地域の優良遺伝資源を活用する ~ 優秀供卵牛の借上げ採卵による種雄牛の作出

ページ番号2005226  更新日 令和4年5月27日

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 平成28年12月26日、宮古市の農家の牛舎に出向き本年度3頭目の優秀供卵牛の借上げ採卵を行いました。この取り組みは、優秀な黒毛和種の種雄牛を作り出すために能力の高い母牛から雄子牛をより多く生産することを目的として、平成11年度から毎年5頭程度実施しています。

 通常、牛では1年に1頭の子牛生産が限界ですが、雌牛(供卵牛)から受精卵を採取し他の雌牛(受卵牛)に移植する「受精卵移植技術」を活用することで、短期間に複数の子牛生産ができます。種雄牛候補の生産に用いる供卵牛は、産肉能力や血統構成、体型および遺伝的不良形質などを考慮し、農協担当者など地域の和牛改良関係者と相談して選定します。

 今回の採卵では、このようにして選ばれた「きみこ」号(宮古市花輪、大川英男氏所有)を供卵牛としましたが、当研究室から100km以上離れた場所ということもあり、事前の多排卵処置には沿岸広域振興局宮古農林振興センターにも協力をいただき、最終的に移植可能な受精卵5個を採卵しました。

 採卵した受精卵は、一旦凍結保存され、今後、当研究室や全農いわてが計画的に移植を行い子牛を生産します。雄子牛の場合には、県内の繁殖農家から導入する優良子牛と共に、発育や産肉性を確認する検定を実施し、これら種雄牛候補の中から優秀な成績をあげたものが次代の基幹種雄牛となります。

 今回採卵した受精卵から無事に雄子牛が誕生し、今後の「いわて牛」の根幹をなす基幹種雄牛が1日でも早く作出されるよう、研究室一丸となって取り組んでいきます。

  • 採卵作業の様子の写真

    採卵作業の様子
    撮影:平成28年12月26日、宮古市

  • 採卵した受精卵の顕微鏡写真

    採卵した受精卵

(畜産研究所種山畜産研究室 主査専門研究員 高畑 博志)

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