農作物技術情報 第1号 畑作物(令和4年3月17日発行)
小麦
- 適期播種が行われた小麦の生育は順調ですが、播種が遅れた圃場では生育量が不足しています。
- 排水対策は今後の適期作業にも大きく影響します。圃場内の明渠や排水溝を補修し、速やかに排水できるよう努めましょう。
- 融雪期追肥は茎立ち前までに行い、除草剤の散布は適期を逃さず早めに行いましょう。
- 麦踏みは茎立ち前までに、圃場が乾いていることを確認して行いましょう。
小麦
1 生育状況
今冬の積雪量は多めでしたが、2月末から3月初めにかけて気温が高く推移したことから雪解けが進みました。適期播種された圃場の生育は順調ですが、播種が遅れた圃場では生育量が不足していますので、速やかな排水と追肥の実施が必要です。
なお、雪解けが遅れているところでは、融雪剤(炭化鶏糞、もみがらくん炭、黒土、てんろ石灰等)を散布し、融雪促進を図ってください。
また、排水対策が十分ではない圃場では、水が溜まっているところもみられ、生育の遅れが懸念されますので、速やかな排水が必要です。
2 排水対策
小麦は生育後半まで湿害を被る作物です。できるだけ早く圃場を乾かし、今後の作業を容易にするためにも、排水溝の崩れやゴミの詰まりを点検し、速やかに排水できるよう補修します。
例年、隣接する水田からの流入水の影響により、生育の悪い圃場が散見されますので、畦畔を補修するとともに、茎立ち前を目安に、必要に応じて圃場内排水溝を設置します。
3 麦踏み
生育が旺盛な場合は、鎮圧ローラーやタイヤなどを用いて麦踏みを行います。生育を揃え、耐倒伏性を高める効果もあります。麦踏みは、消雪後から茎立ち前にかけて、圃場が乾いているときに実施します。ただし、麦の生育が劣る場合や土壌水分が高い場合は避けます。
茎立ち期:茎が起立し始め、主稈長が2cmになった時期。ほぼ、節間伸長の始期にあたる。
4 融雪期追肥
融雪期追肥は、生育量を確認し、下記の表を参考に茎立ち前までに行います。縞萎縮病が見られる場合や白鳥による食害を受けた場合にも、融雪期追肥が有効です。
5 除草
圃場をよく観察し、雑草が生えそろって小さいうちに茎葉処理除草剤を散布します。
特に連作圃場では、雑草害が大きくなります。雑草の種類、発生状況をあらかじめ把握しておくと、効率良く防除することができます。
6 ムギ類萎縮病、コムギ縞萎縮病について
どちらの病気も土壌伝染性のウイルスが原因です。名前のとおり株が萎縮し、黄緑色のかすり状の斑点・モザイク症状を示します。特にナンブコムギでは被害が大きくなります。
萎縮病の症状が見られた場合は、追肥で被害を軽減します。
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