収穫期を迎えた緑の草原 ~ 除染草地から一番草の刈取開始
平成25年4月、厳冬による影響の心配を振り払って緑の絨毯を見せてくれた草地も、6月中旬に入ると草丈60cmを超える緑の草原に変わりました。刈取りの適期から一週間前の6月10日に、所定の方法により牧草の放射性物質濃度を測定したところ、念入りに行った土壌撹拌とカリウムの施用により、牛への給与が認められる基準値を大きく下回りました。期待したとおりの結果に、ほっと胸をなでおろすとともに、取り組んできた除染対策への自信を深めることができました。
新しく播いた牧草の種は、イネ科のチモシーとマメ科の白クローバを10対1に混ぜたものです。チモシーは、北海道のような冷涼地で広く利用されていますが、寒さに強いため標高の高い種山にも適しています。牛が好んで食べる(嗜好性が高い)草種で、繊維質が豊富でタンパク質も適度に含まれていますが、刈取り後の再生が緩やかで干ばつに弱いという欠点があります。
その欠点を補完するのが、白クローバです。白クローバは、マメ科の特徴としてタンパク質が豊富な上に、一定の割合で維持するとチモシーを刈り取った後の地表面を覆い乾燥を防ぐ効果を発揮し、チモシーの再生を助けます。しかし、うまく管理しないとクローバにチモシーが負けてしまいます。
6月17日から一番草の刈取りが始まりました。チモシーの穂が出始めた頃が、収量と栄養価のバランスのとれた収穫適期となります。東北地方も18日にようやく梅雨入りしましたが、晴れ間を狙って収穫作業を進めていきたいと思います。本年は安心して自前の良質な乾草を、種雄牛や優良子牛生産用の繁殖雌牛に食べさせることができそうです。
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刈取り適期のイネ科牧草チモシー
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お天気と相談しながらの刈取り作業
(畜産研究所種山畜産研究室 次長兼種山畜産研究室長 菊池 雄)
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