新規種雄牛「絹美継」＆「春北平」デビュー！！

  平成28年3月までに判明した黒毛和種種雄牛産肉能力検定（現場後代検定法）の成績が優秀だった「絹美継（きぬみつぐ）」、「春北平（はるきたひら）」の2頭が新たに本県の基幹種雄牛に指定され、4月から人工授精用凍結精液の本格供給を開始しました。各種雄牛の特徴は次のとおりです。

【絹美継】：第9回全国和牛能力共進会長崎大会において、若雄の部優等賞2席を受賞した種雄牛です。枝肉重量、脂肪交雑に優れる父「飛良美継」と枝肉重量、バラの厚さに優れる母「きぬか」を交配して生産されました。検定成績では、皮下脂肪は厚いものの、枝肉重量、バラの厚さが優れていました。兵庫系の雌牛との交配がおすすめです。

【春北平】：脂肪交雑に優れる父「北平安」と脂肪交雑に優れる母「はるみ」を交配して生産された種雄牛です。検定成績は、ロース芯面積、バラの厚さ、歩留に優れ、高い上物率を示しました。気高系と糸桜系の雌牛への交配がおすすめです。また、田尻系のなかでも、菊谷関連や安福（岐阜）関連の雌牛への交配もおすすめです。

現場後代検定成績（平成28年4月1日時点）

種雄牛名 （産地）	父 母の父 祖母の父	検定成績
		性別	頭数	枝肉重量 (kg)	ロース芯面積 (cm2)	バラ厚 (cm)	皮下脂肪厚 (cm)	歩留基準値 (％)	BMS (No.)	上物率(%) A5率(%)
絹美継 （葛巻町）	飛良美継 第1花国 紋次郎	去勢	13	495	51	9.1	3.4	72.9	5.9	70 5
		雌	7	479	57	8.9	4.2	73.1	5.0
春北平 （遠野市）	北平安 勝忠平 平茂勝	去勢	14	471	58	9.1	2.3	75.1	5.9	75 15
		雌	6	433	61	9.6	3.3	75.5	5.7
岩手県関連牛出荷平均		去勢	101,932	472	56	7.8	2.3	74.0	6.3	68 27
		雌	73,837	400	54	7.4	2.6	74.0	6.1

注）岩手県関連牛出荷平均より優れるものを太字で表記した

　平成28年度は、これらの2頭が基幹種雄牛に加わり、県有種雄牛の顔ぶれが充実し、繁殖農家の皆様の選択の幅がさらに拡がりました。今後も若牛を含めた県有種雄牛の活躍に御期待ください。当研究室では、今後も様々な機会を通じて和牛農家や人工授精師の方々に情報提供を行い、県有種雄牛の利用拡大による「和牛産地いわて」のブランド力向上に努めていきます。

（畜産研究所種山畜産研究室　専門研究員　澤田 建）