《一関》産地情報 『東北一の夏秋なす産地~一関地域のなす栽培~』

ページ番号2012488  更新日 令和8年3月18日

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1 一関地域のなす栽培

 岩手県の最南端に位置する一関地域は、一関市、平泉町で構成され、温暖な気候を活かしたトマト、ピーマン、きゅうり、なすといった果菜類の栽培が盛んに行われています。

 令和7年度のJAいわて平泉なす部会(生産者64名、栽培面積9.8ha)(以下、部会)における実績は、出荷量約630t、販売金額2億4000万円を誇り、県全体の出荷量の8割を占めるほか、東北一の夏秋なす産地となっています。

 作型は露地トンネル栽培(4月定植、5~10月収穫)とハウス栽培(3月定植、4~12月収穫)であり、部会で品種を収量と秀品率に優れる「くろべえ」(台木:トルバム・ビガー)に統一し、その取組を30年以上継続しています(図1、写真1)。

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図1 一関地域のなす生産の状況
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写真1 収量と秀品率に優れるなす品種「くろべえ」

2 JAいわて平泉なす部会の特徴的に活動

(1)栽培技術の向上と継承

 部会では、なすの品質維持・向上を図るために、平成2年から「立毛共励会」を毎年7月に開催しています。この活動は、生産者が相互巡回を行い、樹勢やほ場状態などを審査し、生産者間で改善点と優れている点を意見交換することで、栽培技術の更なる向上につなげています(写真2)。

 また、平成30年度に部会で作成した栽培マニュアル「なすブック」は、適切な栽培管理の徹底や、篤農家技術の継承に役立てられています。

 これらの活動は、近年の生産者、面積の減少に対して、概ね6t/10aの高水準な単収を実現し、出荷量・販売金額2億円の維持に貢献しています。

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写真2 「立毛共励会」の実施状況

(2)若手生産者イベント「ナスフェス」による地産地消と販売促進

 平成27年度に、若手生産者が自発的に、相互交流と技術研鑽を目的としたグループを立ち上げました。当初4名だったグループは、その目的に賛同する若手生産者が徐々に加入し、令和7年度には13名となっています。

 令和元年度には、「東北有数のなす産地であることをPRしたい、なす生産者を増やしたい」という想いから、地元飲食店と連携した「ナスフェス」を企画開催し、今に至っています。

 「ナスフェス」では、地元飲食店に若手生産者が作ったなすを使用した料理を提供してもらい、一関地域の“美味しいなす”を広く消費者にPRしています。また、生産者が自らチラシを作成し、SNSで情報発信するなどPRに工夫を凝らしています(写真3、4)。

 令和7年度は県内外の飲食店20店・スーパー3店の協力を得て、なすの料理や総菜を一関地域だけでなく、周辺地域まで広く提供しました。また、これらの継続した活動により、産地としての認知度の向上、一関地域産なすのファン獲得につながっており、今後の更なる展開が期待されます。

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写真3 「ナスフェス」の広告チラシ
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写真4 一関産なすを使用したなす料理

(3)高温対策に向けた技術導入

 近年の猛暑の影響により、なすの受粉不良による花落ちや日焼け果などの障害果が多発しており、令和7年度は令和6年度と比べ、出荷量が1割弱減少しました。そこで、若手生産者を中心に、高温対策としてハウス内の昇温抑制効果がある遮熱資材や外気導入装置を試験導入する動きが見られています。また、これらの技術を導入した圃場において、若手生産者自らが勉強会を開催し、高温対策への認識を深めるとともに、収量・品質向上など栽培技術向上に取り組んでいます(写真5、6)。

 普及センターでは、令和8年度に高温対策技術実証圃を設置し、対策技術の効果検証を通じて、若手生産者の活動を支援することとしています。

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写真5 外気導入装置の設置状況
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写真6 若手生産者グループの勉強会

3 今後に向けて

 現在、なす生産者の高齢化により生産量が減少していることから、産地の縮小が懸念されています。課題に対応するため、令和8年2月の「JAいわて平泉なす部会通常総会」において、作付面積10ha、部会員数70名、出荷量720t、単収6.8t/10aを部会目標とし、部会員一丸となって栽培技術の更なる向上や高温対策を通じて、なすの生産振興に取り組んでいくこととしました。

 一関農業改良普及センターでは、生産者及びJAと協働しながら、JAいわて平泉なす部会が今後も東北一のなす産地として発展していけるよう、支援を行っていきます。

このページに関するお問い合わせ

一関農業改良普及センター
〒029-0803 岩手県一関市千厩町千厩字北方85-2
電話番号:0191-52-4961 ファクス番号:0191-52-4965
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