《宮古》産地記事『宮古地域における「銀河のしずく」栽培の状況』

ページ番号2007226  更新日 令和6年3月13日

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宮古赤前地区における「銀河のしずく」知事田植え行事
宮古市赤前地区における「銀河のしずく」知事田植え行事

「銀河のしずく」について

 「銀河のしずく」は、岩手県農業研究センターが約10年の歳月をかけて育成した水稲品種で、平成28年から一般栽培が開始されました。当品種は、全国トップクラスの品質、食味を目指し、栽培適地の指定や作付経営体の登録を行っており、岩手県が育成したオリジナル水稲品種としては初めて、米の食味ランキングで最高評価の「特A」を獲得しています。

 また、品種特性として、耐冷性や穂いもち病の抵抗性に優れ、「やませ」が入り込む宮古地域においても、高品質・安定生産が期待されます。

栽培研究会について

 宮古地域「銀河のしずく」栽培研究会は、栽培適地の宮古市と山田町で活動しており、平成28年度に生産者7名、2.9ヘクタールで栽培を始めました。現在は生産者31名、作付け面積35ヘクタール(令和4年度)と毎年着実に栽培面積を拡大しています。

宮古管内における「銀河のしずく」の生産者数、栽培面積、品質基準達成割合推移
宮古管内における「銀河のしずく」の生産者数、栽培面積、品質基準達成割合の推移

これまでの取組

(1)高品質生産の取り組み

 「銀河のしずく」は全国トップクラスの品質と食味を確保するために、「一等米かつ、玄米タンパク質含有率が6.3%以下」という品質基準が設けられており、基準に達しないものは「銀河のしずく」として出荷できません。このため、品質基準の達成を目標に、毎年、育苗巡回、栽培現地研修会や実績検討会、各種実証試験を実施しています。令和3年度には、普及センター監修のもと、これまで取り組んだ各種実証試験の結果も加えた宮古地域版「銀河のしずく」栽培マニュアルを作成し、マニュアルに基づいた適切な栽培管理を実施しています。これらの活動により、近年は研究会員が毎年増えている中でも品質基準達成割合を高水準で維持しています。

令和5年度銀河のしずく栽培現地研修会(追肥判断)の様子
令和5年度「銀河のしずく」栽培現地研修会(追肥判断)の様子
宮古地域「銀河のしずく」栽培マニュアル
宮古地域版「銀河のしずく」栽培マニュアル

(2)震災復旧農地での栽培

 宮古市南部の赤前地区は東日本大震災津波により多くの水田が被災しました。復興交付金を活用し、営農機械等を導入し、平成30年には圃場整備がすべて完了し約10ヘクタールの農地で水稲栽培が再開されました。復旧農地で生産された「銀河のしずく」は普及センターや関係機関の連携により、市内の小中学校の給食用米としても供給されました。また、令和3年度には震災から10年という節目に、赤前地区において「銀河のしずく」の知事田植え、稲刈り行事も行われました。田植え行事では、知事が田植機に乗り、田植えを行った後、研究会の伊藤壽雄会長が「銀河のしずくの普及拡大と更なる栽培技術の向上に励みます」と力強く宣言し、銀河のしずく頂上コンテストの入賞米を贈呈しました。また、稲刈り行事では、知事や地元にある県立宮古短大の学生とともに稲刈りを行い、「銀河のしずく」を通して、様々な方々と交流を深めました。

入賞米を贈呈する伊藤壽雄会長
コンテスト入賞米を贈呈する伊藤壽雄会長

(3)GAPの取り組み

 高品質な米の生産だけでなく、持続的かつ効率的な農業経営の実践のため、「岩手県版GAP」(令和4年度に廃止)にも取り組みました。平成30年から普及センターが主導でGAPの啓発活動や現地指導等を行い、乾燥調製施設の整理整頓や、作業記録の作成、関係書類の保管等、毎年の改善を経て令和3年には5名が確認登録をうけました。令和5年度以降は更なるレベルアップのため、国際水準GAPの取り組みも検討していく予定です。

今後の課題

(1)栽培面積の拡大

 宮古管内では「あきたこまち」や「ひとめぼれ」といった品種が作付割合の多くを占めていますが、歩留まりが悪かったり、品質が不安定となる課題があり、「銀河のしずく」はこれらの課題を解決できる可能性があります。また、農家の収益性向上も期待できることから、既存品種からの切り替えを進めていく必要があります。

(2)更なる品質・収量向上

 栽培開始から8年が経過し、栽培に慣れてきている生産者が増えている一方で、単収は伸び悩んでいます。品質や食味が良くても、単収が低いと品種の切り替えも進まないことから、今後、品質を維持しながら単収向上を図り、生産者の所得向上につなげる必要があります。収量向上のため、土づくりの推進や適正な栽植密度の確保、適期追肥の推進等を研修会や個別巡回を通じて進めていくほか、研究会や新いわて農協宮古営農経済センター等の関係機関・団体等とも連携し、更なる生産振興を図っていきます。

(文:宮古農業改良普及センター 小野 直毅)

 

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宮古農業改良普及センター 産地育成課 情報担当
〒027-0072 岩手県宮古市五月町1-20
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