号外 大雨事後対策(令和4年7月19日発行)

ページ番号2005453  更新日 令和4年7月22日

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タイトル

7月15日から16日にかけて、県南や沿岸部を中心に大雨に見舞われ、圃場への浸冠水など農作物への被害が発生しています。
排水対策や病害対策を中心に圃場や作目の状況に応じて適切な対策を講じてください。

農作業安全

事後対策等は安全を確認してから!

(1)被害確認のための圃場見回りや事後対策を実施する際は、河川の増水中や圃場が冠水している時は危険なので近づかないよう注意します。また、土砂崩れなどの恐れがある場所へは安全が確保されるまでは立ち入らないようにします。
(2)水が引いた後に圃場に入る際には、作業道等のぬかるみや路肩の崩れ、また、農業機械が横転する危険がありますので、作業時には十分に注意して下さい。

水稲

速やかな排水と冠水後の圃場管理を万全に!!

県内の水稲は現在、幼穂形成期から間もなく減数分裂期を迎える時期にあり、冠水の被害が大きくなりやすい時期です。特に泥水が流入した場合、冠水時間が長いほど減収率は高まるため、できる限り早めの排水に努めてください。また、稲体はいもち病などの病害にかかりやすい状態になっているため、退水後、ただちに茎葉散布による防除を実施してください。
(1)水管理

  • 流入した濁水等を速やかに排水し、新しい用水と入れ替えます。泥が大量に流入した場合は、排水後に速やかに圃場の周縁部及び条間に、泥をかき分けるように溝を切り、新しい用水が均一に行き渡るようにします。
  • 冠水したイネは、水分を消耗しやすくなっていることから、排水後、出穂開花期までは水を切らさない管理とします。なお、高温時は稲体の消耗を抑えるため、積極的な水の入れ替え(夜間かんがい)を行ってください。

(2)ゴミ・堆積物等の撤去

  • 圃場の排水口・排水路にゴミなどが詰まった場合は、速やかな排水に支障をきたすだけではなく、再び降雨があった場合にも浸冠水しやすくなります。このため、退水状況をみて安全な立入りが可能となった場合は、(必要に応じ土地改良区など関係機関と連携しつつ)早めに排水設備を点検し、機能復旧に努めます。
  • 泥が流入した圃場では、その後に稲体の窒素濃度が高まり、いもち病のリスクが高まります。このため、生育回復等のための追肥はしないでください。また、次年度の施肥は減らす必要があるので留意してください。
  • 圃場内にある流木や瓦礫・土砂などの漂着物は、機械収穫などの作業に支障をきたすので、退水後、できるだけ速やかに取り除きます。なお、状況により土木工事等が必要な場合があるので、この場合は関係機関に相談した上で対応してください。

(3)病害虫防除

  • 冠水した水稲は病害虫への抵抗力が低下しており、特にいもち病に感染しやすくなっています。このため、退水後、ただちに茎葉散布による防除を実施します。なお、液剤で防除する場合は、葉に付着した泥を落とすように、使用基準の範囲内で散布量を多めにして実施してください。

大豆

一刻も早い排水と速やかな圃場管理を!

(1)圃場が浸水、あるいは冠水した場合は、一刻も早く排水する必要があります。圃場内のゴミ等を除去して、土壌表面水の速やかな排水に努めてください。
(2)冠水や帯水した圃場では茎疫病の発生が懸念されますので、発生がみられたら登録のある薬剤の散布を実施します。
(3)根の健全化を図るために、圃場表面が乾いてから畦間を浅く中耕したり、乗用管理機でうね間を走行するなどして、根圏に酸素を供給します。事前に圃場に入れるか確認し、作業は慎重に行ってください。
(4)生育回復のために追肥を行います。速効性の肥料を使用し、追肥量は窒素成分で10aあたり3~4kgとします。
(5)湿害の影響により、大豆の生育が停滞するため、雑草害が甚大になることがあります。茎葉処理除草剤を利用して、雑草害を軽減してください。

野菜

排水対策等を早急に行い、草勢回復に努めて下さい

(1)圃場に溜った水を直ちに排水するとともに、付着した泥土を洗い流してください。
(2)冠水や多湿によって病気の発生が懸念されるので、品目ごとに使用基準に従い殺菌剤を散布して予防に努めてください(特にべと病、疫病、立枯性疫病、軟腐病など)。
(3)被害葉や被害果、くず果の整理を早めに行うとともに、整枝、誘引などの管理を徹底し、草勢回復に努めてください。
(4)圃場表面が乾いたら、畦間の中耕を行うなど土壌中に酸素を送り、根の活性化に努めてください。
(5)その後も、きめ細やかな観察を行いながら、病害の発生や草勢の状況に応じて、殺菌剤の追加散布や液肥の葉面散布などを行い、病害防除、草勢回復に努めてください。
(6)浸冠水や土に埋没するなど、回復の見込みのない場合は直ちに整理し、代替野菜の作付を検討して下さい。秋野菜では、はくさい、だいこん、かぶ、つけな類等があげられます。は種限界の目安は次の通りですので参考にして下さい。
はくさい:8月中旬(県央地域)
だいこん:8月下旬
かぶ:9月下旬
つけな類・中国野菜:9月下旬

花き

排水対策と冠水後の圃場管理を万全に!!

(1)滞水している圃場は、溝切りなどにより速やかに排水を促してください。特にキク類は、過湿の影響を受けやすいので、早急に作業を行います。
(2)株が支柱ごと倒された場合、時間が経過するほど茎の曲がりが戻りにくくなるので、直ちに株を起こし、支柱、ネットの緩みを修復します。
(3)茎葉に折損がある場合は、被害部分を速やかに取り除きます。また、損傷や泥の付着により病害の発生が助長されるので、速やかに殺菌剤を散布します。
(4)草勢が弱っている場合は、液肥の施用や葉面散布により回復をはかります。

果樹

被害の軽減に努めましょう

(1)滞水した圃場は溝を切るなどして排水に努めます。
(2)枝のごみ、果実の泥を排除するとともに、果実腐敗性の病害や斑点落葉病・褐斑病等を防止するために、殺菌剤を散布して感染を予防します。また、果実に腐敗等が確認された場合は速やかに取り除きます。
(3)斜めに傾いたり、横になった樹体は、そのまま不用意に引き起こすと、残っていた根も切ることになるので、倒れた側からスコップで少し掘り下げるなど、注意深く戻します。

飼料作物

圃場の排水対策と品質の確保に努めましょう

(1)牧草

  • 滞水等がみられる圃場は、溝を切るなどして速やかな排水に努めます。
  • 収穫は圃場が乾いてから行います。牧草に土が付着した状態で収穫する場合は、不良発酵が起きやすいので、調製時に添加剤を使用します。
  • 土砂で牧草が枯死し今後の収穫が見込めない場合は、牧草の播種適期を逃さないよう、8月下旬から9月下旬を目安に播種し、次年度の粗飼料を確保します。草地更新で除草剤の播種同日処理を選択する場合は、8月中旬までに播種床を準備します。

(2)飼料用とうもろこし

  • 滞水等がある圃場は、溝を切るなどして速やかな排水に努めます。
  • 軽度な倒伏がみられる場合は回復を待ちます。土の混入による不良発酵を防ぐため、収穫時は刈取りの高さを高くし、添加剤を使用します。

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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