《二戸》産地情報「一大産地を目指して!!シャクヤク産地化に向けた取組」

ページ番号2012084  更新日 令和7年8月19日

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写真1 二戸地域のシャクヤクの主要品種
左:氷点、中:夕映、右:滝の粧

シャクヤクについて

 シャクヤクはボタン科ボタン属の宿根草で古くから美人を形容することわざとして「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と言われるとおり、すらりと伸びた茎の先端に大輪の美しい花を咲かせます。上の写真は二戸地域で主に栽培している3品種、白色の「氷点」、赤色の「夕映」、ピンク色の「滝の粧」です。草丈は1m程度で耐寒性があり、冬季の低温多湿には強いのですが、夏季の高温乾燥には弱いので冷涼地向きの品目です。秋に定植を行い、3年目までは収穫をできるだけ控えて株養成に専念するため、本格的な収穫は4年目からとなります。

二戸地域でのシャクヤク導入のきっかけと現状

 二戸地域の花き生産は、9割以上をりんどう、きく類が占めており、これら主要品目の収穫時期は早いもので6月下旬から、最盛期は8月上旬の盆需要期、9月上中旬の彼岸需要期であり、降霜し始める11月上旬まで収穫が行われます。一方、シャクヤクは二戸地域での自然開花が5月中旬~6月上旬と主要品目の収穫時期と被らないことから、補完品目として適していること、また他品目と比べて産地が少なく、市場からの要望が強かったことから平成30年より栽培が始まりました。

 平成30年に定植した後3年の養成期間を経て、令和4年より本格的な出荷が始まりました。その後、生産量は年々増加し、令和7年度の出荷数量は4.5万本、生産額は365万円となり、栽培面積、生産者数とも増加傾向です。市場からも「品質が良好」と高い評価を受けています。また令和6年度には、シャクヤクを二戸地方園芸振興プランの推進品物に追加するとともに、当地域のシャクヤクの産地拡大実践プランを作成し地域全体で産地化に取り組んでいます。

 一方、課題としては各生産者が豊産性に優れた3品種を中心に栽培していますが、一品種の収穫期間が5日程度と短く、栽培可能な一品種の面積に限りがあるため、長期出荷体制確立には開花期の異なる品種の組み合わせが必要であるとわかってきました。

 また、二戸地域でシャクヤクの栽培が始まってから8年目となりますが地域に適した栽培方法や肥培管理、栽培面積などわからないことは多く生産者が増えるにつれ、栽培技術の平準化も課題となっています。

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図1 二戸地域のシャクヤクの栽培面積や販売金額の推移

シャクヤク産地化に向けた取組

(1)全戸圃場相互巡回指導

 二戸地域花卉生産部会では、シャクヤクの栽培技術平準化に向けて生産者全圃場の相互巡回を毎年行っています。生育の良い圃場では、どのような時期にどのような管理作業を行っているのか確認や共有ができ、生産者間で管理方法の統一が進み、栽培技術の平準化につながっています。また、巡回時には全圃場で生育調査を行い、調査結果を共有することで品種や圃場ごとの特性が明確となり、生産者にとって品種選定や栽培管理の参考となるデータとなっています。圃場巡回には、シャクヤク栽培に興味がある生産者にも参加してもらうことで、「自分たちも栽培してみたい」と意欲向上につながり、本年度は新たに5名の新規生産者が秋に定植を行う予定となっています。

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図2 圃場巡回の記録

(2)指導会による栽培技術向上支援

 二戸地域花卉生産部会では栽培の平準化に向けて、収穫前~収穫期間に向けての栽培管理、収穫終了後の栽培管理、出荷規格指導などを行い、出荷規格については新岩手農協より、病害虫防除や栽培管理については普及センターが講師となり、説明しています。

  昨冬の秋冬管理指導会では、初の試みとして株分けの実演も行いました。当地域では購入苗の定植を行っていましたが、シャクヤク栽培開始時に定植した株が8年経過し大きくなり、株分けによる改植が必要とされています。株分けの実演では、株分け方法を生産者同士で確認し、実施時期、手順、適切な株の大きさなどの情報を共有することができました。

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写真2 シャクヤクの株分けの様子
左:掘り上げた株、右:株分けしたものを定植(芽が土面から4~5cm下になるように)

今後の展望

 二戸地域花卉生産部会では、これまでシャクヤクの産地化に向け、関係機関と協力し一体となって活動を行ってきました。シャクヤクは主要品目と作業時期がかぶらず春先の収入源ととなることから生産拡大が見込め、りんどう生産者を中心に今後も新規生産者の増加、新品種の導入により生産拡大が見込まれる品目です。 二戸農業改良普及センターでは、シャクヤク生産のしっかりとした基盤を構築し、関係機関、生産者と協力しながら、二戸地域花き生産部会がシャクヤクの一大産地となれるよう支援していきます。

 

このページに関するお問い合わせ

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電話番号:0195-23-9208 ファクス番号:0195-23-9387
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