農作物技術情報 第1号 野菜(令和4年3月17日発行)

ページ番号2004952  更新日 令和4年3月16日

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タイトル

  • 排水対策をしっかり講じるとともに、計画的に圃場の準備を進めましょう。
  • 計画的な播種・育苗で、適期作業に努めましょう。
  • 育苗中の苗は温度管理を徹底し、低温および高温障害の発生や徒長を防ぎましょう。
  • 定植前後の地温確保、保温管理により活着の促進を図りましょう。

1 圃場準備

今年は積雪が多かったため、圃場準備の遅れに注意が必要です。圃場周りに排水溝を作るなど排水対策を実施し、土壌が早く乾くようにします。また、土壌病害対策で土壌消毒やpH 改良などを行う場合は、早目に圃場の準備を行い計画的に作業を進めます。

(1)ハウス

  • 苗の定植に向け、定植2 週間前にはマルチを張り地温を上昇させます。
  • 雨水がハウス内に流入しないよう、ハウス脇の排水用水路の点検や整備を行います。

(2)露地

  • マルチを利用する品目では、適湿時にマルチを張って地温を高め、出芽や活着を促進させます。
  • 水田転換畑では、額縁明きょ等の排水対策を実施します。暗きょや明きょに流入した余剰水を圃場外へ排出できるよう、排水口や排水路等への排水状況を確認します。

2 果菜類の育苗・定植

(1)共通

  • 育苗中は、高温と葉の重なり合いにより苗が軟弱徒長となるので、適宜苗のずらしを行って受光体制を改善し、徒長を防ぎます。
  • 果菜類の苗は、定植時には既に上位の花芽分化が進んでいます(表1)。このため、定植時の低温や活着の遅れは花芽の成長やその後の果実品質にも影響するので、適温・適期での定植に努めます。          また、病害虫が発生した苗を定植すると、圃場に持ち込まれ早期から被害が発生し防除困難になる場合があります。育苗中の温度・湿度の適正管理や雑草防除などを行い、発生状況によっては薬剤散布等を実施します。

表1

(2)露地果菜類

露地きゅうり、簡易雨よけトマト、露地ピーマン等の育苗では、播種床や移植床の地温確保をしっかり行い、生育ステージに応じた温度管理に努めます。日中に蓄熱したハウス内の保温効率を高めるため、多重被覆を行うとともに育苗床では保温性の優れる農業用ビニールに加え、断熱シート、反射シート等をかけ保温に努めます。

(3)ハウスきゅうり

  • 本葉3~3.5 枚のやや若苗を定植します。定植5~6 日前から夜温を15℃程度とし、順次苗のずらしを行うとともにかん水を控えて徒長を防ぎます。
  • 3 月下旬~4 月上旬の定植では、保温または補助暖房が必要です。地温の上昇が期待できるマルチの利用、内張りカーテンやトンネル被覆を実施するなど、地温確保と保温に努めます。
  • 定植後は、根をしっかり張らせるために主茎長30cm(または5 節)までの雌花と側枝を除去します。草勢が弱い時は10 節位までの雌花も除去して草勢を回復させ、しっかり根も張らせます。         活着後は湿度をやや高めに管理し、側枝の発生を促します。

(4)雨よけトマト

  • 育苗期に極端な低温に遭うと、低段花房にチャック果、窓あき果などの障害果が発生するので、夜温は10℃以下にならないよう保温が必要です。補助的に、育苗期のカルシウム剤の葉面散布も発生軽減に有効です。
  • 苗が生長するにしたがい、順次鉢のずらしを行って徒長苗の防止、葉かび病等の発病防止に努めます。
  • 定植は、1 段花房が1~2 花咲いた頃の苗をやや浅植えしますが、草勢が弱い品種はやや早植えとします。活着を促進するためにマルチ利用に加えてトンネル被覆による保温、または補助暖房の準備を行い、地温15℃以上を確保します。

(5)ハウスピーマン

  • 定植20 日前頃から徐々に育苗ハウス内の夜温を下げ、順化します。定植5 日前には16℃程度まで下げ、かん水も控えめにします。肥料切れの兆候が見られる場合は、液肥を施用します。
  • 定植後は、地温18℃を確保できるようにトンネル被覆による保温、または補助暖房の準備が必要です。また、定植苗が乾かないよう温水を株元に手かん水し、活着を確認した後はかん水チューブによるかん水に切り替えます。

3 葉茎菜類の播種・育苗・定植

(1)共通

  • 育苗期の温度管理を適切に行い、苗を徒長させないように管理します。日中の高温、育苗培土の過乾燥に注意し、葉色が淡い場合はかん水を兼ねて液肥を希釈して施用します。
  • 育苗後半は外気に当てて外の環境に慣らす順化を行います。

(2)キャベツ・レタス

  • 定植適期の目安は、キャベツで本葉2.5~3.5 枚、レタスで2.5~3 枚程度です。
  • キャベツ、レタスとも低温には比較的強いですが、定植後、根が活着する前に強い低温にあたると枯死する場合があるので、べたがけ資材(表2)を使い、低温、降霜、強風の被害を防ぎます。

表2

(3)ねぎ

  • 育苗日数は、地床育苗で70~90 日間、セル成型育苗やチェーンポット育苗で50~60 日間が目安です。
  • 定植圃場の植え溝は、管理機等により深さ15~20cm 程度で作溝します。土壌水分が多い時の作溝や定植は、根の活着不良や欠株の原因になるので、圃場の排水対策を実施し、地表面が乾いて白くなるなど、適湿時を選んで作業します。

(4)雨よけほうれんそう

  • ハウス内に積もった雪の融雪水だけでは、水分不足や生育ムラが生じることがあるので、1 作目でもかん水は十分に行います。
  • 播種直後にべたがけ資材を被覆することにより、出芽揃いが良くなります。しかし、長期間の被覆は徒長の原因となるので、出芽揃い後に除去します。
  • 低温期の作型では、ホウレンソウケナガコナダニが発生しやすく、前年に多発したハウスでは播種前~本葉2葉期までの土壌処理剤と、その後の茎葉処理剤との併用による防除を行います。その場合、茎葉処理剤は使用基準内で十分な散布を行ってください。未熟な有機物(モミガラ、わらなど)は被害を助長するので施用しません。また、被害株は圃場外に持ち出して処分します。                         なお、有機質を含まない化学肥料を施肥することで、有機入り配合肥料に比べホウレンソウケナガコナダニの被害を軽減できます。例年被害の見られる圃場では、肥料の変更も検討してください。

最後

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