農作物技術情報 第1号 果樹(令和4年3月17日発行)

ページ番号2004954  更新日 令和4年3月18日

印刷大きな文字で印刷

タイトル

  • 令和4年産の花芽、弱小花芽はともに多いため、人工授粉による結実確保と摘花による着果負担の軽減に努めましょう
  • 3月の気温が高く推移すると発芽が早まるなど生育が早まります。凍霜害など気象災害発生のリスクも高まるので、今後の気象情報には十分注意し、管理作業や災害対策が遅れないように注意しましょう。

りんご

1 花芽の状況

(1)令和4年産のりんご花芽率を県平均の平年と比較すると、「つがる」、「ジョナゴールド」、「ふじ」のいずれの品種も高く、弱小花芽率もいずれの品種も高め(表省略)となっています。
(2)また、前年(令和3年産)の花芽率と比較すると、「つがる」及び「ジョナゴールド」は高く、「ふじ」はやや低め(表1)、弱小花芽はやや高めとなっています。
(3)花芽調査の結果から、今年の結実率が平年並みを確保できれば、平年並み以上の作柄は期待できると推察されます。
なお、「ふじ」は花芽率が平年より高いため例年並み以上の開花量になると予想されるので、果実肥大の促進や隔年結果を防止するため、早期の摘花果による着果負担の軽減が重要です。
剪定にあたっては、それぞれの花芽の状況を観察し、管理作業の効率化、受光体制の改善、農薬の到達性などに留意しながら実施します。

表1

2 発芽予測

(1)発芽が記録的に早まった昨年や一昨年と比較すると今冬の気温は低く、概ね平年並みの状況です(図1)。

図1

(2)3月1日時点の「ふじ」の発芽予測では(表2)、予測日以降の気温が平年並で推移した場合、県平均で平年の発芽日より1日遅い4月8日に発芽すると予測されています。
(3)ただし、3月3日仙台管区気象台発表の1カ月予報では、向こう1カ月の平均気温は高いと予報されています。よって、表2の「2.0℃高い」予測結果で経過する可能性もあると考えられ、その場合は平年より5日程度早まる可能性があります。
(4)今後も気象予報には十分に注意し、発芽が早まる可能性が高いことを念頭におきながら、管理作業や防除、気象災害対策が遅れないように注意してください。

表2

3 作業の留意点(凍霜害対策)

(1)整枝せん定
発芽時期や防除開始時期が早まることも予想されますので、整枝せん定作業や片付けは早めに終了させ、今後の作業の遅れが生じないようにします。
(2)凍霜害防止対策
りんごの花器は、開花期に近づくにつれ、低温耐性が下がってきます(図2)。
令和3年度の凍霜被害は、3月までの高温により展葉までの生育が10 日以上早まったところに、4月の寒気による低温や放射冷却現象による降霜によって発生し、大きな被害となりました。このため、特に3月の平均気温が平年を上回る場合には、凍霜害回避に向けた早めの対策が必要です。

図2

ア 燃焼法
令和3年度の使用時期は、最も早くて4月6日、回数は低温降霜が少なかった地域でも2~3回は実施する必要がありました。燃焼法は一定コスト(30,000 円/10a 程度)がかかるため、昨年被害が多かった圃場では、低温になりやすい場所など地形も考慮して設置するなどの配慮が必要です。
イ 防霜ファンや散水氷結法に係る設備の点検整備
生育が早まった場合でも稼働できるよう点検整備を早めに行います。
畑かんがいを利用して散水氷結法を行っている地域は、4月から利用できるよう関係機関を含めた検討を行います。
ウ 霜溜まりの解消
傾斜地の場合、園地下方の障害物は、霜溜まりを作りやすいので除去します。例えば、園地周囲の防風ネットが冷気の流れをせき止めるような場合は、巻き上げておくか除去します。
低温層の発生位置をできるだけ低くするため、マルチを除去し草刈り等で清耕状態にしておきます。

4 病害虫防除

(1)生育は平年並みの見込みですが、休眠期や発芽期の防除タイミングを逃さないよう、生育状況をよく確認するとともに、薬剤や用水の確保を進めます。
(2)生育が進むと病害虫の早期発生も懸念されるため、それぞれの園地の発生状況や、病害虫防除所が発表する発生予察情報等を参考に、適時適切な防除に努めます。
(3)県内では黒星病が広く発生しております。その被害を防ぐためには、春先の防除対策が最も重要です。具体的な防除対策は、令和4年3月3日発行の令和4年農作物病害虫発生予察情報第1号を参考としてください。
 主な黒星病対策として、被害落葉は芽出前までに処分します。重点防除時期である開花7~10 日前及び開花直前に、効果の高い薬剤を散布します。改植等で苗木を定植する際は、菌が苗木先端の頂芽にりん片越冬している可能性があるため、定植後は必ず頂部先端を切り返します。
そして、苗木および未結果樹についても、成木と同様に春先から薬剤防除を徹底してください。

最後

PDFファイルをご覧いただくには、「Adobe(R) Reader(R)」が必要です。お持ちでない方はアドビシステムズ社のサイト(新しいウィンドウ)からダウンロード(無料)してください。

このページに関するお問い合わせ

農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
〒024-0003 北上市成田20-1
電話番号:0197-68-4435 ファクス番号:0197-71-1088
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。