《盛岡》 産地情報 「ぐんぐん伸びる雫石町のりんどう」
1 雫石のりんどう生産
JA新いわて南部地域花卉生産部会は、りんどうや小ぎく、ゆり、トルコギキョウなど多様な品目を出荷する花き産地です。中でも雫石町では昭和40年代から夏季冷涼な気候を活かしたりんどう栽培が行われてきました。漸減傾向となった時期もありましたが、ここ数年勢いを増しており、販売額も右肩上がりとなっています。
令和6年には販売額が過去最高の1億円を突破し、令和6年度いわて農林水産振興協議会会長賞『個性ある「産地づくり」賞』や第34回花の国づくり共励会「花き技術・経営コンクール」の『農林水産省農産局長賞』も受賞しました。
2 新規栽培者の確保・育成
販売額が伸びている要因の1つとして、新規栽培者の増加が挙げられます。部会では、新規栽培者が参入しやすい環境づくりに取り組んでいます。新規栽培者については、たい肥散布や畝立て、マルチ張りなど圃場づくりを部会役員が作業を請け負い、機械や経験がなくても安心して栽培に取り組むことができます。
また、新規栽培者は部会から苗代も補助され、1年目は収穫できない経済的デメリットを補っています。部会員同士の助け合いも特徴的で、作業のコツを教え合ったり、収穫や定植の人手が足りないときは余裕のある生産者が手伝うなど、新規栽培2~3年目でも地域の平均単収を上回る好成績を収める人もいます。
3 高単収による収益性向上
販売額が伸びたもう1つの要因として単収の向上が挙げられます。以前、雫石町のりんどうの単収は県内平均並みでしたが、近年は県内平均を大きく上回る約4万本/10aで推移しています。これは、県で育成した新品種の導入が進んだことや新品種を中心に「全茎収穫技術」が普及したことが影響しています。「全茎収穫技術」とは、りんどうでは通常は株養成のために茎を数本収穫せずに残しますが、切り下株をある程度残すことで株養成用の葉を確保し、全茎を収穫可能とする技術です。
また、管理の徹底のため、出荷が近付いた6月頃には一斉圃場巡回を行っています。関係機関と生産者で圃場を巡回し、生育状況や病害虫の発生状況、対策を確認します。管理方法などについても意見交換することで栽培技術の向上につながっています。
出荷が落ち着いた11~12月頃には個別実績検討会を行っています。生産者と農協、普及センターで3者面談を行い、品種ごとの単収や単価の実績を基に新改植の計画を話し合います。減収の要因などについても話し合い、次年度の対策を検討することで、新品種や技術の導入がスムーズに進み、単収向上につながっています。
4 高温対策の取組
りんどう栽培では近年の夏季高温による高温障害が問題となっており、開花遅延のほか着色不良による出荷への影響が見られていました。部会と連携して令和元年から実証試験を行い、遮光幕を畝上に展張する方法で高温障害を軽減できることを明らかにしました。現在では、地域の多くの生産者が遮光による高温対策に取り組んでいます。
5 ニーズに応じた単価向上の取組
りんどうの単価は全県的に上昇傾向ですが、盆や彼岸といった需要期に開花が合わないと単価が下落することがあります。需要期に開花する品種を選定していますが、暖冬など気候の影響により早く開花してしまう場合もあります。
そこで、鮮度保持剤を処理、冷蔵して出荷時期を調整する「バケットりんどう」に全農と連携して積極的に取り組み、開花が早まっても需要期に販売できるようにしています。
令和7年度からは、出荷先で不要となる下葉を予め除去して出荷する「スマートりんどう」にも取り組み始め、販売単価の向上に努めるなど新たな手法にも積極的に挑戦しています。
6 今後の展望
勢いある雫石町のりんどうですが、これまで産地を支えてきた世代が高齢によりリタイアし始めています。また、高温によって病害虫の発生時期も拡大し新たな対策が求められています。産地規模をさらに拡大しニーズに応えていくため、普及センターでは新規栽培者の確保・育成や規模拡大、病害虫・高温対策など部会の取組を支援していきます。
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