葉っぱ1センチあればいい!? ~ DNAマーカーによるいもち病真性抵抗性遺伝子型の推定
稲のいもち病抵抗性には、「真性抵抗性」と「圃場抵抗性」があります。作物研究室・水稲育種チームでは、多種のいもち病菌に抵抗性を示し、本田で病気にかかりにくい「圃場抵抗性」の強い水稲品種の育成に力を入れています。
「圃場抵抗性」の強弱を評価ためには、まずその品種・系統の持つ「真性抵抗性遺伝子」の種類を明らかにする必要があります。「真性抵抗性遺伝子」は、稲の育苗、複数種類のいもち病菌の培養および苗への接種、いもち病の発病程度から間接的に推定します。例えば本県の主力品種である「ひとめぼれ」は、真性抵抗性遺伝子「Pii」を持つと推定されます。
平成25年、隣接する公益財団法人岩手生物工学研究センター(以下、生工研)が、「Pii」を識別するDNAマーカーを開発しました(下図)。このDNAマーカーを利用すると、直接「Pii」遺伝子の有無を調べることができます。長さ1cm位の葉片から採取したDNAを解析することで容易に判定が可能で、菌の培養・接種・罹病判定など手間のかかる作業が不要になりました。
今後、更なる作業の省力化・効率化に向け、「ササニシキ」が持つ「Pia」や「どんぴしゃり」が持つ「Pik」などについても、識別可能なDNAマーカーを生工研と連携して開発を進めるとともに、DNAマーカーの実用化を進めていきます。

(技術部作物研究室 主査専門研究員 野々上 慈徳)
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