《野菜》ミニトマトの青枯病対策について

ページ番号2001726  更新日 平成21年7月29日

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質問内容:

《これは2002年8月の相談です》
ハウスでミニトマトを作っていますが、青枯病が昨年から発生し減収となっています。
バクテリア(細菌)が原因とのことですが、その対策等を書いている書物等はどこかにないでしょうか?

回答:

青枯病は県内各地で問題となっている土壌病害です。
県内のトマト産地では土壌消毒や抵抗性台木で対応していますが、近年、連作による菌密度上昇と高温によって,抵抗性台木を用いても発病する例がみられるようになりました。
青枯病については次のようなことが知られています。
1.感染できる作物:
ナス科植物をはじめとする33科200余種。
2.症状:
はじめ先端の葉がしおれ,やがて下位葉に及ぶ。発病初期は日中にしおれるが,夜間は回復するという急性的な症状を示すが,4〜5日で慢性的にしおれるようになり,やがて枯死する。
3.病原菌の生活環:
一旦発病した圃場では感染できる作物がなくても長期間発病に要する菌密度を維持できる。
特に30cm以上深層の土壌は水分含量が多く,凍結することがないこと,加えて他の土壌微生物群の生息密度が低いため,病原菌の生存に好適な条件にある。
病原菌は多くの作物の根圏で腐生的に生息でき,増殖することも可能である。
また,被害植物遺体中でもある程度長期間耐久生存できる。
宿主植物(感染できる植物)が作付けされるとその根圏で増殖し,新根の発生時や傷口から菌が進入する。
進入後は導管内で急速に増殖し,発病に至る。発病すると病原菌は根から外部の土壌に排出され,隣接株に連続的に伝染する。
4.発病環境:
平均気温20℃以上で発病が始まり,25℃以上で激しくなる。
土壌の多湿は根の障害をもたらすため,病原菌の侵入機会を増加させると同時に,土壌孔隙等における自由水に移動によって菌は容易に伝播される。
また,多肥や未熟有機物の施用は病原菌の増殖を助け,発病を助長させる。
5.防除:
土壌消毒が有効であるが,病原菌は急速に増殖するため,完全な消毒が求められる。
抵抗性台木も有効であるが,土壌中の病原菌密度が高い場合,高温によって抵抗性の崩壊(要するに発病)がしばしば起こる。
また、近年青枯病については発病株からハサミで伝染することもわかってきました。
徐々に被害が拡大する圃場等で発生様相を調査してみると,症状の激しい株を中心に隣接株が2〜3株連続してやや軽度の萎凋を呈し,さらに隣接する株では症状がみられないという状況が圃場内に散見されることがわかった。
このような事例は他県でもみられており,低率ではあるが,ハサミによって伝染するという試験事例がある。
発病株をハサミで切りつけ後,連続して隣接株に切りつけを行うと2〜4週間後には青枯れ症状を呈するという。
収穫作業等で使用するハサミによって伝染するとすれば,抵抗性台木を使用していても,穂木は抵抗性がないため,発病する危険性がある。
当面は発病株を撤去し,ハサミによる伝染を防ぐ対策をとってください。
青枯病についてはその対策が難しいことから、いかにして青枯病菌と共存し,彼らが被害をもたらさない程度の菌密度に制御していくか,を考える必要があります。要するに,次の4点を意識し,総合的に対応していく必要があります。
(1)土壌消毒
(2)抵抗性台木の使用
(3)耕種対策の徹底(施肥・土壌水分管理,発病株の早期撤去,圃場の転換)
(4)根気(指導者と生産者の忍耐) などです。
また、おたずねの書籍については以下の2冊があるので参考にしてください。
1 「野菜の土壌病害」 駒田亘著 タキイ種苗広報出版部 2000円+税
カラー写真が多数掲載されており、わかりやすい本です。一般の書店では手に入りにくいと思います。タキイ種苗に問い合わせれば入手可能と思います。
問い合わせ先:〒600−8686 京都市下京区梅小路猪熊東入 タキイ種苗株式会社 広報出版部
電話 075(365)0123(大代表)
2 「土壌病害をどう防ぐか」 小川奎著 農山漁村文化協会(農文協) 1,500円
コンパクトな本ですが、カラー写真は載っていません。一般の書店で扱っているので手に入れやすいと思います。

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