冠水に備え、排水設備の事前点検

  • 水田の排水口・暗渠を確実に開放します。
  • 排水路等にゴミや雑草などが詰まると、本田への浸水・冠水が起きやすくなります。

   水路のゴミ等はあらかじめ取り除いておきます。

事後対策

(1)浸水・冠水した場合は、速やかに排水
長時間の冠水は玄米品質の低下につながります。特に倒伏した圃場では穂発芽を避けるため、速やかな排水が必要です。
(2)倒伏した場合は、収穫時に刈分け
刈分けにより、土砂が付着した籾や穂発芽粒、青未熟粒の混入を防止します。
(3)退水後は圃場を点検し、ゴミ等を除去
河川水が流入した圃場では、流木やゴミ類が残っている場合があり、コンバイン等の機械が噛み込むと故障や事故につながるため、退水後の圃場点検を確実に行います。                                    (4)冠水した圃場で収穫する場合は、作業機をこまめに清掃
穂に土砂などが付着すると、収穫・調製機械に負荷がかかるだけでなく、玄米の汚損につながる恐れがあるので、清掃は念入りに行います。

畑作物

排水対策を十分に!

事前対策

(1)圃場表面の排水を促すため周囲溝や排水口などを点検・補修し、土壌表面水の速やかな排水に努めます。


事後対策

大 豆
(1)圃場にたまった水は直ちに排水し、長時間滞水しないように努めます。倒伏した株は莢が地面に接しないよう株どうしを重ねて持ち上げておきます。
小 麦
(1)播種作業は無理をせず、圃場が乾いてから行います。
(2)出芽前後の圃場は、大雨の影響で除草剤の効果が不安定となり、湿害を被ることも考えられます。圃場を良く観察し、今後の管理が難しい場合は、作目転換や播き直しも考えてください。

野菜

排水対策と施設の保守点検を行い、通過後は草勢の早期回復を!

事前対策

【露地栽培】
(1)大雨に備え、排水溝の整備・点検を行います。特に、圃場外からの浸水を防止するため、圃場の周囲にあらかじめ排水溝を設けておきます。
(2)圃場周囲に防風ネットを設置している場合は、強風に備え、緩んでいるワイヤーや針金を張り直し、ネットの破れている部分は補修します。
(3)強風で、支柱が抜けたり倒伏する恐れがありますので、畝の両端や所々で支柱を補強します。
また、支柱・ネット等への茎葉の誘引状況を点検し、しっかり固定します。
(4)収穫可能なものはできるだけ事前に収穫を終えます。
【施設栽培】
(1)大雨に備え、ハウス周りの排水溝の整備・点検を行います。特に、ハウスの外からの浸水を防止するため、周囲にあらかじめ排水溝を設けておきます。
(2)ハウス周囲に防風ネットを設置している場合は、強風に備え、緩んでいるワイヤーや針金を張り直し、ネットの破れている部分は補修します。
(3)パイプハウスの点検・補強
ア 被覆資材(ビニール)の破損箇所を補修します。
イ パッカーやスプリング等固定部品を点検します。
ウ ハウスバンド(マイカー線)の増し締めや増設により、被覆資材の締め付けを補強します。
エ 骨組みの強度の弱いところは、筋かいを入れて補強します。
オ 飛来物による被覆資材の損傷を防ぐため、ハウス周辺の片付けや清掃を行います。
カ 風が強まってきたら、入口、サイド、天窓、妻窓を完全に閉め、入口は取っ手同士をひもで結び、風で開かないよう杭で補助するなどしっかりと固定します。
キ 施設を閉め切ることで、湿度が上昇して病害が発生しやすくなるので、循環扇等で空気を撹拌して予防に努めます。
ク 換気扇が設置されている場合は、強風時にハウス内の気圧を下げるために稼動します。風が弱まったら直ちに停止します。
(4)収穫可能なものはできるだけ事前に収穫を終えます。

事後対策

【露地栽培】
(1)排水対策等
圃場にたまった水はただちに排水し、長時間滞水しないように努めます。排水後、圃場作業が可能になったら、(1)マルチ穴を広げ畝の土壌を乾かす、(2)畝間の中耕を行う等の対策を実施し、土壌中に空気を送って根の伸長を促進します。
(2)殺菌剤散布、液肥の葉面散布
ア 台風通過後は、冠水や多湿、茎葉の損傷等により病害が発生しやすくなっていますので、品目ごとの防除基準に従って殺菌剤を散布し、病害の発生を未然に防ぎます。
イ 茎葉に泥土が付着している場合は、動力噴霧機で水をかけ洗い流した後、殺菌剤を散布します。
ウ きゅうりはべと病、トマトは灰色かび病、葉かび病、ピーマンは灰色かび病、斑点病、キャベツはべと病、レタスは腐敗病、べと病、ねぎはべと病、葉枯病を対象に防除を行います。
エ 草勢が低下した場合は、必要に応じて液肥を薄い濃度で施用または葉面散布し、草勢回復を図ります。
(3)整枝、摘葉、摘果
果菜類では、傷んだ茎葉や果実は摘除して草勢回復を図ります。
【施設栽培】
(1)排水対策等
ハウス内に水が浸入した場合はただちに排水し、長時間滞水しないように努めます。排水後、圃場作業が可能になったら、マルチ穴を広げ畝の土壌を乾かす等の対策を実施し、土壌中に空気を送って根の伸長を促進します。
(2)殺菌剤散布、液肥の葉面散布
ア 強風でハウスビニールが破損し風雨にあたった場合などは、冠水や多湿、茎葉の損傷等により病害が発生しやすくなっていますので、品目ごとの防除基準に従って殺菌剤を散布し、病害の発生を未然に防ぎます。
イ 茎葉に泥土が付着している場合は、動力噴霧機で水をかけて洗い流した後、殺菌剤を散布します。
ウ きゅうりはべと病、トマトは灰色かび病、葉かび病、ピーマンは灰色かび病、斑点病、ほうんそうはべと病を対象に防除を行います。
エ 草勢が低下した場合は、必要に応じて液肥を薄い濃度で施用または葉面散布し、草勢回復を図ります。
(3)整枝、摘葉、摘果
果菜類では、傷んだ茎葉や果実は摘除して草勢回復を図ります。

花き

排水対策と風による倒伏対策を十分に!

事前対策

(1)収穫期を迎えている圃場では、開花状況にあわせて早めに収穫を終えます。
(2)圃場外からの侵水を防ぐため、用水路の点検を行い、ゴミの除去や壊れた箇所の補修を行います。また、増水によっていつも水が溢れる場所は、土嚢等(肥料袋に土を入れたもので代用可能)で補強します。
(3)水のたまりやすい場所は、速やかに排水できるよう事前に排水溝を設けておきます。併せて、排水路を点検し、上述した用水路と同様に対策を講じます。
(4)支柱やネットの強度を点検、補強します。ぐらつく支柱は打ち直すか打ち込みし、風の影響を受けやすい圃場は支柱を増設します。ネットは適正な位置に調整し、たるみがある場合はネットの両サイドにロープを入れて補強します。
また、横木の設置、増設は、支柱・ネットの補強に有効です。
(5)パイプハウスでは、ハウスバンド(マイカー線)が切れていないか、緩んでいないかを点検します。被覆資材の破損が拡大しないように、ビニールの小さな破れや傷の補修を行います。
また、風が強い場合は、施設を閉め切ることになりますが、湿度が上昇して灰色かび病などの病害が発生しやすくなるので循環扇等で空気を撹拌して予防に努めます。

事後対策

(1)株の立て起こし、支柱・ネットの修復
強風によって株が倒伏・傾倒した場合は、時間が経過するほど茎の曲がりが戻りにくくなるので、風が弱まったら直ちに株を立て起こします。併せて、支柱・ネットを修復します。
(2)圃場の排水
圃場にたまった水は、速やかに排水します。特にキク類では、萎ちょう症状(水焼け)が発生しやすくなるので、長時間滞水しないよう努めます。
(3)病害対策
圃場の冠水や多湿、茎葉の損傷、泥の茎葉への跳ね上がりにより、病害が発生しやすくなります。品目ごとに農薬の使用基準や各地域の防除暦などに従って殺菌剤を散布します。
りんどうでは、花腐菌核病や黒斑病、葉枯病に注意します。また、キク類では、多湿により白さび病の発生が助長されるので注意します。今年、新植した圃場や収穫が終わった圃場の防除も継続します。
薬剤散布は、はじめに動力噴霧機で株に付着した泥を洗い落とし、その後に薬剤を散布します。併せて、施設栽培では換気を徹底し、施設内の湿度の低下を図ります。
(4)被害株及び茎葉の除去
出荷不能となった株や折損した茎葉は、圃場外に持ち出して処分します。

果樹

暴風対策と被害軽減対策をしっかりと!

事前対策

りんご
(1)収穫期を迎えている品種は、果実品質と散布した農薬の使用基準(収穫前日数)を確認し、収穫が可能なものは、速やかに収穫を進めます。
(2)防風ネットを設置している園地では、ネットの張りを点検し、緩んでいるワイヤーは張り直し、破れたネットは張り替えるなど十分に効果が現れるよう準備します。
(3)わい性樹は強風で倒伏することがあるので、主幹を支柱に2~3ヵ所結束します。長大な側枝を持つ樹形であれば、一層、バランスを崩しやすいので、丈夫な支柱で支え、はずれないよう縄で縛り固定します。
(4)高接ぎ樹では大切な更新枝を保護するよう添え木をします。
(5)降雨による表面水を速やかに排水できるよう、予め排水溝を設けておきます。
ぶどう
(1)防風施設の設置、見直しを行います。(りんごの項事前対策(2)に同じ)
(2)棚が倒壊しないよう、棚内部の力線に補助支柱を配し、周囲柱、隅柱を補強しておきます。
また、雨よけハウス等は、ハウスやフィルムが飛ばされないよう、ハウスバンドやフィルム留め具等の点検を行い、ビニールの破損があれば補修しておきます。
(3)降雨による裂果の発生や、土壌が軟弱化しアンカー等が浮き上がることを軽減するため、排水溝を切り、速やかに排水できるよう対処します。

事後対策

りんご、ぶどう
(1)落果の処理
落下した果実は、出荷団体や農業共済組合等と協議のうえ、それぞれの用途に応じて適正に処理します。
(2)倒木の処理
斜めに傾いたり、横になった樹体の立て直しは、できるだけ早く行います。ただし、そのまま不用意に引き起こすと、残っていた根も切ることがあるので、倒れた側からスコップで少し掘り下げるなど、注意深く戻します。また、すぐに起せない場合は、露出した根に土をかけるなどして乾かないようにします。
(3)病害予防
園地が冠水した場合や、枝葉や幹に無数の傷が生じている場合は、疫病など果実腐敗性の病害やふらん病などの樹体病害感染の恐れがあります。このような場合は、定期防除を早めるか、特別散布で殺菌剤を全面散布し、感染を予防します。また、側枝や大きい結果母枝が折れた場合は、傷口をなめらかに切り、塗布剤を塗布します。

畜産

停電時対応の確認、転作田の排水対策の徹底を!

事前対策

(1)強風により畜舎や施設の破損が懸念されるので、畜舎周辺を点検し、必要であれば修繕や補強を行います。風雨でカーテン等が飛ばされないように留め金等の固定を補強します。また、畜舎内に雨水が入らないよう排水溝の点検を行います。
(2)停電により、搾乳が出来ない場合を想定して、発電機の準備や使用方法を確認しておきます。
また、可能であれば貯水タンクに水を確保しておきます。
(3)紙袋の濃厚飼料等は、雨がかからない場所に移動するか、シートで被います。
(4)黄熟期に達した飼料用とうもろこしは、可能な限り収穫します。
(5)飼料作物を作付している転作田では、排水溝の点検を行い雨水の排水を促します。特に、とうもろこしは湿害に弱いので、排水対策を徹底します。
(6)草地や敷地内で、雨水が滞留しやすい場所にラップサイレージがある場合は、影響を受けない安定した高めの場所に移動します。
(7)河川や用水路等水辺近くの圃場で放牧や獣害用の電気柵を設置している場合は、念のため電牧器本体を撤収し、浸水等による紛失、故障等を防ぎます。

事後対策

(1)畜舎内に浸水や雨漏りがあった場合は、畜舎が高温多湿となり不衛生となるので、台風通過後は畜舎やその周辺の排水を徹底し、排泄物や汚れた敷料の除去、牛床等への消石灰散布と新しい敷料の投入、空気の入れ替え等による乾燥を図り、消毒を実施します。
(2)停電になった場合は、通電後に搾乳機器の確認を行います。また、給水・給餌機等の動作も確認します。
(3)停電で搾乳が大幅に遅れた場合は、前搾り乳の凝固物(ブツ)の有無を確認します。乳房炎が疑われる場合はクオーターミルカで搾り分けするとともに、体調の変化も併せて確認し、異常時は獣医師の診察を受けます。
(4)圃場が滞水した場合は、速やかに排水するよう努めます。飼料作物の収穫時には、飛来物が混入しないように注意します。
(5)強風により倒伏したとうもろこしは、子実の登熟初期までであれば立ち直る場合があるので、そのままの状態で少し様子をみます。
(6)倒伏したとうもろこしの収穫は、ハーベスタで茎葉をできるだけ踏まないように走行方向を決め、走行速度も控えめにし、土の混入を避けるため高刈して収量を確保します。また、倒伏や折損で枯れあがりが進んだものは切断長が粗くなりやすいので、詰込み密度を確保するため十分な踏圧に努めます。
(7)とうもろこしの倒伏や折損が著しく、乳熟期や糊熟期で収穫しなければならない場合は、原料の水分が高く排汁が多く出やすいので、バンカーサイロやタワーサイロの排汁溝の詰まりを除去し速やかに排汁できるように準備します。収穫時は高刈りして、サイロでの踏圧を徹底し、添加剤を使用して不良発酵をできるだけ防ぎます。また、このようなサイレージは、可消化養分総量が少なく、硝酸態窒素含量が高い場合があるので、給与前に飼料分析を行い、栄養成分と安全性を確認して給与量を調整します。

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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