≪一関≫目指せ高品質米生産! 「銀河のしずく」「金色の風」栽培研究会の活動紹介
はじめに
岩手県の最南端に位置する一関地域は、北上川流域の平坦部を挟むように、東西に中山間地域が広がっており、様々な作目が生産されています。その中でも水田は約5700ha(令和5年時点)の面積を誇り、「ひとめぼれ」をはじめとした多くの品種が栽培されています。今回はその中でも県オリジナル品種である「銀河のしずく」と「金色の風」の栽培研究会の活動を紹介します。

「銀河のしずく」「金色の風」について
「銀河のしずく」と「金色の風」は、どちらも岩手県が育成した県オリジナル品種です。
「銀河のしずく」は2016年から栽培が開始され、年々面積が拡大している今最も勢いのある品種です。あっさりとした食味と、歯ごたえのある食感から消費者から高い評価を受けています。
「金色の風」は2017年から栽培が開始された品種です。食味は「銀河のしずく」と好対照な特徴を持っており、しっかりとした食味と粘り、そして他の品種に類を見ない柔らかい食感が特徴です。「金色の風」の食味は、岩手県内だけでなく県外でも高く評価を受けており、東京都の5ツ星お米マイスターを対象として実施したアンケート調査では「近年味わったことのない美味しさ。すべての項目において最高レベル」との評価を受けています。
栽培研究会の活動について
「銀河のしずく」と「金色の風」の生産者の間で、地域全体の収穫量や品質の実績や栽培の振り返りを栽培研究会活動を通じて行っています。両品種には高品質な米を生産して消費者からの高い評価を維持するために、各品種の栽培マニュアルを遵守した栽培管理と品質基準のクリアが求められます。この項では栽培研究会の具体的な取り組みについて紹介します。
(1)圃場巡回指導
「銀河のしずく」と「金色の風」を育苗しているハウスや栽培している圃場(水田)をJAと普及センター職員が巡回して、苗の質や移植の深さ、栽植本数(面積当たりに植える苗の本数)などを調査します。また、イネにとって重要な作業である中干しのタイミングについて指導を実施しています。


(2)適期刈取りに向けた取組
「銀河のしずく」と「金色の風」は、県中南部で多く栽培されている「ひとめぼれ」と比べると、収穫の遅れによる品質低下の度合いが大きいことが課題です。そのため、栽培研究会では毎年適期刈取り指導会を開催し、生産者が持参した稲株から刈取り適期を判断しています。
指導会では、出席者に圃場から1株稲株を持参してもらい指導会場で刈取り適期を判断しています。実際にサンプルを見ながら指導することで、刈取り適期の判断のポイントがより正確に共有でき、生産者自身で刈取り適期を判断し、刈り遅れによる品質低下を防いでいます。

また、JAでは「刈取り適期のぼり」を作成して、適期刈取りを推進しています。この旗は、刈取り適期に達した圃場に設置することで、設置した圃場だけでなく、周辺生産者の刈取りも促す効果が出ています。

このような取組の成果と生産者の努力の結果、岩手県産米の消費拡大と生産意欲の喚起を目的とした令和4年度「銀河のしずく」頂上コンテストでは約90点の応募点数のうち管内産の「銀河のしずく」が入賞したほか、令和4年度「至福の味、金色の風」コンテストでは、上位10名のうち管内の生産者8名が入賞しています。
おわりに
「金色の風」と「銀河のしずく」は厳しい制限の中、生産者同士が情報を交換しつつ切磋琢磨しながら高品質米の生産に取り組んでいます。
また、「銀河のしずく」は高収量でいもち病に強い特性がある品種です。多くの生産者から栽培希望の声があることから、今後更に面積が拡大することが予測されます。そのため、高品質米の安定生産に向けて、JAと普及センターでフォローアップできる体制を整備しているところです。
最後になりますが、地球温暖化や資材高騰など農業を取り巻く環境は大きく変化しつつあります。そのような中でも、生産者の意欲に応えた生産基盤を維持・発展させられるように、生産者とJA、そして普及センターが一体となり産地の発展に努めていきます。
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このページに関するお問い合わせ
一関農業改良普及センター
〒029-0803 岩手県一関市千厩町千厩字北方85-2
電話番号:0191-52-4961 ファクス番号:0191-52-4965
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