雑穀育種の夜明け?早朝のアワ交配 ~ 特性の優れる雑穀の育成を目指して

ページ番号2005164  更新日 令和4年5月24日

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 雑穀は、一時の風評被害が解消され、現在は生産が追いつかない程に需要が回復しており、生産量の拡大が課題となっています。そこで県北農業研究所では、公益財団法人岩手生物工学研究センターと連携して、稈長が短く多収で、機能性成分を多く含むといった特性の優れる雑穀品種の開発を進めています。

 その中でアワについては、多収、大粒で玄穀が濃い黄色の「ゆいこがね」(平成25年育成)に突然変異処理を行った集団や、稈長や穂首の抽出が短い系統と「ゆいこがね」を交配して得られた集団を用い、「ゆいこがね」よりもさらに特性の優れるアワの育成を目指しています。

 毎年アワの開花がピークを迎える8月中旬になると交配を行っています。アワは自植性の植物なので、異なる品種のアワを交配させるためには、人の手によって片親の花粉を別の片親に受粉させる必要があります。アワの実はとても小さいので、交配は実験室で顕微鏡を見ながら行う大変細かい作業です。開花は夜が明けて早朝の5時半頃から始まり、6時半頃にはピークを迎えますので、この1時間の間に手際よく交配を行うことが大切です。

 夜明けとともに行われるこの交配から、「ゆいこがね」よりも特性の優れたアワや遺伝解析に役立つアワが開発されることが期待されます。

  • 顕微鏡を見ながらの交配作業の写真

    早朝6時、顕微鏡を見ながらの交配

  • アワの開花の様子の写真

    アワの開花の様子

(県北農業研究所作物研究室 主任専門研究員 高草木 雅人)

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