未利用有機質資源の高度利用化を図る ~ 高窒素鶏ふんペレット肥料の開発とその利用

ページ番号2005872  更新日 令和4年11月11日

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鶏ふんペレット肥料の写真
高窒素鶏ふんペレット肥料

 現在、岩手県農業研究センターでは、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構とともに青森県の堆肥製造業者(有限会社三沢地域環境保全組合、プライフーズ株式会社)と共同で、鶏ふん堆肥を活用した低コストな肥料を開発中です(農林水産省委託プロジェクト研究「気候変動に対応した循環型食料生産等の確立のための技術開発(平成21~25年度)」)。

 岩手・青森両県は、畜産業が盛んで家畜由来の有機物に恵まれています。しかし、鶏ふん堆肥には窒素が3%程度しか含まれていないため、作物を栽培するには、10アール当りで数百キロの施用が必要で、さらには初期生育が安定しにくいといった課題もありました。

 そこで、普通肥料登録済みの鶏ふん堆肥に尿素を8:2の割合で混合しペレット化することで、窒素が12%と高く肥効も速効的で、ブロードキャスタによる散布が可能になるなど、化学肥料と同等の取り扱いが可能な肥料を開発し、現在その製造法を確立しつつあります。
 
 このペレット肥料のリン酸とカリは、鶏ふん堆肥由来の成分のみのためいずれも3%と低く、バランス的にはL型です。このため、本肥料は既にリン酸とカリが蓄積している圃場での利用に適し、環境負荷の低減も可能となりました。水稲とキャベツで試験栽培を行った結果では、いずれも化学肥料並みの収量を確保しています。現在、堆肥製造業者は、肥料登録、銘柄名の選定、価格の検討等、市販化に向けた準備を進めています。

高窒素鶏ふんペレット肥料の成分内訳のグラフ
高窒素鶏ふんペレット肥料の成分(%)
水稲とキャベツにおける高窒素鶏ふん肥料の収量性のグラフ
高窒素鶏ふん肥料(粒状品)の収量性
(平成24年度、全面施肥)

(環境部生産環境研究室 上席専門研究員 佐藤 喬)

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