牧草地へのカリウム適正施肥量を探る! ~ 除染採草地・耕起困難草地におけるカリ適正化試験

ページ番号2005087  更新日 令和4年5月17日

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 東京電力福島第一原子力発電事故から7年、草地除染後5年以上が経過しました。牧草への放射性セシウム(RCs)の移行を抑制するには、カリウム施肥により土壌中交換性カリ含量を高めることが有効です。しかしながら、多量のカリウム施肥を行うと牧草中のカリウム含量が高まり、牧草ミネラルバランスが崩れることが課題となっています。

 畜産研究所では、これまで牧草中RCs濃度を抑制しつつ、牧草のミネラルバランスを崩さないカリウムの施肥量や施用時期等の検討を重ねてきました。その中で、土壌中交換性カリ含量が改良目標値(20mg/100グラム)以下の除染採草地では、牧草・飼料作物生産利用指針の施肥基準量(年間カリウム施肥量20kg/10アール)を施肥することで、2番草以降牧草中RCs濃度の上昇が抑制されることを確認しました。ただし、基準量以下では牧草中RCs濃度が上昇することが確認されています。

 今後は、除染採草地の再更新時におけるカリウムの施肥量を検討する新規試験に取り組みます。また、耕起困難あるいは耕起不能であるなど作業条件が不利な放牧地において、施肥の省力化を図るため、緩効性カリウム肥料の配合割合を変えた試作肥料の試験を併せて行っていきます。

試験圃への施肥作業の様子の写真
試験圃への施肥作業の様子

(畜産研究所家畜飼養・飼料研究室 専門研究員 髙村 聡美)

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