「目には目を、虫には虫を」~ 天敵利用の研究に取り組んでいます

ページ番号2005578  更新日 令和4年9月21日

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 みなさん、はじめまして。私は病理昆虫研究室で野菜害虫を担当している新採用職員の松橋と申します。大学では有用昆虫であるカイコに関する研究をしていましたが、現在は害虫担当ということで、文字通り虫たちの「ダークサイド」に関わる仕事をしています。つまり、同じ「虫」でもいい(人間にとって都合がよい)奴と悪い(人間にとって都合が悪い)奴がいて、今は後者に関する研究をしている、ということです。自分もフォースの暗黒面に染まらないか不安です。

 では、私の業務内容についてご紹介しましょう。それはズバリ「天敵利用」です。現在の害虫防除の主流は化学農薬ですが、食の安全に対する不安や環境への悪影響、あるいは抵抗性発達(農薬が効かなくなる)等の問題から、近年はなるべく化学農薬を使わない栽培が求められていることは、既にご存知のとおりです。そこで「目には目を、虫には虫を」という発想を背景として、生物的防除法(天敵利用)の研究が進められています。本研究室では、害虫に対しては効くけれども、天敵には悪影響の少ない化学農薬を選択的に用いることで、その使用回数を減らせないか、という課題に取り組んでいます。

 写真は、初めてハウス内で薬剤散布したときの様子です。ご覧のように、化学農薬の散布時には作業者への被曝を防ぐため、完全防備で臨みます。生物農薬と化学農薬は、単純に防除コストで比較されることが多いですが、作業者の安全と健康という目に見えない部分でも大きく異なる、ということを今回身をもって学ぶと共に、この記事を読んで下さった方にも理解して頂けると幸いです。

  • 薬剤散布時の装備の写真

    薬剤散布時の装備

  • ダイコン播種作業中の写真

    ダイコン播種は人海戦術で乗り切る

(環境部病理昆虫研究室 技師 松橋 伊織)

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