農作物技術情報 第6号 野菜(令和4年8月25日発行)

ページ番号2005531  更新日 令和4年8月25日

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タイトル

  • 施設果菜類 気象条件に応じた温湿度管理やかん水管理を徹底しましょう。
  • 露地果菜類 摘葉・摘果等の管理作業と病害虫防除を徹底しましょう。
  • 葉茎菜類 雨よけほうれんそうは適切な品種への切り替えと秋雨・台風への備えを万全にしましょう。露地葉茎菜類は収穫率向上のための適切な管理と病害虫防除を徹底しましょう。

1 生育概況

(1)きゅうりの露地栽培は成り疲れなどにより草勢が弱く、果形が不良となっている圃場が見られます。また、病害虫ではべと病の発生が広く見られるほか、炭そ病や褐斑病なども見られます。
(2)トマトの雨よけ栽培では、高温の影響による落花の発生、着果負担による草勢の低下が見られます。病害虫では灰色かび病、葉かび病、オオタバコガ、アザミウマ類の発生が見られます。
(3)ピーマンの雨よけ栽培では、天候不順の影響により草丈短く果実肥大が緩慢ですが草勢は概ね良好です。一部地域では不良果の発生が見られます。露地栽培では地域により生育状況に差が出ています。病害虫では、露地栽培で斑点病が広くみられるほか、タバコガ類の発生が見られます。
(4)雨よけほうれんそうは、7 月中旬頃の日照不足・降雨や7 月下旬以降の大雨等により、一部で生育の遅れや葉の黄化等が見られます。病害虫では、萎凋病、根腐病、アザミウマ類、ヨトウムシの被害が見られます。
(5)高冷地キャベツは、日照不足と降雨の影響により生育が緩慢となっており、一部で大雨による作土流出等、被害が見られます。病害虫では、長雨によるべと病、株腐病の発生が見られます。高冷地レタスも日照不足と降雨の影響により生育が緩慢であり、一部ほ場で大雨により作土流出等、被害が見られます。病害虫では腐敗病、軟腐病、斑点細菌病やべと病の発生が見られます。
(6)ねぎは早い作型で7 月下旬頃より収穫が開始され生育は概ね順調ですが、一部で降雨による生育不良がみられます。べと病、黒斑病、アザミウマ類が見られるほか、排水不良ほ場で軟腐病が発生しています。

2 技術対策

(1)台風等による大雨や強風対策

今後も気温の変動や急な豪雨などが懸念されます。また台風の影響を受けやすい時期になります。
屋根ビニールの破損やハウス内への雨水の流入を防止するため、ビニールの破れの補修、ハウス周りの排水対策を再度確認してください。露地野菜においても排水状況を再度確認し、明渠や排水溝の補修を行ってください。

(2)施設果菜類の管理

ア 全般
気象条件に応じた温湿度・かん水管理を徹底すします。また、秋雨前線が活発になると、高湿度となる恐れがあるため、適切な換気や摘葉等の実施により、適正な湿度環境(湿度70%~85%、飽差3~9)を維持します。
イ トマト
裂果の発生を抑えるため、土壌水分の急激な変化を起こさないよう少量多回数のかん水管理とするとともに、ハウス外からの雨水の横浸透にも留意します。
また、最低気温が14℃を下回るようになったら保温を行います。
最終摘心時期は収穫打ち切りの日から逆算して決めますが、10 月末まで収穫する場合は、9月上旬頃が目安となります。開花花房の上の葉を2枚残して摘心すると、放任するよりも果実の肥大が良くなります。
病害では今後、灰色かび病や葉かび病、疫病の発生が懸念されるので、これら病害に効果のある薬剤を選択し、防除に努めます。高温期に萎れが多く発生した圃場では、次年度対策のためにきちんと土壌の化学性や土壌病害の診断を行い、萎れの原因を確認しておきます。
ウ ピーマン
施設・露地とも気温の低下とともに赤果等の発生が増えてきます。ハウス栽培では最低気温16℃をめどに保温を開始し、気象条件に応じて換気を行い、適切な温度管理に努めてください。
病害虫では、降雨後に軟腐病の発生が多くなる時期です。軟腐病の予防には降雨前後の薬剤散布が効果的です。特に、タバコガの食害痕など傷の付いた部分から病原菌が侵入しますので、地域の予察情報等を参考にタバコガの防除もあわせて実施してください。罹病果を圃場に放置すると軟腐病の伝染源となりますので、速やかに圃場外で処分してください。

(3)露地果菜類の管理

ア きゅうり
成り疲れや急激な気温の変化の影響で草勢が低下している圃場が見られることから、不良果の摘果に努めて草勢回復を図り、摘心はアーチの外側に飛び出しているところを指先で止める程度にとどめます。
摘葉は、生育後半でも太陽光がアーチ内部に十分入り込み、新葉が常に発生するように図1を参考に行います。
さらに、草勢回復には液肥を薄い濃度で葉面散布することも有効です。気温も徐々に低下してきますので、追肥は速効性の資材を利用するようにします。
病害では褐斑病、炭そ病、べと病に効果のある薬剤を中心に選択し、古葉や病葉の摘葉作業と併せながら効果的な防除に努めます。特に、アーチの上部で病害がまん延しないよう丁寧な薬剤散布に努めてください。         また、キュウリホモプシス根腐病に感染しているかどうかを判断するために、根の残渣診断を勧めています。収穫終了後、まだ軸が青いうちに診断する必要がありますので、気になる萎れが見られる場合は、最寄りの普及センターへご相談ください。

図1

イ ピーマン
今後は気温の低下に伴い果実肥大のスピードや枝の伸長が緩やかになります。枝は放任として草勢維持を優先し、追肥も気温の低下とともに効果がなくなるので9月中旬までを目安に終了します。草勢が低下している場合は液肥を薄い倍率で葉面散布することも有効です。
病害虫は、斑点病、軟腐病、タバコガ類に注意してください。また、斑点病が発生すると急速に草勢が低下しますので、予防散布を行います。

(4)葉茎菜類の管理

ア 雨よけほうれんそう
秋まき作型品種への切り替え時期です。品種によっては、高温により徒長したり、気温の低下により生育が大幅に遅れたりする場合がありますので、天気予報等も参考にしながら各地域で示されている品種体系に従い、適期に播種します。
気温の低下や秋雨の影響でハウスを閉める時間が長くなると、べと病が発生しやすくなります。
抵抗性品種を利用している場合でも、日中は積極的に換気を行い、発生しにくい環境にするとともに、適用のある殺菌剤の予防散布を行います。
害虫では、ホウレンソウケナガコナダニやシロオビノメイガ等が発生しやすい時期になりますので、適用のある殺虫剤を適期に使用します。
イ キャベツ・レタス
高冷地の定植作業は概ね終了しています。今後は生育中の栽培管理をしっかり行い、適期収穫により収穫率の向上を目指します。
病害虫は、腐敗性病害やべと病、斑点細菌病の発生が見られており、今後は、灰色かび病やヨトウムシ、オオタバコガ等が発生しやすい時期になりますので、適期の防除を実施します。
大雨や長雨に備えて圃場排水を確認し、降雨後の防除を円滑に行えるようにします。また、収穫終了後の廃棄株や残渣は放置せず、病害虫の発生源とならないように注意してください。
ウ ねぎ
台風の影響を受けやすい時期になりますので、強風による倒伏等の被害を減らすため、適期に土寄せを行います。
最終培土(土寄せ)をした後の日数が長くなると葉鞘部のしまりが悪くなる等、品質が低下しますので、収穫の20~30 日前を目安に最終培土を行います。出荷計画を明確にし、それに合わせて最終培土を実施する時期を決めてください。
葉枯病(黄色斑紋病斑)の発生が増加する時期です。9上旬から10 月上旬までは10 日間隔で効果の高い薬剤を輪番で4回散布します。また、収穫が近くなってからのさび病などの病害虫被害は品質の低下に直結しますので、早めの防除を心がけます。なお、農薬の使用にあたっては収穫前日数を確認して適切に防除してください。      エ アスパラガス
秋以降は、地上の茎葉に蓄積している養分が地下の貯蔵根へ徐々に移行する時期となります。
これからの追肥は貯蔵根への養分転流の妨げになりますので行わないようにします。
また、茎葉を最後まで健全に保つことが重要になりますので、病害虫防除を徹底します。
倒伏防止対策をしている場合は、台風等に備えて再度ネットや誘引線の確認を行います(写真1)。

写真1

最後

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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