《盛岡》 産地情報 東北一から日本一のズッキーニ産地へ!JAいわて中央管内のズッキーニ生産の取組

ページ番号2004109  更新日 令和3年10月25日

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 岩手県の中央部に位置する盛岡市及び矢巾町、紫波町の1市2町をエリアとするJAいわて中央では、米、野菜、果樹、花卉等様々な品目が栽培されています。
 野菜ではきゅうりをはじめ果菜類が盛んに栽培されていますが、ズッキーニに関しては年々栽培が拡大しており、東北一の産地として注目されています。

ズッキーニ栽培の歴史

 JAいわて中央では取引先である株式会社フジからの提案を受け、平成26年度から生産者35名、栽培面積約4haで本格的に栽培を開始しました。平成30年度にはズッキーニ専門委員会を設立し、これまで農協主体だった産地づくりに生産者自らも取り組むこととし、令和元年度には栽培開始以来の目標であった販売金額1億円を達成しました。また、この8年間で産地の拡大は徐々に進み、管内各自治体(盛岡市、旧都南村、矢巾町、紫波町)すべてで栽培が行われ、生産者は90名に、栽培面積は約30haに増加しました。その中でも大規模法人を抱える矢巾町での栽培が盛んです。

JAいわて中央管内におけるズッキーニ栽培の特徴

 JAいわて中央管内では、他産地との気候の違いを活かし、端境期となる8月から9月の出荷をメインターゲットとして栽培を行っています。
 栽培は露地がメインとなっており、その中でも転作小麦圃場に後作として多く作付けされています。ズッキーニを輪作に取り入れることにより、「ズッキーニ栽培のために行った土壌改良により小麦の収量が上がった」、「雑草防除が楽になった」などの声もあり、小麦の栽培においても好影響があるようです。また、ズッキーニは播種可能期間が長いため、生産者によってはハウスでの栽培や、露地でもトンネルを用いた長期間出荷や、1圃場での複数回作付け、複数の圃場での期間をずらした継続出荷など個々の工夫によって幅広い作型が取れることも特徴となっています。

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露地圃場:転作小麦圃場に作付け

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露地トンネル圃場:露地栽培のトップバッター(5月1日定植)

産地の取組

 栽培技術については生産者をはじめ、JAや普及センターが協力して新しい技術の導入に積極的に取り組んでいます。栽培講習会を年数回開催するほか、専門委員会役員などによる圃場巡回を行うことで、相互の栽培管理の確認や技術の交流などを図っています。また、栽培終了後に実績検討会を開催し、当年の栽培の振り返りを行うことで継続的に技術を向上させています。
 また、産地拡大のためには、担い手の確保が重要です。そのために、JAいわて中央では初期投資が少ないことや栽培管理が比較的簡単であるといったズッキーニの特徴をもって、特に高齢者や集落営農組織へ向けて新規栽培の呼びかけを継続しています。
 栽培拡大の取組の他に消費拡大の取組をJAと専門委員会が中心となって行っています。コロナ禍で活動は縮小していますが、バイヤーの産地招聘や店頭でのPR活動、レシピ提案等を行ってズッキーニの知名度向上に取り組んできました。

写真3

栽培講習会

写真4

出荷されるズッキーニ:主力は2kg箱

栽培の課題と検討

 ズッキーニは他の果菜類に比べ栽培の歴史が浅いため、毎年新たな課題が浮かび上がります。
 特に最近では、受粉不良による未受精果の発生が問題視されています。未受精果は規格外果の多発のみならず輸送中のカビの発生の原因ともなるため対策が急がれています。この未授精果は、従来風媒や虫媒で行われる受粉を人の手で行うことによって、発生を減らすことができます。そこで、令和3年度は未授精果の対策として、栽培講習会等で人工授粉の必要性や方法を示す活動のほか、人の手による人工授粉が困難な大規模圃場向けの受粉技術として、授粉用ミツバチの実証を行っています。人工授粉に関しては、本年度実施した生産者から収量及び良品率の向上が見られたとの声もあり、今後実証効果を取りまとめ、安定生産技術の構築を進めていきます。
 この他にも作業時間の多くを占める出荷調製作業の省力化や水田転作圃場の排水対策などの課題がありますが、これらに関しても生産者やJA、普及センターが連携して検討を進めています。

写真5

巣箱で待機中の授粉用ミツバチ:梅雨明けから晩夏にかけて活躍を期待

産地のさらなる発展に向けて

 管内のズッキーニ栽培はまだまだ可能性を秘めており、今後の発展が望まれる作目です。JAいわて中央では販売額の新たな目標を2億円と決めており、管内のズッキーニ栽培はますますの産地拡大が見込まれています。新たな目標の達成に向け、今まで以上に生産者やJA、普及センター、関係機関が一体となって取組を進めていくこととしています。

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このページに関するお問い合わせ

盛岡農業改良普及センター
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