《宮古》産地記事「集落営農組織「ゆたか農産やまだ」による大豆生産等の取組(山田町)」

ページ番号2001716  更新日 令和4年2月24日

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不耕起播種機で播種した大豆の苗立ち

はじめに

山田北地域(豊間根・荒川)では、令和2年1月に集落営農組織「ゆたか農産やまだ」が設立され、約25ヘクタールの農地で大豆の協業生産が行われています。

組織設立の経緯

ゆたか農産やまだの構成員は、組織設立前には「山田北地区農作業受託班(以下「受託班」という。)」の班員として農業生産活動を実施していました。受託班は、東日本大震災津波の被災農地等において営農を再開するにあたり、山田町が立ち上げた農業機械や施設の管理を行う「山田復興農機利用組合」の構成員として平成26年に結成されたのが始まりです。設立当初から、担い手6名が被災農地における大豆等の作付けや農作業の共同化を図ってきました。

受託班は、効率的な農業経営を実現し、班員の収益を増進させるという設立当初の目的を果たしたとして解散し、同時に、集落営農組織「ゆたか農産やまだ」を立ち上げ、地域農業を支える担い手の確保や農作業の受託・共同化等を通じて組織の充実化を図り、より発展的な農業経営を進めることとしました。構成員は担い手6名となり、山田町土地改良区が事務局を担っています(写真1)。ゆたか農産やまだは、山田北地域を中心に、白大豆(品種「シュウリュウ」)、黒大豆及び青大豆を作付けしています。

写真1
写真1 ゆたか農産やまだ構成員

関係機関との連携

ゆたか農産やまだは、農協、山田町、農林振興センター、農業改良普及センター等の関係機関と連携し、大豆栽培技術の向上及び組織運営の強化を図っています。ゆたか農産やまだが設立されてから、関係機関と月に一度打合会を実施し、農作業の進捗状況や実施計画、事業の実施状況等を共有しています(写真2)。構成員の出席率は高く、全員に同じ内容が伝わり情報共有が図られています。また、質疑・意見交換の場面でも、構成員が日頃感じている疑問や意見を出し合い一つ一つ解決していくことで、協働の意識が高まっています。

写真2
写真2 関係機関との打合せ

不耕起播種栽培の実施

大豆の播種作業は通常6月上旬から中旬にかけて行われますが、構成員にとって、水稲作業との競合や、梅雨に伴う播種作業の遅れが課題となっていました。そこで、大豆の適期播種を可能とするため、組織設立前の平成29年度に、農業改良普及センターの地域経営推進費事業を活用し、試験的に不耕起播種栽培に取り組みました。その結果、適期播種の実現や作業の省力化等の効果を実感したため、令和2年度に補助事業を活用して不耕起播種機をリースで導入し、本格的に実施しました(写真3)。耕起作業を行わないため、天候不順の条件下でも播種作業が可能となったほか、播種スピードの向上により作業時間が大幅に短縮されました。

写真3
写真3 不耕起播種機と作業実演会

また、コンバインの共同利用による収穫作業の遅れも課題となっていたことから、補助事業を活用して汎用コンバインもリースで導入しました(写真4)。その結果、広い圃場をより短期間で収穫することが可能となり、適期収穫も実現されました。

写真4
写真4 汎用コンバインによる収穫

これらの取組により、単収も143キログラムと過去最高となりました(図1)。構成員からは「リース導入した不耕起播種機は播種スピードが速く、発芽や苗立ちも良かった」、「汎用コンバインの導入により、収穫遅れによる脱粒の心配が無くなった」、「今後もより高収量・高品質を目指したい」等の前向きな声がありました。

図1
図1 大豆単収の推移 青:受託班、黄:ゆたか農産やまだ

今後の課題

令和2年産については、適期作業の実施等により大豆の単収を向上させることができました。しかし、中には降雨等の天候不順により湿害が発生した圃場も見られました。このため、今後は、湿害が発生しやすい圃場や概ね30アール区画以上の圃場では、額縁明渠や圃場内明渠の施工を強化するなど、排水対策をより一層徹底することとしています。

また、令和2年度は、大豆の新たな用途・販路を見出すため、大豆の利用拡大に向けた取組を実施しました。例えば、生産した大豆が地域内の学校給食や味噌加工に使用され地産地消が図られたほか、東京都でイベント事業等を手掛ける八芳園に大豆を提供し、「宝だし」の開発に貢献しました。引き続き、大豆を活用した新たな取組を見出し、所得向上及び地域活性化を図っていく予定です。

(文・写真 宮古農業改良普及センター)

 

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