超音波画像で牛(にく)を診(み)る ~ 和牛の肉質推定精度の向上に向けて

ページ番号2005259  更新日 令和4年5月27日

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 平成29年9月に宮城県で、我が国の和牛オリンピックと言われている「第11回全国和牛能力共進会」が開催されます。共進会では、様々な部門で和牛の能力が競われますが、肉質を競う部門では、すでに平成28年3月から県内各地で出品候補牛の肥育が始まっています。6月6~13日には、当研究室やJA等の関係者が一緒に農家を巡回して、採食状況など日頃の牛の様子を聞いたり、体重測定や血液検査で健康チェックをして、これからの飼い方を検討しました。

 肉質については、牛の体の表面から超音波を当て、反射してきた超音波を視覚化する「超音波画像診断」技術を用い、ロース肉の太さやバラ肉の厚さと、これらの筋肉への脂肪の入り具合を推定して、出品牛の選抜に役立てます。下の写真は、実際に診断している様子です。奥の人が右手に持った装置(プローブ)を牛の体に当て、筋肉の様子を手前のモニターに映し出します。

 超音波画像診断は、生きたまま肉質を推定できる画期的な技術ですが、画像からの肉質の推定には、

  1. 生体の筋肉、脂肪の位置や画像の映り方を判断できる知識と経験が必要
  2. 牛が大きくなり脂肪の蓄積が進むと、超音波が体深部から反射されにくくなり、判断が難しくなる

等の課題があります。

 推定精度の向上には、画像を動画で記録し複数の技術者で分析・検討することや、より高性能の装置や画像解析システムを用いるなどの新たな対策も必要です。今回の診断は、まだ肥育初期の段階ですが、今後は3カ月毎に調査を行い、筋肉の発達や脂肪の蓄積具合を確認し、共進会には肉量・肉質ともにベストの牛を出品できるよう、農家、関係者と一体となり、取り組んでいきます。

  • 超音波診断の様子の写真

    超音波診断の様子

  • 超音波診断画像の写真

    超音波診断画像
    円で囲まれた部分がロース芯

(畜産研究所種山畜産研究室 技師 羽田 雅紀)

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