より効率的な施肥を目指して ~ 可給態窒素を指標とした新たな窒素施肥基準の策定
土壌には、堆肥や作物残渣に由来する有機物が多く含まれています。この有機物の一部は、土壌微生物の働きによって分解(無機化)され、作物が利用可能な無機態窒素となります。このように有機物の分解(無機化)によって発現する窒素を地力窒素といいます。
無駄のない窒素施肥をするためには地力窒素がどの時期にどれだけ発現するのかを知ることが重要となります。ところが、地力窒素の指標とされる「可給態窒素」の分析は、土壌を4週間培養する必要があるほか、高価な分析機器が必要であり簡単ではありません。そのため、これまで施肥について地力窒素を考慮して施肥量を調節することは難しい状況でした。
しかし近年、可給態窒素を簡易に分析する手法(下記リンク参照)が開発され、比較的簡単に可給態窒素の分析が可能となっています。このことから、当センターでは施設栽培トマトにおいて、この簡易法で測定した「可給態窒素」を指標とした新たな窒素施肥基準の策定に取り組んでいます(農林水産省委託プロジェクト研究「生産コストの削減に向けた効率的かつ効果的な施肥技術の開発」)。
具体的には、地力窒素に相当する分だけ窒素施肥量を減らした区や、窒素施肥は行わず、地力窒素のみで栽培する区等を設置した試験を行っています。生育や収量の本格的な調査はこれからとなりますが、より効率的な施肥を目指して今後も試験を進めていきます。

右手前は窒素無施肥(地力窒素のみ)で栽培している
(環境部生産環境研究室 主査専門研究員 桐山 直盛)
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