《久慈》産地情報「米価下落に負けない!集落営農の取り組み~久慈市農事組合法人宇部川ファーム~」

ページ番号2004092  更新日 令和3年10月8日

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宇部川ほ場整備地区について

SGSの調製作業

久慈市と野田村にまたがる宇部川地区は、狭小で湿地という劣悪な条件から、耕作放棄地が多い状況でした。東日本大震災後に津波被災農地約15haを含む、受益面積80ha、受益者257名を対象に、平成24年度から宇部川地区ほ場整備事業が開始され、平成27年より一部で営農を開始し、令和2年度に完工しました。

籾米サイレージの保管状況

粉砕・加水された状態の籾米

法人組織としての概要

設立の経緯

この農地を効率的に運営するため、普及センターでは、農地の利用調整組織と営農組織の2体制による集落営農を提案しました。その結果、圃場整備受益者全員から成り利用調整を行う「宇部川地区営農組合」が、平成24年に設立されました。次に営農を行う17名で構成された「宇部川地区農業生産組合」が設立され、平成26年には、6名で構成される「農事組合法人宇部川ファーム」(以後宇部川ファームと記載)に移行しました。

同時に、農地中間管理事業の集積協力金を活用し施設や機械の整備を進め、宇部川ファームによる平成27年からの営農を開始することができました

営農の概要

現在の宇部川ファームは、構成員は5名、従業員(正社員、臨時社員、パートタイマー含む)は7名となっています。宇部川地区の受益農地80haのうち46haで営農を行っており、主食用米に加え、籾米サイレージ(以後SGSと記載)を組み合わせ、さらにはミニトマトの生産も行っています。

県北沿岸地域には銘柄米が少ないことから、営農開始当初から、主食用米とともに飼料用米の生産に取り組んできました。ほ場整備の進行とともに、経営面積が拡大したため、育苗施設不足の解消や作業分散に向け、県北地域では事例の少ない直播栽培にも取り組んでいます。

基盤整備
基盤整備前
基盤整備
基盤整備後

畜産分野との連携

経営面積拡大にあたり、法人の収支計画・資金計画等に基づき検討を重ねた結果、平成28年から、既存施設で取組が可能であるSGSに転換し生産を増やしています。現在は、SGS36haのうち24haを直播栽培で取り組んでいます。普及センターでは、県北広域振興局農政部や久慈市等と連携し、技術支援や供給先の確保に取り組み、現在では山形町の短角牛生産者等16名に供給しています。

また、さらなる収益性向上に向け、肉用牛肥育が必要とする稲わらの地域内供給に令和3年度から本格的に取り組むこととし、稲わら収集のためのロールベーラを導入しました。

なお、稲わらの搬出による有機物不足が懸念されることから、地元の豚ぷんペレットを活用し地力向上に加えコスト低減による収益性向上も狙っていきます。

 

籾米サイレージを食べる短角牛
SGSは短角牛の嗜好性もバッチリ!
ロールベーラのわら収集試験
さらなる耕畜連携に向けて稲わら収集のデモ試験を行いました(R2)

高収益品目の導入

平成30年から、さらなる収益性向上に向け、水稲育苗用ハウスを活用した全農式トロ箱養液栽培システム「うぃずOne」によるミニトマト栽培を始めました。

収穫・調製作業には地域の方を雇用し、パック詰め作業には農福連携による雇用を導入することで、地域住民らの活躍の場を創出しています。

ミニトマトの生育調査
適切な栽培管理に向け、従業員の方とミニトマトの生育調査を行っています。

労働環境の整備

事業の拡大・強化に伴い、若い担い手が働きやすい環境の整備を進めています。

令和元年度からいわて農業経営相談センターの専門家派遣事業を活用し、労働条件や賃金体系等の明確化や見直しを行い、就業規則を整備しました。

その結果として、令和3年4月には正社員を1名採用しています。

実績検討会
実績検討会では、栽培計画に係る情報交換をしています。

今後の展望

宇部川ファームは、このように主食用米のみに頼らない経営基盤の強化を進めてきた結果、本年度の米価下落の状況においても、安定した収入が得られる見通しです。

今後は、高規格ハウスの整備や新たな園芸品目の導入などにより事業の拡大・強化を図り、若い担い手が魅力を感じる営農を進める方針です。

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このページに関するお問い合わせ

久慈農業改良普及センター
〒028-0064 岩手県久慈市八日町1-1
電話番号:0194-53-4989 ファクス番号:0194-53-5009
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