《盛岡》和牛繁殖技術を高め合う男たち 玉山・和牛繁殖研究会「男塾」の紹介

ページ番号2006879  更新日 令和5年4月20日

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 盛岡市北部に位置する玉山地域は、西に岩手山、東に姫神山を臨む中山間地で、和牛繁殖農家は120戸以上存在します。今回は、このような地域で和牛繁殖技術の向上を図る取組を行う、玉山・和牛繁殖研究会「男塾」をご紹介します。

1 玉山・和牛繁殖研究会「男塾」とは

 平成31年4月に結成された研究会で、会員は地域の担い手となる和牛繁殖農家13名です。畜産技術の向上や経営の安定を図ることを会の目的とし、定期的に研修会を開催しています。農協の部会活動とは異なり、農家だけで企画・運営しています。農協や農業改良普及センターは研修会に参加し、技術情報の提供を行うなどの支援をしています。

2 設立のきっかけ

 男塾が設立される前の平成30年度は和牛子牛価格が平均で70万円を超えるなど高値で取引されている時期でしたが、地域により価格差がありました。このような中、JA全農いわて中央家畜市場の和牛子牛価格が全国最下位となったことや、玉山地域の和牛子牛価格が所属農協の中で下位であることに危機感を覚えた和牛繁殖農家(男塾発起人)が、このままではいかんと、周辺の農家に声をかけたのが始まりです。

3 これまでの活動

 男塾では、毎年研修テーマを設定して活動しています。これまでの主な研修テーマと活動内容を紹介します。

(1) 血統

 子牛の市場評価や体格には、母牛及び父牛の血統が大きく関係します。そこで、市場評価の高い子牛の育成や繁殖雌牛の牛群改良に向けて、外部講師を招いた今話題の種雄牛に関する座学研修、県有種雄牛の視察研修(写真1)、会員の繁殖雌牛のゲノミック評価を実施しました。

(2) 畜産ICT機器

 和牛繁殖農家が通常行う作業として、牛群情報の管理・記録、繁殖雌牛の発情発見や分娩看視などがあります。最近では、このような作業に係る農家の負担を軽減する畜産ICT機器が様々な会社から市販されています。男塾の会員の中でも規模拡大する農家、一人でほとんどの作業を行う農家がいるため、作業の省力化を行いながら、繁殖成績を向上させるため、畜産ICT機器の種類や特徴、価格などの座学研修(写真2)、機器導入農家の感想を交えた意見交換を行いました。

(3) 牛舎施設と飼養管理全般

 近所の農家同士でも、お互いの牛舎をじっくり見る機会はなかなかありません。牛舎の飼槽、分娩房、哺乳~育成子牛の飼養管理場所など、他の牛舎を実際に見ることで、自分の牛舎改善につながる場合が多くあります。そこで、会員の牛舎を会場とし、経営の特徴や繁殖成績、子牛出荷成績を参照しながら、牛舎施設や飼養管理に関する意見交換を行うバーンミーティング(写真3)を複数回実施したほか、県畜産研究所外山畜産研究室の視察研修(写真4)を行いました。参加した会員からは、換気扇の位置や飼槽の形状、子牛への飼料給与方法など、細かい点に関する意見や質問が多く出されていました。

4 今後の取組

 男塾が設立して5年目となる令和5年度は、会としての目標を掲げ、その目標に向けた研修会を実施する予定です。その目標は「3年後の分娩間隔380日以内」です。岩手県の令和4年の平均分娩間隔は413日であり、岩手県家畜及び鶏の改良増殖計画では、令和12年度までに分娩間隔を380日以内とすることを目標としています。男塾では県内でも先駆けて分娩間隔の目標を達成できるよう、普及センターとしても男塾の活動を支援していきます。

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写真1 県有種雄牛の視察研修

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写真2 畜産ICT機器の座学研修

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写真3 バーンミーティング

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写真4 外山畜産研究室の視察研修

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このページに関するお問い合わせ

盛岡農業改良普及センター
〒020-0023 岩手県盛岡市内丸11-1
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