次代の品種候補はどれだ!? ~ 水稲個体選抜について
今回は、水稲の品種開発で行われる最初の選抜である「個体選抜」について紹介します。
新品種の開発は、ある品種のめしべに違う品種の花粉をかけあわせる「人工交配」から始まります。人工交配を行うと、両親の特徴がいろいろに組み合わされた子供が生まれます。人間の兄弟の場合でも、お姉さんは「目がお父さん似で、鼻と口はお母さん似」、弟は「目と鼻がお母さん似で、口はお父さん似」ということがありますが、それと同じです。
水稲の場合、人工交配から4代目(やしゃご=ひ孫の子供)世代で1,000~5,000個体からなる集団を作ります。水田には1粒の種子から育てた苗を1本ずつ植えます。秋には、ひとつひとつの稲をていねいに観察し、茎の長さや硬さ、穂の長さ、籾の数や色、病害の有無により、開発目標に合うと思われる個体を選び出します。1シーズンにつき50集団程度行いますので、中腰で連日行うこの選抜作業は大変です。
水田で選ばれた個体は、網室の中で乾燥・保管され冬場の室内選抜に回されます。室内では、さらに品質などを詳細に観察して優れたものを選抜していきます。
例えば、平成28年にデビューする「銀河のしずく(岩手107号)」(11月26日に名前が発表されました!)は、51集団・約9,000個体から選ばれた13個体の種子から作った13系統(1株の種子から作られた個体群)の中から、耐冷性、耐病性、食味等多くの特性を調べ上げ、7年間の厳しい試験をかいくぐり最終的に生き残った優秀な1系統なのです。
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「個体選抜」に熱心に取り組む期待の新人・藤岡技師
(遠くてすいません!) -
水田から選び出され室内選抜を待つ稲
(技術部作物研究室 上席専門研究員 仲條 眞介)
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