《果樹》りんごJM台木の挿し木が枯れる原因について

ページ番号2001739  更新日 平成22年7月12日

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質問内容:

JM台木の挿し木繁殖を行っています。
挿し木後6月中は葉も順調に展開し、見た目揃っているのですが、7月頃に枯れはじめ、最後は6〜7割が残る状態です。
原因と対策をお願いします。

回答:

挿し木後、新梢の伸長が順調でも、発根していないことにより地下部からの養水分の供給が行われず、枯れることがあります。
挿し木による発根の善し悪しには、穂木の採取時期や貯蔵法、挿し床の条件、挿し穂の条件など、多くの要因が関係しています。
対策としては基本技術の励行が大切になるため、以下に挿し木の基本的な方法及び現地で行われている技術を紹介します。

(1)穂木の採取

挿し穂にする穂木は、休眠中(12月〜2月まで)に採取します。
採取した穂木は適当な長さに切りそろえ、挿し木時期まで貯蔵します。
貯蔵では、穂木を低温に保ち貯蔵中の養分の消費を抑えること、穂木の乾燥と腐敗を防ぐことが重要となります。
具体的には、切りそろえた穂木を湿らせた新聞紙等でくるみ、ビニール袋に入れて密封し、10度以下(0〜5度が理想)になる冷蔵庫等で貯蔵します。

(2)挿し床の準備

一般的な挿し床の条件は
[1] 通気性が良く、
[2] 保水性、排水性が良い、
[3] 過剰な有機質や肥料分を含まないこと、
[4] 土壌病菌を持っていないこと
などが上げられます。日当たりがよい場所であることは言うまでもありません。
転作田を利用する場合は、2回以上ロータリーをかけ、排水性の向上を図ります。
有機物や肥料分は少ない方が理想ですが、山土など肥料分がない場合は完熟堆肥を1m あたり1kgほど混和します。
普通畑でも1回以上はロータリーをかけ、その後、ローラー等でしっかり鎮圧します。
鎮圧後、土壌が乾燥しているようであれば散水し、白黒または黒マルチで被覆します。
挿し木前に15×15cmの間隔でマルチに穴を空けます。
穴を空ける際、挿し床まで深い穴を開けると挿し穂が安定しない上に、土壌から挿し穂への水分供給が遮断されるおそれがあります(土壌と挿し穂が密着しているのが理想です)。
なお、挿し穂でマルチに穴を開けながら挿す例が見られますが、マルチの切れ端が絡まることにより、発根が悪くなりますので、厳禁です。

(3)挿し穂の準備と挿し木の実際

挿し木の時期は、雪解け後以降の3月下旬から4月上旬頃です。
挿し木の活着率は挿し穂が太いほど高くなります。
また、挿し穂の採取部位は、穂木の基部に近い部分ほど活着率が高くなるので、できるだけ中位から基部にかけての部分を使用します。
挿し穂の調整は長さ15cm程度とし、最下部はナイフ等でくさび形に切り返します。
上部の切り口は接ぎロウ等の塗布剤で保護し、1晩水上げします。
挿し木直前に、インドール酪酸液剤(オキシベロン液剤)4倍液で挿し穂下部を瞬間浸漬します。
挿し木の際は、挿し穂の芽が上を向くように挿し穂を斜めに挿し、上部1芽をマルチ上に出します。
挿し木後は、地温の上昇を抑えるため、マルチ上に土壌をかぶせます。
活着するまでは挿し穂を動かさないようにします。

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