《二戸》産地情報_TMRセンターを核とした酪農産地強化に向けた取組

ページ番号2012696  更新日 令和8年5月15日

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 牛のエサをまとめて作り農家に届ける「給食センター」のような仕組みが地域の酪農を支えています。二戸地域では、この仕組みを活用して、酪農の生産力を高める取組が進められています。

 

二戸地域の酪農の概要

 岩手県の北部、二戸地域(二戸市、一戸町、軽米町、九戸村)は岩手県内でも酪農が盛んな地域の一つで、生乳生産額は県全体の約1割を占めています。特に一戸町では、1戸当たり平均約60頭の経産牛を飼育しており、経営の大規模化が進んでいます。中でも一戸町の南部に位置する奥中山地域は標高が400~700mと高く、夏でも涼しい気候のため、牛にとって過ごしやすく多くの酪農家が存在しています。

 一方で、近年、酪農家の高齢化の進行に伴い家族労働力が減少し、牛の飼養管理や牧草などの収穫作業にかかる労働時間が長期化しています。また、資材や機械などの価格が高止まりし「このままでは家族経営で酪農を続けられない」「畑や機械を共同利用して飼料生産を効率化すべき」との声が聞かれ、エサづくりを独立して担う外部組織の必要性が増してきました。

 

一戸町でのTMRセンターの設立の経緯

 こうした課題を解決する方法の1つとして検討されたのが「TMRセンター」です。TMRとは、牧草や飼料用とうもろこし等の粗飼料や配合飼料、ビタミン、ミネラルを牛の栄養要求量に合せて1つに混ぜ合わせたものです。TMRを与えることで、胃内の環境が安定し牛の食べる量が増え、乳量が増加する効果が期待できます。また、酪農家は、エサを作って給与する労力が減り牛の管理に集中することができます。TMRセンターは、TMRの原料となる粗飼料の生産から調製、酪農家への配送を担っています。

 奥中山地域では、畑や機械を共同利用し効率的に粗飼料生産を行うために、平成18年に「有限会社TMRうべつ」が設立されたほか、令和2年には「株式会社奥中山デイリーサポート」が設立されました。一戸町内の全酪農家の約半数にあたる12戸の酪農家が、この2つのTMRセンターを利用しています。

酪農産地の強化に向けた取組

 二戸農業改良普及センター(以下「普及センター」という。)では、これらのTMRセンターを支援対象に位置づけ、関係機関と連携して酪農産地の強化に向けた取組を主に2つ行っています。

 1つ目は、TMRの原料となる良質粗飼料を確保するための畑の管理支援です。広範囲に散在する畑を効率的に管理するために、ハンディGPSを活用してデジタルの図面を作成しました。これにより、年度ごとに増減する畑を速やかに図面に反映し、作業員間で情報共有できるようにしました。また、高品質な粗飼料を低コストに生産できるように、雑草防除の体系化や堆肥の有効活用により肥料コストを削減する取組を支援しました。併せて、適期収穫と踏圧の徹底等により良質なサイレージ調製を支援し、供給されるTMRの品質が確保されるよう誘導しました。

 2つ目は、TMR給餌体系へのスムーズな移行と生産性向上の支援です。新たにTMRを給餌する酪農家においては、これまでとエサの内容が大きく変わることから、TMR給与開始後の牛の反応を定期的に観察して給餌のタイミングを調整するなど、適切な飼養管理が図られるよう提案を行いました。TMR給餌体系移行後の乳量は、移行前に比べて1割程度増加するとともに、高位平準化が図られています。

今後の方向性

 令和6年度から、普及センターでは、粗飼料生産の更なる効率化を目指して、作業状況を把握するシステムの実証に取り組んでいます。 

 このシステムを活用することで、収穫作業工程のムダを洗い出し、作業時間の短縮に結び付けられる可能性があります。酪農家戸数や労働力の減少が著しい現在の状況で、作業時間の短縮は今後ますます必要になると考えられるため、効率的な作業の実施に向け検討を行っていきます。

 また、地域内には、畜産公共事業を活用し搾乳ロボット牛舎等を整備し規模拡大を模索する経営体も出てきています。地域内の酪農生産基盤の維持に向け、引き続き関係機関一体となり支援を行っていきます。

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TMRセンター全景(株式会社奥中山デイリーサポート)
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TMRの製造工程
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畑のデジタル画面
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TMR利用酪農家の乳量推移

このページに関するお問い合わせ

二戸農業改良普及センター
〒028-6103 岩手県二戸市石切所字荷渡6-3
電話番号:0195-23-9208 ファクス番号:0195-23-9387
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