凍結受精卵(胚)移植の受胎率70%を目指して ~ 受胎性を高める牛胚の評価方法の開発

ページ番号2005659  更新日 令和4年9月27日

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 国内の牛体内胚移植(凍結1胚)による受胎率は、平成7年度以降45~46%で推移しています。胚移植では受胎率の高低に影響する主要因として、(1)胚の品質、(2)受胚牛の状態、(3)移植技術の高低があり、中でも「胚の品質」が重要と考えられています。

 受胎率を高めるため、より品質の高い胚("Excellent"と"Good")を凍結に用いていますが、形態学的に微妙な違いを有しています。例えば、写真1と2はいずれも高ランク胚の「初期胚盤胞」という同じ発育ステージの写真ですが、写真1は輪郭(矢印)が非常に滑らかなのに対し、写真2では凹凸が目立ちます。

 そこで当研究所では、新たな牛胚の形態評価法の開発を目指し、凍結前に胚の形態をより詳細に観察・分別して、融解後の生存率(写真3:生存胚、写真4:死滅胚)および移植による受胎率の調査を開始しました。凍結方法は、現場で主流となっているダイレクト法としました。また、ダイレクト法の耐凍剤はいくつかありますが、今回の試験ではエチレングリコールとシュクロースを用いることにしました。今後、ダイレクト法で高い受胎率を得られるには、どのような形態の胚を供試すれば良いのかを究明していきます。

  • 最高ランク胚の写真

    写真1 高ランク胚(ランク "Excellent")

  • 高ランク胚の写真

    写真2 高ランク胚(ランク "Good")

  • 脱出中の胚盤胞の写真

    写真3 脱出中の胚盤胞

  • 死滅した胚の写真

    写真4 死滅した胚

(畜産研究所家畜育種研究室 主査専門研究員 児玉 英樹)

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